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2017年7月15日に全国順次公開される、地方社会のリアルを描いた衝撃の青春映画『獣道』(内田英治監督)。自分の居場所を求めてさまよう少女・愛衣と、半グレの世界で生きる少年・亮太のほのかなラブストーリーを軸に、やるせない閉塞感の中で過激に生きる人々の姿を描いた、実話ベースのブラックコメディーです。本日は愛衣役の伊藤沙莉さんと、亮太役の須賀健太さんに、撮影秘話をお聞きしました。

──『獣道』公式サイトのストーリー紹介欄で、“真っ黒な青春映画”との記述がありました。過激で、どうしようもなくて、悲しくて、でも笑いも希望もあって……と、たくさんの要素を持った衝撃作ですよね。台本を最初に読んだときの、印象を教えてください。
伊藤沙莉さん(以下・伊藤) おっしゃる通り、私にとっても衝撃的でした。なぜ内田さんは私に愛衣をやらせようと思ったのか、すごく知りたかったです。

──愛衣には実在のモデルがいて、現実逃避を繰り返す母親のせいで宗教施設で育ち、その後、ヤンキー社会、サラリーマン家庭、風俗と、所属する場所を転々としながら、居場所を探します。
伊藤 愛衣の実話モチーフの人生は、もう自分の想像だけじゃとうてい理解できないですし、演じるにあたり解決したい疑問がとにかく多かったです。でも内容自体は単純にめちゃくちゃ面白かったですし、しっかり時間をかけて愛衣と向き合いたいなと思いました。

──実際に、愛衣のモデルになった方とはお会いしたんですか?
伊藤 直接お会いして、何が起きたというよりも、どう感じたかについて、たくさんお話をお聞きしました。愛衣はいろんな場所で、その都度一番周囲の人に受けとめてもらいやすいように変化するのですが、いつもどこか浮いているんですね。モデルになった方には撮影も見ていただいたんですが、「あの浮いている感じが、すごく懐かしかった。『そうそう、こんな感じ』って思った」と言っていただけました。

──そして愛衣に恋心を抱き、見守る亮太役の須賀さんの、台本を読んだ第一印象はいかがでしたか?
須賀健太さん(以下・須賀) 純粋にストーリーが面白いと思いました。僕は東京の下町育ちなんですが、ちょっとこの世界観と近しい雰囲気があるので、どこかにある話としてのリアリティを感じました。

──濃密な人間関係とか、ナントカ先輩は怖いから、その彼女も大事にしなきゃボコられるとか。
須賀 そんな「あるある」も散りばめられた、絶妙なバランス感覚の台本だったので、映像化は楽しみでした。そしてそれに自分が関われるということが、嬉しかったですね。

──亮太の登場シーン、ガラが悪くて素敵でした! タバコを吸いながら、本物のヤンキーのように歩いてきて……。
須賀 あのシーン、必要以上にガニマタで歩いてくれって言われてやったんですが、知らないうちにスローで撮られてて。「ガニマタでスローって!」と思いましたが、素敵だったのならよかったです(笑)

──亮太って、すごく冷めた視線を持っていますよね。半グレの世界にいるのに、髪を染めるでもなく、それほど積極的に人を攻撃するでもなく。
須賀 観客に一番近い存在が、意外と亮太なのかもしれません。常に翻弄されていちいち衝撃を受ける役回りなのは、半グレに染まり切らないからこそだろうし。演じるうえで、普通の感覚はどこか匂わせたいと思っていました。

──あの周囲を俯瞰した態度は、やはり計算のうえだったのですね。それに対して、伊藤さんは役が憑依していたように感じました。例えば、一家全員がヤンキーのキタミ家に愛衣が居候しているシーンがあるじゃないですか。そこに中学生が訪ねてくるんですが、愛衣の返事が「はい」じゃなくて、「ふぁい」なんですよね。アレがすごく絶妙で……。
須賀 あれむっちゃ面白かった! リハで見たとき、超いいなって。バッカだなって思った!

伊藤 結局、愛衣もまだ子供だから、とんでもない他人の家にいるっていう自分の状況は何もわかってないけど、この環境は超楽しいとは思っているんですよね。だからすごくバカっぽさは出したかったんです。あと取り敢えず返事は大事って感じも出したかった。

──返事は大事?
伊藤 愛衣はたぶん、キタミさんの家で玄関に扉を開ける担当なんですよ。ドンドンドンってドア叩かれたら、必ずハイッて言って開けるんです。そこに責任感や、モノローグで言っているような一体感を持っている。つまり、役割に喜びを感じているんです。

──役立っているよ、私も家族の一員だよっていうアピールなんですね。
伊藤 正直、当時はそこまで考えて演じてなかったんですけどね(笑) 冷静に考えて、ヤンキーのときが一番、愛衣がかわいらしく見えるんじゃないかな。

──愛衣のいじらしさの、スタート地点ですね。


ケダモノばかりの世界でも、切ない恋は生まれ育まれていく

──本作品の出演者は、若手はお2人に加え吉村界人さんや韓英恵さんなど、演技力に定評のある方が多く、ベテラン勢も実力派ぞろい。その中で芸人であるアントニーさんが、半グレのリーダー役として大健闘していましたね!
伊藤 あれはでも、もうずるい。

須賀 アントニーですもの。あいつ、あの役まんまなんですよ!

