金正恩氏

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今月1日、小型漁船に乗って韓国海域に流れ着き亡命を求めた北朝鮮人5人は平壌出身のエリート層であることがわかったと、韓国の朝鮮日報が報じた。

韓国政府筋は、亡命した5人は、エンジニアのAさんとその息子、息子のカノジョ、Aさんの弟家族だったと明らかにした。Aさんも息子もそのカノジョも、平城(ピョンソン)理科大学を卒業したエリートで、平壌で暮らしていた。

中朝国境で、一歩間違えれば人身売買の被害に遭いかねない一般的な脱北者とは、かなり様相の異なる話である。

(参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

5人は、金正恩政権になってから体制に疑問を抱くようになったという。そして、東海岸の元山(ウォンサン)で小型漁船を購入し、海上出入証を得て韓国に向けて出港した。5人は時間と費用をかけて、緻密な脱北計画を立てていたということだ。

海洋警察の関係者はニュース1の取材に、漁船のエンジンは故障していなかったと語った。つまり、偶然韓国の海域に流れ着いたものではなく、明確な意思を持って韓国に向かっていたのである。

また、統一省当局者は聯合ニュースの取材に、現在5人に対する取り調べが行われているが、全員が韓国に亡命する意思を示していると述べた。

北朝鮮で最も恵まれた生活を送っている平壌市民の脱北は極めて稀だ。統一省の資料によると、今年3月末の時点で韓国に入国している脱北者3万215人のうち、平壌出身者は693人、わずか2%に過ぎない。

ただ、それは国境へのアクセスが難しいからでもあり、外国からの情報により多く触れている平壌のエリート層の中にも、「機会さえあれば……」と考えている脱北予備軍は少なからずいるものと思われる。

この5人とは別に、2010年まで祖国平和統一委員会(祖平統)に勤めていた40代女性も3ヶ月前に脱北し、中国を経て最近韓国に到着した。北朝鮮の対韓国窓口機関である祖平統関係者の亡命は今回が初めてだ。この女性は取り調べで、北朝鮮の朝鮮労働党統一戦線部と祖平統の現状について詳しく語ったと伝えられている。

さらに、キリスト教系のNGOの北韓正義連帯は、韓国の国民日報に、先月10日に平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)の特閣(別荘)の警備訓練中に、鴨緑江に飛び込んで脱北した朝鮮人民軍の新兵、ソン・ミョンハク(仮名)さん(17歳)を、中国国内で保護していると明らかにした。

特閣の警備兵であれば、金正恩党委員長の警護を司る護衛司令部の隷下部隊にいた可能性がある。護衛司令部の精鋭部隊については、「喜び組」の統括組織として知られる朝鮮労働党の組織指導部護衛総局、通称「5課」が行っているのだが、脱北の情報が事実ならばたいへんな失態と言える。