都内で、弾道ミサイル発射実験に関するニュースを伝える大型スクリーン(2017年7月4日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】(更新)今週開催される主要20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)では、米中の両国首脳による協議が予定されているが、北朝鮮への対応をめぐり両国間のせめぎ合いは日ごとに激しさを増しており、うわべだけの友好関係は、今や崩壊寸前の様相を呈している。

 北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験では、同国のミサイルに米アラスカ(Alaska)州まで到達できる能力があることが示された。7日にドイツで開幕するサミットでは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と中国の習近平(Xi Jinping)国家主席による首脳会談が行われることになっているが、対北朝鮮政策における両国間の溝はさらに深まっている。

 4日のミサイル発射を前に、トランプ大統領はツイッター(Twitter)への投稿を通じて、核武装する北朝鮮の抑制に中国が失敗したと繰り返し批判していた。これに対し、公の場で厳しく叱責するよりも密室での外交交渉を好む中国の指導者らは、いら立ちを募らせた。

 そして米中関係のほころびは5日、さらに大きくなった。中朝間の貿易が急増しているとトランプ大統領がツイッターで指摘し、北朝鮮の抑制のために中国政府をあてにしたのは間違いだったと述べたのだ。

 トランプ大統領は、「中国と北朝鮮との間の貿易は、第一四半期で約40%伸びた。われわれに対する中国の協力はこんなものか。まあ、一度は試す必要があったが」と投稿した。

 一方の習主席は3日、トランプ大統領との電話会談で、北朝鮮と関係のある中国の銀行に対して米政府が制裁を発動したこと、さらには台湾に対し13億ドル(約1470億円)の武器売却を決めたことは、両国関係にとってマイナスに作用すると述べ、米国に対する不満をあらわにしていた。

 中国は、予測不能な北朝鮮の不安定化を避けるべく、慎重に対応を進めている。その背景には、北朝鮮の政権崩壊や難民の流入、あるいは米国に北朝鮮への攻撃を仕掛ける理由を与えてしまうなどの懸念事項がある。しかし北朝鮮のICBM保有が意味するものとは、行動を起こすための時間が中国にはもうあまり残されてはいない、ということなのかもしれない。

■微妙な平衡状態

 トランプ大統領は、北朝鮮の核の脅威を止めることを自身の外交政策の最優先課題に掲げている。もし中国が北朝鮮の金正恩(Kim Jong-Un)体制を抑え込むことに失敗した場合には、北朝鮮に対して一方的に行動を起こすことも辞さない構えだ。

 習主席は4日、訪問先のロシアで、米韓に軍事演習の中止を働きかける見返りに、北朝鮮に兵器開発の停止を求めることを提案。ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領からの同意を得た。

 しかし、一部の専門家らは、北朝鮮と関わりのある銀行や企業などに対する厳しい措置を講じたり、さらには食糧や燃料などの供給量を減らしたりするなどして、中国は米国に譲歩することも可能と指摘する。

 他方で、英リスクコンサルタント「コントロール・リスクス(Control Risks)」のアンドリュー・ギルホルム(Andrew Gilholm)氏(大中華圏北アジア地区担当)は、「大事なのは、国連(UN)が制裁を講じるか否かではなく、中国がどの程度制裁を履行できるかだ」と話す。

 現在の米中関係について、香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)のウィリー・ラム(Willy Lam)教授(政治学)は、「微妙な平衡状態にある」としながら、「もし彼ら(中国)が早いうちに動かなければ、米国はピンポイント攻撃といった何らかの行動について検討する可能性がある」との考えを述べた。

 中国は今年後半、主要な共産党大会を控えており、ここで指導者としての地位をさらに強固なものにしたい習主席は、この党大会前の混乱を避ける目的で行動に出る可能性がある。このことについてラム氏は、トランプ政権による先週の一連の措置に対して中国は怒りをあらわにしているため、「米国と渡り合うことに失敗した」と見られないよう習主席が水面下で動くことも考えられると指摘している。
【翻訳編集】AFPBB News