──でも、ヤンキー要素はまったくない方なんですよね?
伊藤 ぜんっぜんないです。タバコも吸わないし。

須賀 一番打たれ弱いですよ(笑) でもハーフの見た目が、リアルですよね。

──はまり役が多い映画なのかもしれません。
伊藤 上手い下手よりも、リアルに見えるか見えないかっていうのが、ポイントになっている映画なんじゃないかな。ヤンキーの人たちにも、本物がいるんです。

須賀 エキストラたちは、本物の方です。

伊藤 エキストラの方たちも、絶対的に芝居をしているって感覚はたぶんなくて。ただ、その場に生きるのがみんな上手で、リアリティがすごかった。まあそれがもしかしたら、上手いって言うのかもしれませんが。

──リアルの前で演技するのも大変ですね。
須賀 相当大変でした! 吉村界人も本能の人で、本番で何してくるかわからなくて、危なっかしいし(笑) 更に僕はイメージがあまりない役なので、作り方が難しくて。周りがリアルだから説得力を出さなきゃいけない中、どう役を解釈して演じるか、本当に悩みました。

──須賀さんも本能に流れて演じてしまうと、観客は置いてけぼりになってしまいます。須賀さんの役が、観客が作品を楽しむ要素のひとつになっていたのかも。
須賀 あ、よかった〜(笑)

──伊藤さんは今回、体当たりで濡れ場も演じていましたが、服を着たままで誘惑しているシーンが、とても色っぽかったです。
伊藤 私、普段は色気ないんですけど(苦笑) でもそう言っていただくと、自信になります。

──しかしこういう女の子に、恋をする男の子役も大変ですよね。
須賀 超大変でした。超ヤダ。

伊藤 超ヤダって言ったね今!?

須賀 アハハ。

──亮太は、なんで愛衣が好きだったんでしょうね。
須賀 沙莉もずっと「なんで亮太は、愛衣のことを好きになったんだろうね」って言ってました。きっと最初から、中学時代に出会ったときからなんですよね。亮太の愛衣を愛する気持ちは、ラストシーンにすべてがあると思います。「わかんねえけど、こいついいな」って思っちゃったんです。純粋なんですよ、亮太は。

伊藤 純粋ゆえに、不器用。

──亮太は決して優等生じゃないし、暴力の世界にコミットしているんだけど、王子様に見えるシーンがあります。
須賀 亮太が女の子に告白されても、あっさり断るシーンですよね。「俺、好きな人いるんだよね。こいつ」って、隣にいる愛衣を指さしちゃうじゃないですか。もう愛衣しか見えてなくて、相手の感情とかどうでもよくて、「俺はこの人がいいから、好きだから」としか思ってない。

──愛衣のことを好きだからこそ、流されて抱き合うんじゃなくて叩き合うシーンもあって。
須賀 あのシーン、僕はある意味面白いと思っていました。

伊藤 私は叩かれたたシーンは、顔ふっとぶかと思った……なんて、手加減してくれてたけど(笑)

須賀 沙莉は僕の前では「ぜんぜん大丈夫」って言ってたよね。でも後になって監督から、「『痛い』って言ってたよ」って言われて。悪いコトしたなって思いました。僕の前では見せないから。

──伊藤さんも須賀さんも、素晴らしい演技で。痛々しい2人が切なかったです。



フラッと入った映画館で、気負わずに見て楽しんで欲しい

──今回、共演者に同世代が多い現場でした。須賀さんと伊藤さんも同い年で。お2人と話していると、仲の良さが伝わってきます。
伊藤 私たち、何かきっかけがあって距離が縮まったワケじゃないんです。なんでこんなに自然にしゃべれるのか、本人たちもわからない。ぜんぜんわからない(笑)

──今回、初共演ですか?
須賀 初共演です。お互い知ってはいたけど、それは出演作を通してですね。

──他の出演者さんたちとも、距離は近かったんですか?
須賀 吉村界人とアントニーと、僕たちと……作品の中でグループになっていた人たちとは、よく話しました。みんなでご飯に行くという感じではないんですが、いつの間にかなじんでいるというか。

伊藤 卓球をするシーンがあるんですが、あのメンバーは仲良しでした。あそこ、ほぼ素で撮っています。

須賀 あれは急に青春したね。

伊藤 でもすごく撮影意図にマッチしてたよね。つかの間の、みんなが一番楽しいとき、みたいな雰囲気がとても出ていた!

──暴力的だけど切なくて、やるせない気持ちになるのに、クスッとしてしまう瞬間もあるこの映画。最後にLINE V.I.P. Pressの読者へ向けて、一言アピールをいただけますか?
須賀 伊藤沙莉さんが、本当にすごいです!

──確かに!
須賀 あとこの映画、純粋な人たちのドラマなので、色物として見て欲しくないな。同時に、気負って欲しくもない。フラッと映画館に立ち寄ったときに、「あ、これ聞いたことあるな」くらいのテンションで観ていただくのがベストだと思います。もしくは友達と連れ立って、ワイワイ観に行くのもいいと思います。

伊藤 観た後は、登場人物に現在進行形で共感する若い人もいれば、「こういう時期あったな」「こういう奴らがいたな」と、懐かしい気分になる大人もいると思います。結局はコメディというか、青春映画なので、ラフな感じで楽しんでください♡

──不思議な魅力のつまった映画ですよね。熱演されたお2人のお話、大変面白かったです。ありがとうございました!

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本当に息ピッタリに、お話を展開してくれた須賀健太さん&伊藤沙莉さん。「好きなLINEスタンプは、棒人間の『ケンタ』の名前スタンプ」(須賀さん)、「『けたたましく動くクマ』は全部持ってます♡」(伊藤さん)と素も見せてくれました♡

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今は大変でも、いつか「あの頃は大変だったんだよ」って、穏やかに笑える日が来るよ。
それでは、また。

(撮影/杉映貴子、取材・文/中尾巴)

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