人々の悩みに寄り添い「癒しのカウンセリング」を行うスピリチュアル心理カウンセラー・日下由紀恵さん。自身のメルマガ『日下由紀恵のスピ的生活。』の中で日下さんは、盗癖(クレプトマニア)のために万引を繰り返してしまい逮捕された男性の裁判傍聴記から、罰を与えることでは問題は根本解決しない、むしろ人々が出来事の背景に思いをはせることが、人々の癒しや気づきにつながり解決をもたらす、というメッセージを伝えられています。

万引きがやめられない!」クレプトマニア裁判傍聴記

多くの人が目にするブログではお伝えしづらい内容ですが、とある裁判を通じてそのスピリチュアル的な意味について考えることがあったのでぜひメルマガ読者の皆さんにも考えてもらいたいと思って取り上げます。

ちょっと古い話になりますが……

今年の2月、東京・台東区のメガネ屋さん「めがねおー」の店主が、多額の万引きの瞬間をとらえた防犯カメラをモザイクなしで公開すると宣言した……という出来事がありました。

テレビでインタビューを受けていた店主の男性は、とても衰弱していて、おそらく、そのことで様々な批判を受けることにもなったのでしょう。この男性、とても波動が繊細で優しい方、お客さんのために一生懸命頑張っていたのが、こんな形で裏切られて大きなショックだったようです。

ですのでことさら大きく取り上げられたことでこれでよかったんだろうか……とさらに落ち込むことにもなっていたのかもしれません。

万引きは犯罪です。許されることではありません。それは大前提でここから読み進めてくださいね。

ストレスから病的な万引を繰り返してしまう

■82歳の母を持つクレプトマニア(病的窃盗)Pさん

その被告は、Pさん。50代の男性です。

この人の罪名は「常習累犯窃盗」。殺人などに比べると軽い犯罪のように聞こえますが検察側の求刑は懲役4年6カ月といいますから尋常ではありません。

常習累犯窃盗とは……窃盗罪・窃盗未遂罪にあたる行為を常習的にする罪。過去10年間に3回以上これらの罪で懲役刑を受けた者が、新たに罪を犯すと成立し、3年以上の有期懲役に処せられる。(デジタル大辞泉より引用)

これまで、裁判で明らかになったこの事件の概要は次の通りです。

被告Pさんは、2016年12月、刑務所から出所しました。刑務所には、窃盗の罪で服役していました。

彼は万引きがやめられません。これまで同じ罪で3回有罪判決を受けています。

今度こそは万引きはやめようと、サポートしてくれている弁護士さんと出所直後から週1回の面談を重ねていました。

Pさんは82歳の母親と2人暮らし。3人兄弟の真ん中ですが、服役を重ねたことで兄弟とは疎遠になっています。

今回出所してからは、関東にあるクレプトマニア(病的窃盗)の治療で有名な病院へ入院するように周囲の人たちからのアドバイスがあり資料を取り寄せるなど準備を進めてきました。

しかし、Pさんは入院する直前になって将来の不安、特にお金の不安から、何か仕事をしなくては……と考えるようになりました。「入院はいつでもできる」「それよりも生活のためにバイトをしよう」そう思い、近所のスーパーのレジ係のバイトに応募しすぐに採用されました。

しかし、週1度面談をしている弁護士の先生にはこのことは話していませんでした。「社会復帰したい」という気持ちが強くでて焦っていたので、「何でもいい、とにかく仕事を」という思いが勝ったのです。

当初そのバイトはうまくいっていたのですが、次第に人間関係でストレスを感じるようになります。

そんなある日、足を悪くしたお母さんから買い物を頼まれたPさん。近所のスーパーに足を運びます。そこで目にしたのが、何の変哲も無いショッピングバック。数百円程度のものですが、「これがあったら便利だろうな」と思ったのもつかの間、自分のコートの中に押し込んでいました。

得も言えぬ達成感や解放感……。こうなると頭がショートし、冷静な判断はできません。次に訪れたセブンイレブンでも万引きを犯します。その尋常では無い様子に気づいた店員によって通報されてしまいます。

