■実力が伴っていけば"バブル"ではなくなるが…

 今回の都議選での"都民ファースト大勝利"について、「バブルだ」と断言するのは、元都庁職員で中央大学教授の佐々木信夫氏。

 佐々木氏は「期待値が非常に大きく膨らんでいるという意味での"バブル"だ。確かに、長期政権の中で出てきた政府与党の"たるみ"は限度を超えているという感じがする。一方で、都民ファーストには政党としての実力以上に票が入った。もちろん、この先、実力が伴っていけば"バブル"ではなくなるが、現時点で実力が見えない分、泡の方が大きいのではないか」との見方を示す。

 5日、東京都議選で初当選した「都民ファーストの会」所属の議員たちを集めた勉強会が開かれた。3日に同党の代表を退き特別顧問に就任した小池百合子・東京都知事は「華々しい初陣だった」と新人たちを祝福しつつ、襟を正すよう呼びかけた。今回当選した都民ファーストの会所属の議員は追加公認も含めて55人中39人。そのうち政治経験がないのは25人に上る。

 自民党と袂を分かち、都知事選の時から小池都知事と行動を共にしてきた若狭勝・衆議院議員は、今回の都議選について「とにもかくにも小池都知事の力が大きかったというのは間違いない」とした上で、佐々木氏の"バブル論"に対し「消えてなくなるものではないと思う。今は"正しい都民のための政治"に向けての過渡期。これまでの"しがらみ政治"から脱却する、その第一歩に立っている。その意味で、今後の政治を占う大きな転換点にあると思うし、都民の皆さんにはきちんと監視していてほしい」と話す。

 佐々木氏も期待を込めて「あえてバブルだと表現するのは、過去の傾向からみて、膨れては潰れていった政治勢力が多かったから。これから試されるのは実力。問題を解決していくところを見せること8年前、民主党によって国政レベルでの政権交代が起きたが、3年半やってみて、結果は惨憺たる状況だった。ただ、有権者の中にはこういう勢力が存在してほしいという意識も潜在的にはある」とした。

 

■野田数代表では都知事選に勝てなかった?

 一方、当の小池都知事は都議選の翌日、都民ファーストの会の代表を辞任すると発表。新たに代表に就任したのが、小池都知事の特別秘書を務めている野田数氏だ。実は野田氏は6月1日まで代表を務めており、元の立場に戻ってきた格好だ。つまり、小池都知事が代表だったのは、6月1日から都議選の翌日までの、いわば"選挙期間"だけだったということになる。小池都知事は選挙中に代表辞任については言及しておらず、こうした動きに対しては有権者から疑問の声も上がっている。

 佐々木氏は「私の定義では『都民ファースト=小池百合子』。ここがイコールでなくなると、都民ファーストの候補者たちの支持率はぐっと落ちただろうし、野田さんでは勝てなかったと思う。だからどうしても小池百合子の看板を前面に出して戦わなければならなかった」と指摘する。

 また、「小池都知事の代表辞任は形式上なもので、実質的には代表だ」とし、「小池都知事が提案したものに、都議会の都民ファースト及びその支持者たちはそのまま賛成するだろう。そうすると議論が深まらなくなる。かつて批判されていた石原都知事体制での自公が小池都知事と都民ファースト・公明に置き換わっただけにならないよう、また二元代表制のルールが守られるかどうか、この先ずっと見ていく必要がある。小池都知事も、今後の議会運営についてしっかし考えなければならない」と注文をつけた。

 若狭氏は「小池都知事は代表でなかったとしても選挙カーに乗って応援をしたはず。野田さんがそのまま代表をしていたら選挙に負けて、小池さんが代表になったから勝ったというのは違うと思う」と反論。また、自身も代表辞任の意向を聞かされたのは発表のごく直前だったとした上で「疑問を抱かれること自体は十分理解している。小池都知事は都民ファーストから離れたわけでは決してない。都民ファーストの当選者が多くなり、二元代表制の観点から批判を受けたので、代表を降りるべきだと決断したのでは」と推測。「代表は細々した仕事や手続きに時間をとられる。都政に専念したいという思いがあると思うし、時間をとられる代表よりは特別顧問になっていただいた方がいいと思う」とした。

■小池都知事、都民ファーストが国政に進出する可能性は?

 都議選の翌日、小池都知事は「都民ファースト、そしてこれからは"国民ファースト"をベースにする」とも発言しており、国政においても都民ファーストが政府・与党に不満を持つ有権者の受け皿になる可能性が指摘される。

 佐々木氏は「その空気は強い。誰も"安倍一強"がいいとは思っていないし、もう一つの軸、選択肢が欲しいと考えているのは間違いない。ただ、新しい地域政党が国政で勢力を拡大するのはなかなか難しい。大阪維新の会が日本維新の会になり、衆議院で60議席ほど獲得したこともあるが、今は3分の1くらいになってしまっている。だから、都民ファーストが国政に進出するというよりも、国会の自民党、民進党が割れる形で結集して小池さんを担ぎ、政界再編に火をつけるかどうかだ」との見方を示す。

 若狭氏は「小池知事が自ら国政に進出することはない」とた上で、「情報公開を進めて忖度政治や利権政治を追放しようとする都民ファーストの大きなうねりは都民には理解された。これは首都・東京でのことなので、国民の大多数も受け入れてくれるか、あるいは支援してくれると思う。そうなれば、国政においてもその流れが盛り上がってくることはあり得る。国政に都民ファーストのような考え方が広がって、一つの大きな国政新党ができるという可能性はある」と今後の展望を語った。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

 一方、新代表の野田数氏については、東京維新の会に所属していた都議時代「今の日本国憲法は無効だ」とする主張に賛成した経歴や、アントニオ猪木氏の事務所に在籍していた際に政党助成金など1120万円の公金を着服したとして猪木氏サイドが刑事告訴したという過去もある。 今夜21時から放送のAbemaTV「AbemaPrime」 では、野田氏本人への直撃インタビューをお送りする。