堅実女子の質問に、弁護士・柳原先生が応えてくれる本連載。今回の相談者は、田口美香子さん(仮名・38歳・派遣社員)

「2年前に、夫の浮気が原因で離婚しました。浮気相手は私の友だちで、既婚者。今、話題の松居一代さんがご自身のブログで語っている状況とそっくりでした。私が仕事中に2人で海外旅行に行って、男女の関係になって……というところまで似ているんです。

夫は誰にでも優しくて、彼のことは本当に大好きで、離婚した今でも吹っ切れていない状況です。今でも“なんであの時あんなこと言ってしまったのか”とか“どうして離婚届に判を押してしまったのか”など考えて、後悔し泣いています。

さて、離婚当時、私たちの財産はマンション(2400万円)と貯金(400万円)でした。私の実家が頭金を出して買ったマンションだったのですが、私は夫に未練があり、いつまでも引きずられるのが嫌だったので、マンションを手放し、貯金の400万円をもらい、夫はそのマンションに離婚した彼女と住む予定でした。離婚当時、彼女は私の夫の子供を妊娠していたのです。

しかし先日、住宅ローンを組んでいる銀行から連絡があり、「ローンの支払いをお願いします」と言ってきたのです。それであわてて連絡したら、元夫のケータイは解約されており、勤務先も半年前に辞めていました。元夫の実家に電話したら、義両親も本人と連絡がつかず、逆に聞かれる始末。友人のケータイは怒りに任せて消してしまったので音信不通。大学に連絡しても、プライバシーの問題で連絡先は教えられないの一点張り。

今や私は元夫とは全く無関係なのですが、住宅ローンは私が払わなくてはいけないのでしょうか」

柳原桑子先生からのアンサーは……!?

銀行からあなたに住宅ローンの督促が来たということは、あなたがこのマンションの住宅ローンについて、連帯債務者になっていたか、あるいは連帯保証人になっていたことが推測されます。

契約当時の記憶があいまいであれば、銀行に督促がきたことを告げて、確認してください。連帯債務者や連帯保証人であるというならば、法的に責任があります。

そうでない場合には、元夫である主債務者と元夫婦であろうとも、そもそも督促など来ないであろうから責任を負う立場にある可能性は高いです。

連帯債務者及び連帯保証人は、主債務者(この場合はあなたの元夫)との関係性によって、消えるものではありません。

債権者(この場合は銀行)との契約ですから、元夫を主債務者として住宅ローンを組んだとき、元妻が連帯債務者または連帯保証人になったならば、離婚しても、連帯債務者または連帯保証人であることには変わりはありません。

ローンが残っている不動産を有して離婚する場合には、自分が責任を負っていないかどうか確認をするべきです。もし負っているならば、借り換えをしてもらって当初のローンを完済するか、売却する等も視野に入れて、よく検討するべきなのです。

しかし、本件ではご自分の責任について認識しないままきてしまったので、まずは元夫を探すことが先決です。

もし見つかれば、売却を相談する方法が考えられます。ただ売却できるまではローンを支払う必要があります。売却してもローンが残るほどの価値でしか売れない場合には、所有権移転時にローン不足額を弁済しなければなりません。

元夫が見つからなければ滞納がかさんでいる以上、早晩抵当権が実行され、競売になります。競売後も残債務があれば、その部分についてあなたの責任が残り、引き続き督促を受けるかもしれません。ローンの残債を支払えない場合は、破産することが考えられます。

離婚の時の財産分与も、自分が後々損をしないように、書類を精査し整理することが大切。



■賢人のまとめ
これからできることは、契約している金融機関と相談し、対策を練ることです。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/