「中国の不動産王」と呼ばれている大連万達グループの王健林会長。(ネット写真)

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 「中国の不動産王」と呼ばれている王健林氏が率いるコングロマリット(複合企業)大手、大連万達グループ(ワンダ・グループ)は3日、3年前から計画していた、貴州省ミャオ族トン族自治州丹寨県貧困救済プロジェクトの運営開始を発表した。

 同プロジェクトは、丹寨県で万達観光村の建設に7億元、貴州万達職業技術学院の設立に3億元と、同県での貧困対策基金創設の5億元、計15億元(約249億円)を投入する。

 中国国内では万達グループに対する批判報道が出されている中、習近平国家主席の側近である陳敏爾氏がトップを務める貴州省で貧困対策プロジェクトを推進する同氏の真意が訝る声が出ている。

 中国金融当局の銀行業管理監督委員会(銀監会)が6月中旬に、万達グループなどの国内大手民間企業に対して「対外投資の勢いが比較的激しく、銀行間のエクスポージャー(出資金や貸付金がリスクにさらされる度合い)が比較的大きい」として、各社の海外投資計画を重点的に審査する対象にするとの通知を出した。

 この頃、習近平当局の反腐敗運動が金融界にも広がった。1月、江沢民派と深いつながりがあるとされる大富豪、「明天グループ」の経営者肖建華氏が香港から中国本土に連行された。6月、臂平の孫娘婿だった保険大手安邦集団の呉小暉会長が失脚した。銀監会の通知内容から、王健林氏も「政治的リスク」に巻き込まれたとの推測が広がった。6月22日の国内株式市場では、万達グループ傘下企業の万達映画などの株価や関連債券価格が急落した。

 貴州省は中国の中でも最も貧困地域の一つ。習主席はこれまで、公の場で貧困対策の重要性を繰り返し強調し、貧困撲滅は「過去数十年の地方における政治人生の中で、最も力を入れている仕事だ」と表明してきた。

 同時に、今秋に開催される中国共産党第19回全国代表大会(19大)において、習主席の党代表選挙区はこれまでの上海市から貴州省に変わった。貴州省は今後、中国共産党の新たな「政治的要地」になるとみられる。

 また、貴州省トップの陳敏爾氏は、習主席が浙江省党委員会書記時代に省宣伝部長を務め、習主席の側近の一人とされている。王健林氏は習主席の肝いり政策に貢献し、その腹心を取り込むことによって「政治的リスク」を回避する狙いがあるとみられる。

(翻訳編集・張哲)