都県境の辺縁部には共通する何かがあるように感じられる。写真は北千住の街

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「絶対に○○してはいけない」というニュアンスの言い方には、言外に反対の意味が含まれることも多い。「絶対に笑ってはいけない」「絶対に電車の中で読んではいけない」といった枕詞の後には、大抵笑いが待ち受けているものだ。いわゆるフリという奴である。

 しかし本書『「東京DEEP案内」が選ぶ 首都圏住みたくない街』の「住みたくない」は、どうも本気と書いてマジと読ませるタイプのようである。吉祥寺、自由が丘、下北沢は「甘すぎて無理ゾーン」。豊洲、武蔵小杉、新浦安は「似非セレブすぎて無理ゾーン」。二子玉川、清澄白河は「意識高すぎて無理ゾーン」というから、もはや本書の著者は一体どこに住んでいるのだろうかと問い質したくもなる。

 著者は、触れられたくない街の「不都合な部分」にあえて首を突っ込んでいくことで定評のある「東京DEEP案内」というサイトの管理人。元々は大阪を中心に西成や生野区といったDEEPなスポットばかりを紹介する「大阪DEEP案内」を運営しており、2008年から東京へ進出したというから、この領域にかけては筋金入りのスペシャリストだ。

 本書は、その「東京DEEP案内」の9年に及ぶ活動の中で、これまでに訪れたいわくつきな現場の数々へのレポートを「住みたくない街」というコンセプトに基いて纏めあげた、首都圏ダークサイドの決定版である。

 だから当然、東京に住むこと自体が無理なのではないかと思えるほどの斜め上からのツッコミだけで終わるわけもなく、紛争地帯すぎて無理ゾーン(池袋、小岩、町田、川崎、鶴見、西川口、松戸)、貧乏臭すぎて無理ゾーン(竹ノ塚、金町、蕨)、通勤難すぎて無理ゾーン(葛西)、陰気臭すぎて無理ゾーン(戸田、八潮)と東京近郊のDEEPさの核心へと迫っていく。

 自分がかつて何も知らずに住んでいたエリアの記述をうっかり見つけてしまった時こそ涙目になるものの、星の数ほど存在するダークサイドのほんの一部にすぎないということが本書全体を通して伝わってくるため、それ以外のエリアについては何事もなかったかのように別人格として眺めることができる。

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