CERNが2つのチャームクォークを含む新物質「Ξcc++」を発見したとEPS会議で発表しました。これまで存在が予想されていた「2つの重いクォークを持つバリオン」が初めて発見された例です。

Observation of the doubly charmed baryon Xicc++ - lhcb_paper_2017.07.06.pdf

(PDFファイル)http://press.web.cern.ch/sites/press.web.cern.ch/files/file/press/2017/07/lhcb_paper_2017.07.06.pdf

LHCb announces a charming new particle | CERN

https://home.cern/about/updates/2017/07/lhcb-announces-charming-new-particle

バリオンはクォーク3つで構成されるハドロンで、例えば、陽子や中性子は代表的なバリオンです。クォークには6つの異なる種類があるため、理論的にはさまざまな組み合わせによって新しいバリオンが形成される可能性があります。

クォークは、アップクォーク(u)、ダウンクォーク(d)、ストレンジクォーク(s)の「軽いクォーク」と、チャームクォーク(c)、ボトムクォーク(b)、トップクォーク(t) の「重いクォーク」に分類できます。これまで発見されてきたバリオンは、重いクォークをせいぜい1つしか持てませんでした。

これに対して、今回、CERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHCb)による衝突実験で発見された「Ξcc++」(グザイCCダブルプラス)は、3番目に重いクォークであるチャームクォークを2つ、アップクォークを1つ持つことから、初めての「2つの重いクォークからなるバリオン」という前例のない物質です。

CERNによるとΞcc++の質量は約3621 MeV/ccで、最も有名なバリオンである陽子の約4倍の重さを持つとのこと。



LHCbの広報担当者のジョバンニ・パサェヴァ氏は、「2つの重いクォークを持つバリオンを見つけることは、量子色力学での強力な分析ツールの一つになります」とし、理論の予測性能を向上させるのに役立つだろうと述べています。また、元LHCbの広報担当者のガイ・ウィエルキンソン氏は「他のバリオンは、3つのクォークがお互いに周囲を回りながら『精緻なダンス』をするようなものなのに対して、Ξcc++のような2つの重いクォークを持つバリオンはまるで惑星系のような動きをすると期待されています」と述べ、重いクォークの周りを軽いクォークが周回する新しいモデルとなるのではないかと述べています。