先日掲載の記事「支持率89.9%。プーチン人気3つの理由とロシア経済3つの不安」では、ロシア国民からプーチン大統領が支持されている理由について詳しくお伝えしました。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者でモスクワ在住の北野幸伯さんが、誰もが抱く「そもそもロシアの世論調査なんてアテになるのか」という疑問に答えるとともに、プーチン大統領の「本当の支持率」について記しています。

プーチン、ホントの支持率は何パーセント?

2014年3月、ロシアは、クリミアを併合しました。それで、いまだにアメリカ、EU、日本から制裁されています。当時、原油価格は、バレル100ドルを超えていた。しかし、いまでは40〜50ドルの間をウロウロしている。ルーブルも暴落した。それで、ロシア経済はボロボロになりました。

「プーチンどうですか?」聞かれることがあります。私は、「クリミア併合以後、ずっと支持率80%をこえています」などと答えます。すると、「なんで景気がバリバリ悪くてそんなに支持率高いのだ?」と疑念が湧くのでしょう。

こんなこと↓をいう人が、よくいます。

「そもそもロシアの世論調査って、アテになるんですか〜〜?」

ですよね〜〜。私もそう思います。

この件について、元日経新聞モスクワ支局長の小田健さんが面白い記事を書かれていました。わかりやすく、しかも現地に住む者から見て、「そのとおりだ」と思える内容です。

プーチン、ホントの支持率は?

NewsSocra 7月3日から。

米国の世論調査機関、ピュー・リサーチ・センターが先週20日に発表したロシア市民を対象にした調査報告によると、ウラジーミル・プーチン大統領の外交政策への支持率は87%だった。

ポイントは、「米国の世論調査機関」です。ロシアの世論調査機関であれば、「クレムリンに脅されて、高い数字を出しているのでは?」と疑念が出てくる。しかし、アメリカの世論調査機関が、わざわざウソをつく理由はありません。

プーチン大統領の外交政策への支持率は87%

87%!!!

「ピュー」は今年2月18〜4月3日、ロシア各地で1,002人を対象に面会方式で世論調査を実施した。それによると、プーチン大統領の外交政策に「ある程度、あるいは高い信頼」を置いているという回答は87%。対中政策はもちろんのこと、悪化の一途をたどる対米政策への評価も高い。

(同上)

なぜ、プーチンは支持される?

なぜ、経済がボロボロでもプーチンは支持されるのでしょうか? 小田さんは、理由を挙げます。

その理由について様々な議論が可能だろうが、ここではまず、ロシアが「外敵」にさらされ、「強い指導者」であるプーチン大統領の下に結束して対処しなければならないとの意識が強いことを指摘したい。

(同上)

外敵??????? 誰のことでしょうか?

「レバダ」によると、プーチン支持率は2014年春のクリミア併合などウクライナ危機が起きる前、例えば2013年11月には61%だった。それでも十分高いのだが、ウクライナ危機、その後の米欧による対ロ経済制裁の実施をきっかけに一気に80%台に跳ね上がった。この出来事がロシアのナショナリズムを一段と強めたことが考えられる。

(同上)

そうなんです。プーチンの支持率は、「クリミア併合」で一気に上がった。これ、日本人にはなかなか理解できないですね。しかし、ロシア人は、「クリミアは、歴史的にロシア領。プーチンはそれを、無血で取り返した!」と大絶賛しました。プーチンは「クリミア併合」でロシアの「歴史的英雄」になったのです。

その後、アメリカは、日本と欧州を巻き込んで、「ロシア制裁」を課しました。この件について、ロシア人は、「何も悪くないのに制裁された。欧米(と日本)は、敵対的だ!」と考えている。

そう、日本や欧米とは、論理が「正反対」になっている。「どっちが正しい」という話はしません。ただ、「ロシア人が考えていること」を正確に把握しておくことは大事です。

加えて、そもそもロシア国民には歴史的にロシアは大国であるとの意識が強いとの要因もあろう。大国ロシアの象徴がプーチン大統領であり、彼はころころ変わる政治指導者の1人ではないと受け止められている。つまり、ロシアのナショナリズム、あるいは大国意識のバネが働いているとみる。

(同上)

日本の象徴は、天皇陛下。ロシアの象徴は、皇帝プーチン。象徴がころころ変わったらいけないと。KGBのエージェントが、「ロシアの象徴」になったのだから、すごいことです。

2000年、RPEには、「プーチン神への道」シリーズというのがありました。彼が「絶対権力者になるまでの過程」を書いていたのですが。いまでは、すっかり「神」になりました。

次にプーチン大統領は日々の経済政策を司る政府とは別の存在だとみる人たちが多いことも指摘したい。大統領はすべての政策を統括するのだが、経済政策の直接の担当はドミトリー・メドベージェフ首相。経済政策でヘマがあってもそれは大統領のせいではないということになる。

(同上)

面白いですね〜。ロシアでは、景気が悪くても「プーチンのせい」にならないのです。では、誰のせい? 首相メドベージェフのせい。そのメドベージェフは、「原油価格が半分になった」「制裁のせいで」などと言って逃げます。しかし、原油価格が上がって景気が上向き出すと、「景気対策の効果があらわれはじめた」などといって自画自賛します。

米欧、そして日本のメディアの中には、ロシアではクレムリンが主要報道機関を統制、親プーチン記事を垂れ流しており、それが彼の支持率を高める効果を与えているとの見方がある。確かに三大テレビ・ネットワークは政府の強い影響下にあり、国民が「洗脳」されてしまうのかもしれない。だがその一方で、ロシアの報道機関が全て国の統制下にあるわけではないし、CNNやBBCなど米欧のテレビ放送も視聴できる。中国のようにインターネットも特に強く規制されているわけではない。政府による報道統制だけでプーチン支持率の高さを説明するには無理がある。

(同上)

この件。ロシアの3大テレビ局、1カナル、RTR、NTVは、クレムリンが支配しています。それで、テレビが主な情報源である年配の人たちは、「プーチン絶対支持者」が多い。一方、ネットが主な情報源である若者の「プーチン愛」はそれほどでもない。

小田さんは、ロシアの現状について、こう語っています。

プーチン大統領の支持率が高いことは、彼を好きだとか嫌いだとかという問題とは別に認めなければならない。

(同上)

その通りです。大事なことは、ルトワックさんのいう「発明」をしないことです。

中国は、「日本には尖閣だけでなく、沖縄の領有権もない!」と公言している。公言しているのに、「中国は、儒教の国だから、沖縄を奪う意志はない」と言うのは、「平和ボケ教」に基づいて「発明」しているのです。

どういう調査をしてもプーチンの支持率は高いのに、「いや、プーチンは独裁者だから、ロシア国民が彼を支持するはずはない」というのも「発明」です。

未来を知るカギは、現在起こっていることを、感情抜きで正確に知ることです。小田さんは、こんな話で、記事を終わらせています。

ロシアでは来年3月に大統領選が実施される。プーチン氏が出馬するのであれば(恐らく出馬するだろう)、当選は間違いない。

(同上)

その通り。安倍総理とプーチンで、日本とロシアの関係は良好。おかげで、中国は、日本に手出しできない。プーチンは、確かに独裁者ですが、彼が政権にいることは、日本にとって好都合なのです。

今回の出所、是非全文読んでみてください。

● プーチン氏は80%台の高支持率、抗議デモ多発、経済マイナス成長でも

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『ロシア政治経済ジャーナル』

著者/北野幸伯(記事一覧/メルマガ)

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出典元:まぐまぐニュース!