初日を迎え、改めて思いを語った米林監督

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 スタジオジブリ退社後、米林宏昌監督が初めて手掛けたアニメーション映画『メアリと魔女の花』の初日舞台あいさつが8日にTOHOシネマズ スカラ座で行われ、米林監督が古巣であるスタジオジブリと宮崎駿監督への思いを切々と語った。この日は杉咲花、神木隆之介、小日向文世、佐藤二朗、渡辺えり、大竹しのぶ、西村義明プロデューサーも来場した。

 メアリー・スチュアートの児童文学を基に、魔女の国から盗み出された禁断の花を見つけた少女の冒険を描き出した本作。満員の会場を見渡した米林監督は「こんなにたくさんの方に来ていただいて、ありがたいなと思っています。すごく遅れていた作品でしたが、無事に完成してお届けできてうれしく思っています」と晴れやかな表情。主人公メアリ役の杉咲も「皆さんと大好きな作品をやっと共有できることになってうれしいです」と初日を迎えた喜びをかみ締めている様子だった。

 この日は、米林監督と西村プロデューサーに向けた手紙を書いてきたという杉咲。「わたしはこの映画が本当に大好きです」という書き出しから始まったその手紙には、「監督は、取材やイベントの時にジブリという魔法がとけたというお話をされたと思いますけど、わたしはこの世界にスタジオポノックという魔法が新たに誕生したと思っています。この映画が完成したときに、ここに戻ってくればいつでも力をもらうことができるんじゃないかと思えるような、そんな自分にとっての希望ができたと思ったからです。だからこれからも何度もこの映画を観たいです。そんな作品を生み出す監督や西村さんは、魔法を持っているのではないかとわたしは思います」とつづられており、この作品にかかわることができた喜びに満ちあふれていた。

 それを聞いた米林監督は「感動しました。すばらしい方たちと一緒に仕事ができて、うれしく思います」と笑顔。西村プロデューサーも「杉咲花という女優の声でメアリが誕生したので、むしろ僕たちの方が感謝しています」と感激の様子を見せた。

 そしてイベントも終盤。観客の前に改めて立った米林監督は「スタジオポノックの第一回作品ということで、力を込めて描きました。大変な状況の中で、苦労して作ることができたのをうれしく思っていますけど、スタジオジブリ、宮崎駿、このふたつの魔法の言葉が、いつも僕のとなりにずっとあって……。となりというか、自分の中にずっとあって。僕は宮崎監督から学んだことを愛していて、好きでした」とスタジオジブリへのあふれる思いを吐露。

 しかし続けて、「でもそれと同時にこれを乗り超えていかないといけないと常に考えていました。この映画の中のメアリと同じように、僕も映画を作りながら、ジブリを乗り越えていくような気持ちで描きました」と決意を口にした米林監督が、「魔法というものは皆さん、それぞれの中にあると思いますけど、そういうものを胸に抱えながら、一歩一歩、前を進んでいくような勇気を持ってもらえるような、そういうきっかけにこの映画がなってくれたらうれしいなと思っています」と付け加えると、会場からは万雷の拍手が鳴り響いた。(取材・文:壬生智裕)

映画『メアリと魔女の花』は全国公開中