出光興産の創業家と経営陣の争いの行方はどうなるのか? (c) 123rf

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 出光興産と昭和シェル石油との合併問題が泥仕合の様相を見せてきた。出光興産が国内外で公募増資を実施して、発行済み株式の3割にあたる4800万株を新たに発行、約1,400億円を調達する計画を発表した。調達した資金はベトナムの製油所建設や有機EL事業への投資などに充てるとのことである。

【合併は2015年に発表】昭和シェル石油と出光興産が経営統合へ

 出光と昭和シェルは2015年11月に合併で基本合意したが、33.92%の株式を保有する出光の創業家側が企業文化の違いなどを理由に合併反対を表明した。会社合併という株主総会での特別決議は、1/3以上の株式を保有する創業家側が反対すれば実現不可能である。このため、いくつかの曲折を経たものの、当初は今年4月とされていた合併期日は延期されている。創業家側は昨年の株主総会で昭和シェルとの合併へ反対を表明していたが、今年の株主総会で改めて合併反対を強調した。

 経営側は創業家側の説得を続け、賛成を取り付けたうえで合併するという従来の方針に変更はないとしているが、実態はガチンコ勝負に出たと言える。

 公募増資に対し創業家側はすかさず対抗措置として、増資差し止めの仮処分を裁判所に申し立てた。今までの流れのままに、受けて立つというところだ。

 先に動いた形の経営側は、弁護士の助言を受けた上で、相当緻密な検討を重ね、今回の計画を発表したことであろう。ちまたでの意見は経営側がやや有利と見る向きが多い。

 では現在の状態で増資が実行され、約26%の持ち株となった創業家側の合併反対が否決された後、新会社にとっての大団円が訪れるのかというと否と言わざるを得ない。昭和シェルとの合併によって、創業家側の持ち株割合は更に希釈化されることになるが、それであっても堂々たる大株主であることは間違いない。経営側は経営上の大きな決定をする際に、常に創業家を意識せざるを得ない。これは新会社にとって不幸なことである。

 出光の創業者は確かに時代の傑物であった。国家の方針に対しても自説を譲らず、当時の日本では考えられない独特の社風を誇った。おそらく創業家側が主張するように、両者の企業文化は全く違うのであろう。外部から見て、どちらが正しいと言っても意味がない。ただ、時代を乗り切るために、片方は合併を選択し、片方は合併は駄目だと言っている。最初のボタンの掛け違いが、つくづく悔やまれる。