AIやロボットを育てるまでに出世したPCパーツGPUのディープ・ラーニングとは

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ロボットや人工知能(AI)は、どうして生まれてきたのか?
子供の頃の夢を形にするためなんていう理由も、もちろんあるかもしれない。

しかし、現実は、そんなに甘いものではない。

ロボットやAIを必要とする目的は、ズバリ、人間が楽をしたいからだ。
さらに、ロボットやAIを使うことで、生産力を上げて、より豊かな社会や生活を手に入れたいからだ。

なぜなら、ロボットやAIは、
・文句を言わずに時事通りに黙々と作業をする。
・体調や病気、怪我、用事などを理由に仕事を休まない。
・人のように睡眠、休憩要らずで、24時間365日働き続ける。
からだ。

AIやロボットが登場すれば、今後20年くらい経つと、人間の仕事の多くは、AIやロボットが行い、一部の仕事を除き、人が働く必要がなくなるとまで言われている。

未来は、仕事もせずに、プラプラしているだけでいいという“人類全ニート社会”ができる。

筆者のような「仕事人間たち」にとっては、お先真っ暗な社会だ。
しかし、今どきの、「働いたら負けだと思っている人たち」にとっては、とても明るい未来がやってくるわけだ。

ただし、人類全ニート社会を実現するためには、まだAIに学習させて、もっと賢くさせなければならないのである。

■AIも勉強しないと、賢い知識は身に付かない?
人工知能(AI)に、人現の代わりをさせるためには、とてつもない量勉強が必要なのだ。

たとえば、車の自動運転だ。
車の運転ができて、地図のナビゲーションデータを活用できれば、自動運転できるAIが完成すると思ったら、それは大間違いだ。

単に1つ1つの機能を追加していっても、自動運転システムは完成しないのである。
なぜなら、走行する道路の状況は、刻一刻と変化しているからだ。
・天候の変化
・交通量の変化
・事故や渋滞などの状況変化
これら、リアルタイムで変化する状況を一瞬で判断しつつ、人間は車を運転している。

具体的には、
・急ブレーキ
・前方や周囲の障害物を避ける
・先行車を追い越す
・信号器の切り替わり
・歩道からの人や自転車、車道からの車やバイクなどの飛び出し
といったタイミングで、様々な情報や条件を判断し、最善の方法を選択して対応しながら車を運転しているのである。

だからこそ、人も過労や睡眠不足、飲酒などで判断力が低下すれば、事故を起こすなど、正しく運転ができないのだ。

AIが、人間と同じ、またはそれ以上に危険を回避して、安全で快適に車を運転できるようになるには、勉強(学習)は不可欠なのだ。

このAIの勉強(学習)方法が、今、最も注目を集めているDeep Lerning(以下、ディープ・ラーニング)なのである。

ディープ・ラーニングは、
蓄積した莫大なデータベースから複数のデータを照合する作業だ。

たとえば、人の顔から名前を導き出すといったことを学ばせるのにも適している。
顔の全体像を様々なパーツに分類したデータベースを構築する。
具体的には、
「輪郭」「髪型」「髪の色」「目の形」「瞳の色」「肌色」「鼻」「口の形や位置」
といったパーツを1つの顔から階層化したデータベースを構築する。

そして、
まずは顔全体を照合し、階層化したパーツと合致すれば、顔と名前が一致する。

しかし、同一の人でも、メガネやサングラスをかけていたり、マスクをしていたり、カラーコンタクトを装着したり、エクステで髪の毛の長さが変わっていたりする。
また、太ったり、痩せたりすれば、顔の輪郭も変化する。

こうした変化があっても、人物を特定できるようにならなければ、顔を認識して区別する仕事には使えない。

AIに人間の代わりをさせるには、顔のパーツが変更していても、一部のパーツから人物を100%に近い精度で特定できるくらいの分析力が必要になるのだ。

「Aという人物を特定するのに、目の部分だけで、耳の形状だけで何%の確率で同一人物だ」なんてやっているSF映画や科学捜査ドラマ、アニメがあるが、まさにアレと一緒だ。

