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滋賀県米原市で勤務先から車で帰宅する男性にはねられ死亡した男子高校生の遺族が6月27日、男性の勤務先に対して、1億9000万円の損害賠償を求めて大津地裁に提訴した。

京都新聞によると、2015年2月27日午後6時50分ごろ、男子高校生は信号のない交差点の横断歩道を歩行中、速度超過をしていた車にはねられて亡くなった。遺族は男性がガソリン代を支給されてマイカー通勤していたことから、会社にも責任があると主張しているという。

一般論として、通勤中に起きた事故について、会社はどこまで責任を負うのか。今回のように、死亡事故を起こした相手に対しても、会社に責任があるのか。山田長正弁護士に聞いた。

●マイカー通勤を認める場合、会社が責任を負う可能性がある

従業員が起こした交通事故に関して、使用者である勤務先会社が被害者に対し損害賠償責任を負う法的根拠としては、自動車損害賠償保障法(以下、「自賠法」といいます。)第3条による運行供用者責任と民法715条1項による使用者責任があります。

これら2つの責任を会社が負わなければならない場合として、以下の(1)(2)があります。ただし、以下の(3)の場合には、会社が責任を負うことはありません。

(1)会社が積極的にマイカーの業務使用・通勤使用を認める場合

この場合、社用車と実質的に同一と考えられ、会社にマイカーの運行支配・運行利益がほぼ全面的に帰属しているものと解釈でき、会社は運行供用者責任・使用者責任を負うことになります。

(2)会社が例外的・黙示的に業務使用・通勤使用を認める場合

積極的にマイカーの業務使用を命じたり、または、許可するような場合には当たらないとしても、会社が、マイカーの業務使用を便宜上、黙認したり、さらには、マイカー維持費、修理費等を会社が負担している場合は、会社はマイカーに対し、運行支配・利益を有するものと考えられ、通勤中の事故でも運行供用者責任・使用者責任を負うことがあり得ます。

ただ、会社がマイカーによる通勤をやむを得ず黙認していたとしても、会社としてマイカーの燃料費や保険料等を負担せず、マイカーを業務中には使用していなかった事案において、マイカー通勤を会社も指示していなかった場合では、会社に運行支配性がないことを理由に会社の運行供用者責任を否定した過去の裁判例もあります。

(3)会社が、理由を問わず、マイカーの使用を禁止していた場合

この場合、会社は運行支配も運行利益も有しないため、会社が責任を負うことはありません。

●今回のケースも、会社が責任を負う可能性

今回の事故事案をみますと、報道内容だけで判断すれば、事故の原因は運転者の落度(速度超過)に基づく事故であった事案であり、かつ、会社が通勤時にマイカーの使用を承認し、なおかつガソリン代の支給を行っており、会社がマイカーの運行支配・運行利益を有しているものと考えられます。そのため、上記(1)か少なくとも(2)に該当する可能性があり、会社として責任を負う場合があり得るでしょう。

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
山田 長正(やまだ・ながまさ)弁護士
企業法務を中心に、使用者側労働事件(労働審判を含む)を特に専門として取り扱っており、労働トラブルに関する講演・執筆も多数行っている。
事務所名:山田総合法律事務所
事務所URL:http://www.yamadasogo.jp/