裁判長は優しく諭すようにPさんに語りかけました。

「どうしてすぐに入院しなかったのですか」

「今回の失敗の原因はどこにあると思いますか」

Pさんは17年前に、勤めていた会社をリストラされ、そのストレスから万引きを繰り返すようになりました。

今回、アルバイトを始めるよりもまずは治療のため入院を、とすすめる弁護士の先生のアドバイスを無視し、それにより仕事のストレスからまた同じ失敗を繰り返すこととなりました。兄弟からは見はなされ、これまでの裁判では証人になってくれたお母さんも今回は高齢のため証人として出廷することができませんでした。

驚くべきことに、今回2つのお店で万引きしたことで起訴されたのですがその2つのお店の間に、それ以外の4軒ものお店でも万引きをしていたことが裁判中にわかったのです。起訴状にない分も含めると6店舗・約30品の万引き。まさに病気です。

比較的軽い犯罪の場合、有罪判決には執行猶予がつきますが前回の服役から出所後すぐに同じ過ちを繰り返したPさんに

それはありません。規則によって刑務官2人に両脇を抱えられて入廷してくる被告人も執行猶予がついた判決の瞬間、手錠・腰紐から解放されるのですが裁判長がPさんにくだした判決は……。

「懲役3年」。

何度も同じ罪を繰り返すPさんに執行猶予は「なし」。

頭をうなだれるPさんが、刑務所から出所してくる頃にはお母さんは85歳となっています。

罪を償っても問題は解決しない

さて、この判決を聞き感じたことは「3年間、牢屋に入っていてもこの人の状況は改善しないんじゃないか」ということです。

皆さんはお気づきだと思いますが、Pさんの病気の原因が心の傷であることは明らかです。であるならば、それを癒すことでしか問題は解決しないはず。

そして、さらに感じたのは、彼が持つお金への不安です。これも、裁判で明らかになったのですが、実は彼はお金には不自由していません。検察官に貯金額を聞かれ「300万円」と答えています。これには、裁判官も苦笑し「普通はお金に困った人が万引きをするものなんですが……」と言ったほどです。しかし、この人は入院よりもお金の不安からアルバイトを選んでしまった。その問題は、牢屋に入って取り除けるのでしょうか?

さらに、見えるのは子どもの頃の孤独。恐怖心。お母さんのお腹にいたときからの恐れです。

ものを盗むという行為は、「誰か私を見つけて!」「わかって!」というインナーチャイルドからの必死のSOS。警察が捕まえて、反省しなさい、と留置所なり刑務所なりに入れる方法では救われないので、また繰り返すわけです。

孤独なインナーチャイルドが出すSOSはほかにもギャンブルなどの依存や借金など様々ありますが、Pさんの場合、インナーチャイルド複合型でこの行為が起こされているようです。

それは

・深い孤独

・拒絶された悲しみ

・自分を嫌う気持ち

・人生への強い不安

……

これらがかなり執拗に、自分を価値がないものと見限り、罰を与えようとする行動を取らせてしまっています。

犯罪は決して許されるものではありません。その罪は必ず本人が負うようになっています。ですが、どんな犯罪にも起こった背景がある。

犯罪と幸せの間にボーダーがあるわけではない。その背景に思いをめぐらせることで私たちの波動が上がりそれが被告・犯人の気づきや反省へと影響するようになっています。

この世から犯罪というものをなくしていくスタート地点は犯された罪の、その背景を一瞬鑑みること。その力は私たちにあらかじめ神様から与えられているのです。

(メルマガ『日下由紀恵のスピ的生活。』からの抜粋です。深さ・重さにかかわらず悩みを抱えている方、「今、困っている」「なんとかしたい」そんなあなたの思いを、メルマガ読者になると直接メールで相談できます。また初月無料なので、購読すれば当月のメルマガを全て試し読みすることができます。)

 

『日下由紀恵のスピ的生活。』

著者/日下由紀恵(記事一覧/メルマガ)

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出典元:まぐまぐニュース!