ワタシの話を聞いてーー夫婦愛の破壊と再生その3【第40話マンガ連載:鈴木さんちの子育て通信】

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皆さんこんにちは、Chaccoです!

マンガ連載:鈴木さんちの子育て通信

我が鈴木家は産後1ヵ月足らずで、
カワイイ新生児と愛する旦那とホッコリ…という妊婦が夢見るイメージとは真逆の、

『夫婦2人とも育児ノイローゼで家庭内はギスギス』

という状況に陥っていました。

産褥期で体の自由がきかず寝てばかりのワタシ。
かわりに家事・育児を一手に引き受けたものの日に日に疲れていく旦那。
毎日3時間おきにギャン泣きするムスコ。

もうコレは第三者にSOSを出さないとやってられん…!

と、旦那側のじぃじとばぁばに家まで来てもらう事になりました。

頼れる義母がやってきた

ーーが!
当日チャイムが鳴ると孫へのプレゼントを抱え目をキラキラさせた、じぃじとばぁば。

一目散にムスコのもとへ駆け寄り、「きんちゃーん!!きたよぉぉぉお♡」と孫への愛を炸裂!

(孫を可愛がるついでにオムツ替えとミルクあげをお願いできたら…)

そんなワタシの心の声は届かず、盛り上がった末に出てきたのは「ばぁばのオッパイ飲むかね〜!」というショッキングな発言。

2人が帰宅後「なんで“完ミ”育児のワタシの前であんなこと言うんだぁぁああ!キーー!!」と号泣する始末。(※完ミ=完全ミルク)


ーーこんなことならまだ旦那とムスコと3人で引きこもってるほうが楽だったーー


やっぱり、イザと言う時にどっぷり甘えられるのは実母だよな…っ!

ということで、次はワタシ側のばぁばに家まで来てもらいました。

頼れる実母がやってきた

「えーと、ミルクは何cc作るの?はいはい人肌に冷ませばいいのね?アンタ体調はどう?これ駅前でお弁当買ったから好きな時に食べなさいね!あらあら泣いちゃった〜よしよし♪」

家に来るなりテキパキとお願いした事をこなしてくれる実母に感激したワタシは、今度こそゆっくり出来る!と安心して一休みすることに。

ーーが!!
布団に入るやいなや隣の部屋でバタバタ、カチカチと物音。
「ちょっとお茶もらうわね〜!コレかな?」
「で?粉ミルクはどこだ?哺乳ビンってここの使ってもいいの〜?」
などの細かな質問攻撃。

「…ええと、流しのじゃなくて消毒した哺乳瓶を使ってほしくて…あ、もうソッチ行くわぁ…」。

結局、やり方や注意点を手取り足取り教えている間に1〜2時間があっという間に過ぎていく始末。

しかも、お昼を食べてる最中に「お父さん(じぃじ)は今日来ないの?」とワタシが一言聞くと、

「もぉ〜ねぇ〜あの人は最近夕方になんないと起きないし夜は相変わらずお酒飲みに行っちゃうし今日だってアタシに『よろしく頼むぞ』とか言ってさぁ自分では何にもしないでやんの!その点アンタの旦那さんは本当に家族思いで優しくてよかったわぁ…そうそう最近は『旦那さんの産後うつ』っていうのもあるんだって?アンタ甘えすぎて旦那さんに嫌われないようにねぇ?それとこの間……」

と、マシンガントークで喋り倒し、育児の事どころか、ワタシの方の『旦那とギスギスしている』という悩みを打ち明ける隙など皆無。


ーーこんなことならまだ旦那とムスコと3人で引きこもってるほうが楽だったーー


遂にワタシは「身内にはもう頼りたくない!頼らない!」と意固地になってしまいました。


きっとこの1ヵ月、家の中で引きこもってたからこんなクサクサした気分になるんだわ!
晴れの日にお散歩でもすればスグに元気になるんじゃないかなっ!?

そんな期待を込め、産後の体調不良が軽くなった頃合いに気分転換に出かける事にしました。

ベビーカーにちょこんとムスコを乗せ、駅前に繰り出してみると…

なんと、通りすがりの皆さんが『あら〜カワイイ〜☆』という目でムスコを見ているじゃないですか!

たちまち気分も晴れやかになったワタシは、
『この子を産んだのはこのワタシですよ!ワ・タ・シ!』とドヤ顔。

やっぱり外の空気を吸うのが一番!出かけて良かった〜なんて、気分よく街を闊歩。

しかし、ベンチで休憩してる時に近づいてきたおばあちゃんの言葉を皮切りに、そんな気分が一変しました。


「今が一番かわいい時よねぇ〜、あなた若いんだから次の子も頑張ってね!」

心に突き刺さる、たくさんのアドバイス

他にも、バスに乗ったとき、電車に乗ったとき、1ヵ月検診などで病院に行った時…

必ず年配の方がニコニコした顔で寄って来て、このような事を言うのです。

「育児はね、お母さんがいつも笑顔でいることが1番なのよ!」

「俺が子どものころは兄弟が5〜6人いたのよ、最低でも3人は産まないとな!」

「ちょっとお母さん、赤ちゃんまぶしがってるわよ〜!ちゃんと日よけしてあげてっ」

「やだぁ〜ほっぺの湿疹どうしたのぉ〜赤ちゃんかわいそうじゃない〜」

アドバイスや経験談、注意に叱咤…目の前の赤ちゃんの可愛さに、良かれと思って様々な言葉をかけてくれるのです。

もうね、有難いなという思いが胸の奥底でいっぱいになってしまって、本音の叫びが喉元まで出かかるわけですよ。

――みんな好き勝手話してないでワタシの話を聞いてくれぇええええーー!!――

元気になりたくて、SOSをだして、身内がダメならと外出してみても、結局見つかったものは

『この世界の中心はムスコ(赤ちゃん)であって、産んだワタシには誰も興味がない』

という寂しい現実でした。


じゃあ、自分に興味をもってくれてそうな友人・知人なら…と助けを借りようかとも思いましたが、ネガティブ一直線になってるワタシ。

久々に連絡して急に育児のストレスとかぶちまけられてもきっと引かれるよな、と殻にこもってしまいメールもラインも出来ませんでした。

結局、いちばん自分の現状を理解してくれているのは旦那だ…。

せっかく外界との接点を持とうとしたのに、また全てを旦那にぶつける事になってしまいました。

しかも、愚痴を聞く旦那のウンザリ顔にやっと、そもそも夫婦関係のギスギスが事の発端だったと気づく顛末。

いつまでこんな孤独な日々が続くんだろう…。

そんな思いが離れず、ずっと暗いトンネルの中に閉じ込められたような気持ちで眠れない夜。

同じく寝不足の旦那を見つめながら、母が言ってた

『旦那さんの産後うつっていうのもあるんだって?』

という言葉が頭の中でグルグルと渦巻いていました。


つづく