欧州SUVとの勝負に2Lターボは必須アイテム

  三代目となる現行型ハリアーが、初のマイナーチェンジを実施した。その開発責任者をつとめた石井隆さんは、初代ハリアーの開発ではボデー設計を担当し、二代目と三代目では商品開発の立場から開発全般を牽引してきた、いわばハリアーのすべてを知り尽くしたエンジニアだ。

「一番思い入れが深いのは国内専用モデルとなった三代目です。衝突安全などについて国内専用ということもあって開発要素が少なく、先行車評価もありませんでしたので、そのおかげで自分たちがやるべきことをさらに深く突き詰めることができました。今回のマイナーチェンジでも、新設するボデー部品について私自身がすべての図面をチェックし、OKを出さなければ先に進めないというルールをチーム内に作って開発に取り組みました。ひたすら図面を見まくる日々でしたね」

  そんな石井さんは、今回のマイナーチェンジの狙いについて次のように語ってくれた。

「大きな狙いが3つありました。ひとつは『高級』『先進』『洗練』からなるハリアーのイメージ『ハリアーネス』に、さらなる『スポーティ』さをプラスすることです。2つ目は時代が進んだ分だけ、ハリアーにも進化を与えること。3つ目は正常進化の一環として『トヨタセーフティセンスP』などの先進・安全装備を充実させることでした」

  新型ハリアーでは、2リッターターボが新たにラインアップされているが、それはひとつ目の狙いにもとづいたものだ。

「もっとスポーティなハリアーがあったら購入を考えるのに。そんなお客さまにもしっかり応えられるようにと考えました。また、営業サイドから『輸入車にも対抗したい』という要望があり、欧州のプレミアムSUVと勝負するためにも、スポーティさは重要だと考えたんです。そのためにも2リッターターボは絶対に必要だと思いました」

「本物感」ではなく「本物」の高級が味わえるクルマに

  2つ目の狙いである「時代分の進化」は、おもに内外装のデザインによって表現されている。石井さんはこう語る。

「本物感から本物への昇華を狙いました。より本物となった高級感を味わっていただけるクルマに仕上げました」

  そして3つ目の狙いである先進・安全装備の充実。新型ハリアーでは、衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスP」や電動パーキングブレーキの標準装備をはじめ、フロントのランプにはアダプティブハイビームやシーケンシャルターンランプを採用するなど、安全性とともに使いやすさの向上も図られている。

「今の時代で欲しい装備をすべて欲張って入れたという感じの仕様です。さまざまな装備の充実を図りながら、ベースグレードの価格は従来と比べてそれほど上げてはいません。ターボについても、内容を見ていただけるとかなりお買い得感が高いことをお分かりいただけるはずです。どのグレードも自信を持っておススメできるクルマに仕上がったと自負しています」

  じつは石井さん、マイナーチェンジモデルをすでにご自身でも購入済みとのこと。それは今回のマイナーチェンジを徹底的にやり切ったという想いがあるからこそだろう。

「その想いは強いですね。最後の最後まで徹底的に粘りましたからね。量産のための品質確認が終わったあとにも『ここを直させて欲しい』と言って設計サイドを困らせてしまったり(苦笑)。やっぱりお客様に同じ金額で買って頂くなら、少しでも良いものを買って頂きたいじゃないですか。粘っていい物ができるなら、とことん粘りたいんです。それはエンジニアとしての矜持みたいなものです。
けれど、こうしたこだわりが貫けるのは、頼りにできる開発メンバーたちがいるからです。ここまで商品力の高い新型ハリアーを作り上げることができたのは、彼らの存在があったからだと思っています」

  エンジニアたちのプライドと団結。新型ハリアーは、彼らの熱い想いがしっかりと込められたクルマといえるだろう。