「好きな2次元キャラと現実世界で過ごしたい」を叶えるAR、auが開発。仙台で体験イベント
「好きな2次元キャラクターといつまでも一緒にいたい。そんな昔からあるニーズを、技術の進化がかなえてくれる」ーー。そう語るのは、KDDI(au)のIoTサービス企画部の水田氏です。

KDDIは、初音ミクと「カフェデート」できる無料イベント『BLUE LEAF CAFÉ × ミク☆さんぽ』を、宮城県仙台市で開催中。期間は本日7月8日・9日、および7月15日〜17日の計5日間。GoogleのARプラットフォーム「Tango」を活用し、ARと人気キャラクターを組み合わせたサービスのビジネス化も狙います。

イベントは事前エントリー制ですが、枠が開いている場合に限り当日参加も可能。詳細は下記記事をご覧ください。

au、初音ミクとTangoでARカフェデートできるイベント実施。事前予約制



『BLUE LEAF CAFÉ × ミク☆さんぽ』は、ARスマートフォンの「Phab 2 Pro」を使って、実際のカフェで初音ミクと"カフェデート"できるイベント。初音ミクはAR技術のGoogle Tangoにより、スマートフォンの画面上に、まるでその空間に実在しているかのように表示されます。

売りはリアリティの高さです。初音ミクは参加者とテーブルを挟んで対面に座っています。その際、現実世界に3Dをオーバーレイ表示しただけの単純なARでは、本来机の下に隠れるべき下半身まで表示してしまいます。現実世界ではありえない構図となってしまうわけです。

一方の『BLUE LEAF CAFÉ × ミク☆さんぽ』では、Google Tangoの技術により、"机がキャラクターよりも手前にある"といった、空間におけるキャラクターの位置関係を認識。本来は机に隠れるべき、例えば下半身などは、しっかりと机の下に隠れるように表示します。

この、手前に物体があるとARオブジェクトが自然に隠れる機能は、Google Tangoも標準でサポートします。しかし、担当者によると、標準のものでは「キャラクターが物体に隠れる部分の境界の切り方が正確ではない」といい、「境界のジャギー感をなくすように独自に調整した」と話します。


初音ミクの「手前」にテーブルがあることを認識。その端を境に下半身が見えなくなっている


タッチ操作によりインタラクティブな会話も可能


斜め後ろに回り込んだ様子。初音ミクと机の位置関係に注目して見てもらいたい。膝の部分だけが机の下に隠れている。

スマートフォンの画面上にはこのように表示される

初音ミクに近づいてみた様子


初音ミクと一緒に食事を楽しめる


4種類のコラボメニューを用意する


記念写真も撮影できる。初音ミクがフォトパネルで部分的に隠れている点にも注目

なぜauが「初音ミク」なのか

スマートフォンに代わる、次の成長分野を探るKDDIは、IoTやVR・保険といった新規事業の開拓を目指しています。初音ミクとのコラボイベントも、そんな新規サービス創出を目指す社内ハッカソンでうまれたといいます。そのため、チームメンバーの所属はバラバラなんだとか。

「『好きなキャラクターと現実世界で一緒に過ごしたい』コアなオタクがチームに集まっていた中で、ピンときたのがこのニーズだった」と、KDDIの水田氏は語ります。


商品企画本部 ホーム・IoTサービス企画部の水田修氏

「アニメのファンや、ゆるキャラが大好きな人達が何をしているかというと、外出先、アニメなら聖地といいますが、自分の好きなキャラクターと一緒にその場所に行ったことを示すために、ぬいぐるみと写真を撮っている姿をよく見かけるんですね」

その発想のもと、GoogleのAR技術であるTangoに着目。「Google Tangoを使ってプロトタイプを作ったら、すごくわかりやすいコンセプトを打ち出せました。さっそく事業化しようと動いた時に、興味を持ってくださったのが、(初音ミク開発元)のクリプトン・フューチャー・メディアさんでした」

KDDIは、初音ミク開発元のクリプトン・フューチャー・メディアと、AR/VR/MR技術等を活用したサービス開発で提携。初音ミクとコラボしたARイベントを2017年2月に札幌、4月にニコニコ超会議で実施しています。

「過去2回のイベントは、初音ミクと一緒に展示会を回れるという体験でした。その際のフィードバックでは、コアターゲットもそうでない人も、90%以上の人に満足していただけたんです。『このニーズはありそうだな』と確信することができました」

アップルのAR KitやHoloLensも選択肢

今回の『BLUE LEAF CAFÉ × ミク☆さんぽ』は、キャラクターとARを組み合わせたサービス例の、いわゆるショーケース的な意味合いも含んでいるとのこと。過去2回のコラボイベントの効果もあり、キャラクターのライツホルダーや、イベント主催業者からビジネスの引き合いもあるといいます。社内では、法人向けソリューションとしての商品化の検討も進めています。

また、コンシューマ向けのサービス展開も模索します。とはいえ、Google Tangoスマートフォンは、記事執筆時点で日本で発売中の端末は、Phab 2 ProとZenFone ARの2機種のみ。対応端末が限られることから、コンシューマーへの展開は難しいように思います。これについてKDDI側は、TangoはおろかARにもこだわっていないと話します。


KDDI商品企画本部 パーソナルサービス企画部の増崎和彦氏

「次元を超えて一緒にいるためには、ARだけがその手段ではありません。AIの導入も選択肢の1つです」(増崎氏)

また同じAR技術でも、HoloLensやアップルの「AR Kit」の検証も進めているとのこと。「Tangoを使うというより、キャラクターと現実世界で一緒にいるためにはどうすればいいか。着実にニーズはあるので、10年後を見据え、技術的なポートフォリオを蓄積していきたい」(水田氏)とも語りました。

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