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 ジャパンディスプレイ(JDI)が6月21日、波乱の株主総会を終えて2週間が経過したこの時期に、一連の流れを振り返り、今後の展開も分析してみたい。

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 (1) 5月17日、JDIの弟分で有機EL開発会社のジェイオーレッド(JOLED)が21.6型の高精細4K有機ELパネルのサンプル出荷を開始した。 (2) 6月7日、創業以来の業績不振を挽回するために2016年12月策定された中期経営計画の中で目玉だった、JOLEDの子会社化が1年間延期されることが発表された。 (3) 6月7日、シャープ幹部が経営再建中のJDIについて、記者団に「独占禁止法の問題があり買収や合併はできないが、技術協力などは可能だ」と発言し「日の丸連合をつくりたい」と意欲を示した。 (4) 6月20日、シャープの株主総会と経営説明会で副社長が「日本の技術を結集して、新たな大型のテレビに向けた開発をしたい」と発言した。

 シャープが液晶ディスプレイの成功体験にこだわり、「液晶の次も液晶」と言って来たことはよく知られているが、そのこだわりが後の苦境を呼び、台湾の鴻海精密工業傘下で再建するまでに追い詰められるに至った元凶であった。その苦境を経験したシャープの経営陣が「(JDIに絡んで)日の丸連合」に言及し、「日本の技術を結集して、新たな大型のテレビ」を開発したいという発言には、リップサービス以上の明確な意思が感じられる。

 アップルは韓国サムスン電子から供給を受けて、今秋発売のiPhoneに有機ELパネルを搭載するとみられている。マーケットは急速に有機ELにシフトし、本格的な普及期に入る。この流れは止められない。JDIの弟分にあたるJOLEDが印刷方式で生産した有機ELパネルのサンプル出荷にこぎ着けた(1)の意味は大きい。

 (2)に至った理由については「事業モデルのさらなる検討を行う」ことが表明されたのみであり、今更感が強い。しかも、JOLEDの東入来社長がJDIの会長兼CEOに就任し、2社に関する迅速な意思決定が可能になったことを考慮すると、既定路線であった子会社化を超える、「事業モデルのさらなる検討を行う」と考えることが自然である。

 (3)ではシャープ幹部がJDIについて語ったというよりは、産業革新機構を通じてJDIと関係が深いJOLEDを意識して発言したと見るべきではないのか。液晶を主力とするJDIにシャープが関心を持つことは不自然だ。

 (4)は明らかにJOLEDの有機ELが標的だ。未だに調整が続いている東芝のメモリー事業売却と関係性が類似している。メモリー事業売却も日の丸連合の中に、韓国SKハイニックスが参加しているが、「SKハイニックスは、産業革新機構など3団体の1つに資金提供する。議決権がないため経営に関与しないという認識だ。技術流出を防げると考えて総合判断した」という東芝の綱川社長の説明を援用すると、シャープの後ろ盾となっている鴻海の役割が想起される。どちらもタクトを振っているのは産業革新機構である。

 液晶が主力のJDIの業績回復を、今の業態のままで期待することは困難である。そのためJOLEDを子会社化するプランが浮上したが、そのプランに対し鴻海がシャープを通して別のスキームを示した。そこで、JOLEDの子会社化を1年延期することにして、周辺環境の条件整備を急いでいると読めるのだ。鴻海はSKハイニックスのような立場に止めて、技術流出はしないとのロジックを構成するのではないだろうか?それで初めて、中計では子会社(JOLED)の社長の立場だった東入来氏が、親会社(JDI)の会長とCEOも兼務する謎が解けるような気がする。