Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは、妻のプリシラ・チャン氏とともに行ったアラスカ旅行の中で、アラスカ州には無条件に現金などが支給される「ベーシックインカム」を含む様々な社会保障制度が存在することを知りました。ザッカーバーグ氏は「他の国にも教訓になる内容だ」と語り、その概略をFacebookに投稿しています。



Priscilla and I spent the weekend around Homer, Alaska as part of the Year of Travel challenge. It's beautiful...Mark Zuckerbergさんの投稿 2017年7月4日


◆アラスカ州のベーシックインカム制度

ザッカーバーグ氏によると、アラスカ州には「Permanent Fund Dividend(永久基金の配当)」と呼ばれるベーシックインカム制度が存在するとのこと。アラスカ州の主な収入源は鉱物資源ですが、万が一資源が枯渇したときの備えとして、鉱物資源などから得られたお金の一部を「アラスカ永久基金」として積み立てています。アラスカ州の住民はこの基金から毎年1人あたり1000ドル(約11万円)以上のベーシックインカムを受け取ることができるため、例えば5人家族なら年間50万円以上の収入が無条件に発生するとのこと。

ザッカーバーグ氏はアラスカ州独特のベーシックインカム制度を「革新的なアプローチ」と称賛し、その理由を2つ挙げています。1つ目はベーシックインカムの資金が増税ではなく天然資源から提供されていること。2つ目は「進歩主義的な大規模な社会保障制度ではなく、小規模な行政による保守的原則に基づいていること」としており、ザッカーバーグ氏は「ベーシックインカムが超党派的な考え方で運用できる」と述べています。

また、アラスカ州には民間企業の提供する「ベーシックインカム」も存在します。ザッカーバーグ氏と夕食をともにしたアラスカ先住民の話によると、アラスカの土地はアラスカ先住民によって運営されている民間企業によって所有・開発されており、これらの民間企業は開発状況に応じて株主の大半を占めているアラスカ先住民に年間配当を支払っているそうです。つまり、アラスカ先住民であれば、アラスカ永久基金と民間企業から2種類の配当を得ることができるわけです。

このアラスカ州のベーシックインカム制度を見たザッカーバーグ氏は「組織は借金を負っている時よりも、儲かっている時の方が大きく異なる考え方をする」という、初期のFacebookを運営していた頃に学んだ教訓を思い出したとのこと。お金がない時は主に生き延びることしか考えられませんが、儲かっている時は将来について楽観的に考えることができ、投資や成長の機会を探す余裕を持つことができるというものです。

「アラスカの経済はこのような物の考え方が歴史的に育まれたことに作り出されており、それがベーシックインカムにもつながっている。この考え方は他の国にとっても教訓になるかもしれない」とザッカーバーグ氏は語っています。

◆サーモン漁の支援制度

また、アラスカ州の社会保障制度はベーシックインカムだけではないとのこと。その一例が「自給自足のための漁業支援」で、毎年行政主導でサーモンの稚魚が河川に放流されるそうです。放流された稚魚は海へ出て、成長したのちアラスカの河川に戻ってきます。アラスカの住民は戻ってきた大量のサーモンを漁獲することで、家族を養うことができるとのこと。ザッカーバーグ氏が見学したところ、網漁で捕れたサーモンは1時間で6匹。これだけあれば、家族で数週間食べていくことができます。



ザッカーバーグ氏はこの「社会保障制度としての自給自足のための漁業支援」についての利点を挙げています。1つ目は各国で「社会保障プログラムに参加させるのが難しい」という問題がある中で、アラスカでは住民が誇りを持ってサーモン漁に繰り出しているだけでなく、漁業という文化的遺産の保護にもつながっていると述べています。2つ目は「最も効果的な社会保障プログラムは単に報酬を与えるものではなく、仕事やインセンティブを必要とするもの」ということ。アラスカでは漁師が生活のために漁業を行い、誰もが暗黙の了解のうちに漁場の整備や掃除を行うという流れが生まれています。



なお、これらの社会保障制度は特に際立った例ですが、ほかにも参考になるプログラムが存在するため、ザッカーバーグ氏は後日にまとめてFacebookに投稿する予定とのこと。ザッカーバーグ氏いわく、「もしアラスカを旅する機会があるのなら、23時まで太陽が沈まない夏季が景色も美しくオススメ」ということです。