ある有名な日系企業で管理職に就いている日本人の林奨さん(53)は、氏名が漢字2文字からなるため、中国では「なんちゃって中国人」と呼ばれている。そんな林さんは中国ドラマファンで、会社では真剣な顔つきで仕事をしているものの、夜になると、中国のドラマに見入っているという。そして、涙もろく、ドラマ「半路父子」、「人間四月天」、「父親的身■(■はにんべんに分)」などを見て、号泣したという。(文:▲《▲は刑のへんにおおざと》暁◆《◆は女へんに青》。環球時報)

林さんと中国ドラマとの「縁」は偶然によるものだった。北京に来たばかりだった2011年に、「鋼鉄年代(Iron Age)」を放映しており、中国で活躍する日本人女優・松峰莉璃が第二次世界大戦終了後に鞍鋼に残って建設をサポートする日本人エンジニアを演じていた。それを見て、林さんは、中国で日本人は「鬼子(日本人に対する蔑称)」ではなくなったんだと感じ、ポジティブな役柄で日本人が登場する中国ドラマに興味を持つようになったという。「小姨多鶴(Auntie Duohe)」には、中国東北地方のある家庭が、戦後中国に残っていた日本人女性・竹内多鶴を救出するというストーリーだった。「女優・孫儷(ソン・リー)の演技が素晴らしかった。彼女の日本語のセリフもとても上手で、泣いたり、笑ったり、苦しんだり、慌てたりしている時など、どの表情もとても真に迫るものだった」と林さん。

林さんが最近はまっているドラマは「人民的名義(In the name of people)」。筆者が「早送りで見てもいい部分もある」と伝えると、林さんは、「もったいない」とし、「このドラマが中国に対する見方の新天地を切り開いてくれた。中国は長い歴史を誇り、素材も多い。オリジナルの脚本は複雑で、ストーリー性がとても強い。日本ドラマのように、同じようなテーマのドラマばかりで、どれを見てもあまり変わらないということはない。中国のドラマは映像がきれいで、BGMや挿入音楽も好き。全体的に映画より面白く、レベルが高い」とした。ただ、「中国の歴史ドラマはあまり好きではない」といい、その理由について、「意味がよく分からないから」と説明し、大ヒットした「宮廷の諍い女」のようなドロドロしたストーリーも嫌いという。

ビジュアル的な部分を楽しむほか、中国ドラマを見ると、生活についていろいろと考えさせられるという。「心術」を見ていた時は、微信(Wechat)のモーメンツに、「人はただ生きるために生きるのではなく、生きるにも最低ラインというものがある」と書き込み、「好先生(To Be A Better Man)」を見終わった時には、「本当の意味でいい人とはどんな人なのだろう?」と書き込んだ。

毎晩、床に就く1時間前、林さんは晩酌しながら中国ドラマを鑑賞し、その時間が1日の中で最もリラックスできる時間という。面白いドラマを見つけると、週末は1日中ドラマ漬けになり、さらに、朝早く起きてドラマを見てから会社に行くこともあるという。

ドラマをたくさん見て、「中国語のヒアリングや会話も上達したし、中国の歴史や文化、風土、人情なども理解できた。さらに、中国人の日常生活の細かいところや物事の対処の仕方なども知ることができた」と収穫もたくさんあるという。そして、中国人との会話のネタもでき、北京方言の中国語を時々話すと、中国人から喜んでもらうことができ、たくさんの中国人の友だちを作るきっかけにもなっている。そして、それらの中国人の友人が、また面白いドラマを勧めてくれる情報源になっている。今では、北京だけでなく、上海や広州にもその「輪」が広がっており、面白いドラマがあると、誰かがすぐに教えてくれたり、DVDをプレゼントしてもらったりするという。(提供/人民網日本語版・編集KN)