この特定作業は、AIが瞬時に学ぶことができるのではない。
AI判定は、最初、間違いだらけだ。テストで言えば0点ばかり。
ところが何百、何千、何万回と照合作業を繰り返すことで、判定パターンを蓄積し、判定条件を増やすことで、判定の精度が向上し、処理も速くなっていく。
まさに、たゆまぬ学習の成果が、AIの精度を上げ、賢くするのだ。

0点ばっかりだったテストが、何度もテストを繰り返す間に40点、50点、60点と上がって行き、最後は毎回100点を取れるようになる。

最近では、IDカード登録時に撮影した写真を使い、IDカードとその持ち主であるかを瞬時に照合するシステム(NEC製)が2016年のリオ五輪においてジャパンハウスのメディア入場用に導入された。人物像の特定は、もはやAIが人に代われる時代になっているのだ。

このようにAIを学習させることで、コンピューターが人を凌駕した、人を超えたのが「チェス」だ。
チェス最強の座がAIに奪われると、次いで将棋、囲碁までも、最強の座をAIに明け渡しだのは、記憶に新しいだろう。

しかし、これだけでAIが人間を超えたとは言えないのが現実だ。

チェス、将棋、囲碁も限られた盤面上で駒を動かす。
このため、いくら賢くなり、判断パターンが多くなったとはいっても、人が生活するなかで判断するパターンに比べれば、まだ少ないのだ。

先の場合のAIは、チェス、将棋、囲碁では、人間よりも高速に先を予測し、最善の手を人間より早く、多く判断できるようになったに過ぎない。

人間に勝つだけなら、現在のAIでも十分に強い。
だが、チェスや将棋、囲碁というゲームの魅力は、単なる強さだけではない、

拮抗する「人間と人間」の駆け引きや闘いの中から生まれる戦法や闘い方の定説や崩しなど、意外性と発見に人は大きな魅力を感じてきた。

藤井四段の快進撃のような、将棋ファン以外の人でもワクワクするようなドラマや意外性がAIからは生み出せない文化となるのだ。

ロボットやAIがこうした文化を生み出すまでには、まだまだディープ・ラーニングが必要だろう。

■最も活況を呈している自動運転分野
現在、最もAIが注目を集めているのは自動運転である。

車の運転は、前述のように、走行するための状況判断で無数の選択肢、条件分岐、判断が存在している。そして、その判断の全てに人の命がかかっている。

安全性を維持する、確実なものにするには、まだまだAIは、学習は足りていない。

現在、自動運転の技術では、
・NVIDIAやインテルといった半導体メーカー
・Google、アップルといったIT系企業
・国内自動車メーカー(トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル、三菱、ダイハツ、スズキ)
・海外自動車メーカー(GM、テスラ、メルセデス・ベンツ、BMW、VW、アウディ等)
といった世界の最先端のテクノロジー企業がしのぎを削っている最中だ。

現時点では、スバルのアイサイトのように、人の運転をアシストする自動運転機能は既に実現している。

しかし、乗ってから降りるまで、いっさい人の手がかからない完全自動運転の技術を搭載した車は登場していない。

世界で最初に完全自動運転を実現したメーカーが、今後の世界の自動車産業でトップを取れると言われており、どのメーカーがそれを実現するのかに注目したい。

■ディープ・ラーニングが「難作業」を飛躍的に短縮する
NVIDIAによると、同社のディープ・ラーニングシステムがNASAに提供され、NASAの小惑星の衝突を阻止するプロジェクトで同社のシステムの有効性が確認されたという。
このシステムで処理したのは以下の3つ
1)小惑星は何でできているのか?
2)小惑星はどのような形状で、その重心はどこなのか?
3)小惑星の進路をそらす最適な方法は何か?

NVIDIAのシステムは、これまでNASAが使っていたシステムで6 か月以上かかっていた作業を、わずか6週間に短縮することに成功したという。

「小惑星が地球に接近して地球が滅んでしまうから何とかしなきゃ!」というストーリーはSF映画の定番だ。

AIとディープ・ラーニングがあれば、
急いでスペースシャトルで小惑星に行き、爆弾で小惑星を爆破する危険な行為をする必要はない。

AIが、瞬時に確実な対応方法を導き出し、あっさりと地球は守られる。
そんな時代が、実は、すぐそこまで来ているのかもしれない。