スマートフォンのような小型デバイスは年々進歩していますが、限られたバッテリーでより多くの電力を要する高速なコンピューティングを求めた結果、スマートフォンのバッテリーが炎上するという危険な状況を招いています。このようなバッテリーによる問題の解決策の1つとして考えられているのが、バッテリーを必要としない自家発電型装置の開発であり、南カリフォルニア大学は皮膚に貼るだけで発電する「体温発電機」の開発を行っています。

Wearable thermoelectric generators for human body heat harvesting - ScienceDirect

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0306261916312594

Your body is a big battery and scientists want to power gadgets with it - The Verge

https://www.theverge.com/2017/7/5/15922172/self-powered-electronics-health-thermoelectric-generation

南カリフォルニア大学は低電力でバッテリー不要のヘルスケア製品の開発に専念する研究コンソーシアム「Advanced Self-Powered Systems of Integrated Sensors and Technologies(ASSIST)」を開催しています。ASSISTの研究の一環として、ウェアラブルデバイスを駆動できる小型の熱電発電機(TEG)の開発が行われており、上腕・手首・胸部に貼り付けるパッチ型や、Tシャツ型の熱電発電機が完成しています。



胸部に貼り付けるパッチ型の熱電発電機はそのまま心拍数・動き・呼吸を計測するウェアラブルデバイスになっており、リストウォッチ型の熱電発電機は、気温・湿度・空気中の有機化合物を計測可能なウェアラブルデバイスとして使用可能とのこと。



バッテリーはすべてのデバイスにとってボトルネックになるため、バッテリー不要のデバイスを開発することは多くのデバイスに恩恵をもたらすことになります。しかし、人間の体温による熱電発電などの自家発電では、スマートフォンや活動量計などのデバイスに十分な電力を発電することは現状では難しいとのこと。

一方で、多くの電力を必要としないヘルスケアデバイスでは自家発電技術が注目されており、ペースメーカーのような埋め込み型医療機器からバッテリーをなくすことができれば、バッテリー交換のために手術をする必要がなくなります。イーロン・マスク氏の人間の脳にAIを接続することを目指す新スタートアップ「Neuralink」のような、脳インプラントの可能性も拡大できるものと見られています。

なお、ASSISTは熱電発電技術が本格的に市場に投入されるまでに3年を要すると予想しており、「バッテリー不要のデバイス」が登場するまでにはまだ時間がかかる模様。南カリフォルニア大学以外にもバッテリーのいらないデバイスの開発は行われており、2017年9月にはクラウドファンディングのIndiegogo発のバッテリー不要のスマートウォッチ「MATRIX PowerWatch」が出荷される予定です。

Smartwatch Powered by You - MATRIX PowerWatch | Indiegogo