ペテル・サガン【写真:Getty Images】

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第4ステージで大クラッシュ、“エルボー疑惑”で失格…米メディアが正当性検証

 自転車ロードレースの祭典「ツール・ド・フランス」第4ステージでゴール前に起こった大規模な落車事故。世界王者ペテル・サガン(スロバキア)がラストスパートを仕掛けた際、マーク・カベンディッシュ(英国)と接触し、相手は落車した挙句に右肩などを骨折。リタイアを余儀なくされ、サガンは“エルボー疑惑”で失格処分を言い渡された。果たして、サガンに対するペナルティは正当だったのか。米メディアがクラッシュ劇を検証している。

 ゴール間のクラッシュ劇を引き起こした疑惑の浮上しているサガンについて、「エルボーゲート(肘打ち事件)」と命名したのは、米地元紙「シカゴ・トリビューン」電子版だった。

 事件が起きたのは、ゴール前50メートルのラストスパートの場面。通算30勝のカベンディッシュは、フェンス側から前方のサガンを抜きにかかる。すると、サガンの右腕が直撃し、バランスを崩してフェンスに激突。地面に叩きつけられ、カベンディッシュは右肩を骨折し、後続もカベンディッシュとバイクの転倒で次々と落車する大クラッシュに発展した。

 カベンディッシュは骨折などの重傷でリタイア。一方、サガンは失格処分が言い渡された。テレビ中継などの映像では、サガンの腕がカベンディッシュに肘打ちを見舞うように映ったため、「エルボーゲート」は複数メディアで取り上げられ、ロードレース界のスーパースターは批判の対象となっていた。

 しかし、一石を投じるように、シカゴ・トリビューン紙電子版では「大会側はペテル・サガンを失格にしたことは正しい選択だったのか? 競技選手が議論する」と問題提起する特集を展開した。

クックは左岸の無罪を主張「間違った決定。肘を使うことはよくある」

 まずは、2003年のツール・ド・フランスでポイント賞を獲得したバーデン・クック(オーストラリア)のツイートを紹介している。

「サガンを母国に送還させたことは間違った決定だった。あれは故意ではない。自分自身の落車を防ぐためにスペースを作るために肘を使うことはよくあるんだ」

 クックはサガンの無罪を主張した上で「彼が失格になるべきとは私は考えない」と再度ツイート。ハッシュタグで「サガンゲート(サガン事件)」と添えるなど、大会側の処分に疑問を呈している。

 一方、元ロードレーサー、イェンス・フォイクト(ドイツ)はクラッシュ発生に別の選手に原因があった持論を展開。米テレビ局「NBCスポーツ」の中継の発言を紹介する形で「(フォイクトは)この連鎖反応が最終的な勝利者となったアルノー・デマールが引き起こしたと指摘している」と報じた。

 そして、特集では“被害者”となったカベンディッシュのラストスパートにも疑問を呈している。

記事は無謀なチェイシングの可能性を指摘「連鎖反応引き起こす結果に」

「カベンディッシュは(前方の)スペースが閉ざされようとしているのに入り込もうとした。そして、トラブルに巻き込まれた。スリップストリームで後続に追われていたため、連鎖反応を引き起こす結果をなった」と無謀なチェイシングの可能性と指摘した。

 さらに、サガンについては「どんなスプリンターもするように自分のスペースを守った。バランスを保つために動いた。しかし、それはどのスプリンターも理解できる侵入禁止ゾーンとスペースを定義するためのものだった」とエルボーを擁護している。

 ツール・ド・フランスでサガンの前に失格処分となったのはカベンディッシュの当時チームメートだった2010年のマーク・レンショー(オーストラリア)。執拗な頭突きを繰り返したことで失格処分となり、カベンディッシュの優勝も取り消された過去もあった。

 レンショーの行為と比較し、「サガンは高速回転する車輪に従ったまで。どんなスプリンターもすることだ」と記事では主張している。

 特集は加害者という立場で報じられているサガンを一貫して擁護。エルボーゲートは世界的に論議となった。