「幻のポテチ」について、埼玉県八潮市の「菊水堂」に詳しい話を聞いた。

5000袋が1時間で完売

同社は6月6日、長崎県の希少なじゃがいもを使った「ポテトチップLady j」を販売した。

「菊水堂」HP

65グラム5袋入りで、1箱1500円。

同社の会員とSNS告知だけにも関わらず、3000袋が6時間で売り切れに。

同28日に再販した際は、5000袋(1000箱)が1時間で完売した。

「菊水堂」HP

同社によると、次回の販売は冬。なぜ、そんなに先なのか。

原料のLady jは、産地の長崎で細々と栽培しているだけです。

長崎のじゃがいもは春作と秋作、2期作ができます。春に植えたジャガイモは今回すべて使ってしまいました。

秋に植えるじゃがいもの収穫まで、新しいLady jが手に入りません。

日本で最初に「ポテチの大量生産」

菊水堂は1953(昭和28)年に創業。

1964(昭和39)年にポテトチップスの製造販売を始め、4年後の1968(昭和43)年には日本で最初にポテトチップスの大量生産をスタートした。

「菊水堂」HP

2012年にはネットショップを開設。

厳選した素材を使って自社工場で生産し即日発送する「できたてポテトチップ」を発売したところ、たちまち人気商品になった。

以降、販売直後に完売する事態が相次いでいる。

「大手がやりにくいこと」を企画

大人気の「できたてポテトチップ」は、どのように誕生したのか。

かつては、他社ブランドの商品を受託製造するOEMがメインだったという同社。

新規事業として「通信販売」の案が持ち上がり、次の2点を考えたという。

1、競合大手がやりにくいこと

大量製造・大量流通という大きな仕組みを作り上げている競合大手とは、コストやマーケティング面では勝負にならない。

しかし、少量製造・個別配送は既存の仕組みでは対応しにくく、大手は手を出しにくいと着目。

マーケティング面でも顧客のニーズばかりに基づいた商品開発より、同社が美味しいと思うものを作り、美味しいと注文してくれる客のためのビジネスに徹することにしたという。

「菊水堂」HP

2、設備投資などイニシャルコストが必要ないこと

同社のポテトチップスは米油を多く使うなど「鮮度」に敏感な商品で、できたてが最も美味しいという。

個別配送は、運送会社など外部のリソースの活用で余計な設備投資を抑えたそうだ。

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通販のみ、原料も限定

できたてポテトチップは、基本的に通信販売だけで取り扱う。

店舗販売は「どうしても扱いたい」「使いたい」と熱心に言ってくれたお店だけだ。

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同社は、ポテトチップを美味しく作る高い技術と「じゃがいも、植物油、食塩」という3つの原料に絞った安心感が、高い人気を得ている理由と分析する。

「できたてポテトチップ」は、鮮度が商品の命だからです。

これをご理解いただける一部のお店で扱っていただいています。

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常に「こども目線」で商品づくり

社長の岩井菊之氏は、ポテチづくりについて信条がある。

菊水堂は1975(昭和50)年に明太風ポテトチップを開発し、5年後の1980(昭和55)年に他者が激辛の商品を発売した。

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その時、創業者の父・岩井清吉氏が「子供が食べるものだから、菊水堂はそんなに辛くしては駄目だ」と言ったという。

父の「子供が食べるものだから」という言葉が支えです。

常に子供目線での商品を作り続けたいと考えております。

化学調味料を使わない「料亭のポテチ」

同社は6月30日から、京懐石の名店「下鴨茶寮」とコラボした「料亭のポテトチップ」を数量限定で発売している。

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醸造醤油を凝縮して粉末化するなどして、化学調味料を一切使わずに素朴かつ上質な味を再現したという。

子供が口にすることを意識した商品づくりが、今も息づいている。