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地中海式食事でよく用いられるオリーブオイル。日本のスーパーマーケットなどでも一般的に販売されるようになっており、日本人にとっても馴染みのある食材になってきたと言えるのではないだろうか。オリーブオイルに対して「健康」というイメージを想起する人も多いだろうが、そのイメージを一段と強固にしそうな研究が海の向こうで報告された。

海外のさまざまなニュースを報じる「MailOnline」にこのほど、「オリーブオイルと認知症の関係性」にまつわるコラムが掲載された。本稿ではその内容を簡単に紹介する。

オリーブオイルを摂取すると記憶力がよくなり、認知症の予防につながるかもしれないことが最近の研究で明らかになった。オリーブオイルの摂取によって脳から有害な不要物が取り除かれ、認知症リスクが下がることが判明。定期的にオリーブオイルを摂取すると、年齢を重ねても記憶や新しいことを学ぶ能力が守られることも示唆されている。

オリーブ油を摂取すると、アミロイド斑と神経原線維変化といった有害なものが脳にたまりすぎるのを防ぐ。このような物質が脳に蓄積されるとアルツハイマー病を発症しやすくなることが知られている。

「オリーブ油を摂取すれば脳の炎症を軽減できますが、最も重要なのはオートファジーと呼ばれるプロセスを活性化させることです」と主任研究員であるペンシルヴァニア州テンプル大学のドメニコ・プラティコ教授は語る。オートファジーとは細胞自身が不要なたんぱく質を分解する仕組みのことだ。

研究者たちによると、アルツハイマー病を発病したマウスがオリーブオイルを摂取したところ、脳内でより高いレベルのオートファジーが確認された。

「エクストラバージンオリーブオイルを豊富に含む食餌を与えられたマウスの脳細胞は、オートファジーのレベルが高く、アミロイド斑およびリン酸化タウのレベルが低下しました」と同教授は話す。リン酸化されたタウは、アルツハイマー患者の弱まった記憶力に寄与すると疑われる神経原線維変化を引き起こすとされている。

今回の研究はアルツハイマー病を誘発したマウスを用いて行われた。このマウスは記憶障害およびアミロイド疫病、神経原線維変化という3つの特徴を発症した状態だった。

研究者らは、マウスを「エクストラバージンオリーブオイルを豊富に含む食餌を与える群」と「通常の食餌を与える群」の2つに分けた。オリーブオイル入りの食餌はアルツハイマー病の兆候が見え始める前の段階、すなわちマウスが6カ月齢の時点から与え始めた。

餌を別々に与えるようになった当初、この2群に有意差は見られなかった。だが、9カ月齢および12カ月齢において、オリーブオイル入りの食餌を与えられたマウスは、作業記憶、空間記憶などが「通常餌群」のマウスに比べて有意に優れていたとのこと。

両群のマウスの脳組織を比較したところ、神経細胞の外観および機能において劇的な差異が確認できた。「一目ですぐにわかる違いはシナプスの完全性でした」とプラティコ教授は語る。エクストラバージンオリーブオイルを摂取していたマウスは、ニューロン間をつなぐシナプスの完全性が保たれていたという。

また、オリーブオイルを摂取しなかったもう一つのグループのマウスと比較すると、脳の神経細胞のオートファジー活性化が劇的に活性化していたことも確認できた。これらの現象がアミロイド斑およびリン酸化タウレベルの低下につながったとみられている。

※写真と本文は関係ありません

○記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。