意外と知られていない頻尿治療の注意点  泌尿器科の医師が解説

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先日リリースした「これって頻尿?医師が教える判断基準」という記事の中で、頻尿に関する検査や治療法を紹介した。この記事を読んだ皆さんは、膀胱が過敏に反応するだけでなく、糖尿病や前立腺肥大など頻尿には様々な原因があることが分かったと思う。今回は意外と知られていない頻尿治療の注意点について、前回と同じく鳥居泌尿器科・内科(横浜市)の鳥居伸一郎院長に話を聞いた。

■薬は気質で使い分けるべき

鳥居院長が「頻尿の薬には、抗コリン薬とβ3刺激薬という代表的な薬が二つ存在します」と述べる。いずれも、意思に関係なく膀胱が反応してトイレが近くなる過活動膀胱の薬だという。

「抗コリン薬は副交感神経を下げる作用、β3刺激薬は交感神経を上げる作用がある」と鳥居院長。面白いことに心理学におけるその人の気質によって、薬の効き目が違ってくるそうだ。

「“太っちょぽっちゃり系”に多い副交感神経が高いタイプには前者が効くでしょうし、“やせ形の低血圧、ヒョロヒョロ系”に多い交感神経が低いタイプには後者が効く可能性が高いと思われます」(鳥居院長)

鳥居院長は「頻尿を診る場合も、心と身体の両方から考える必要がありますね」と述べる。

■認知症の患者には配慮が必要

鳥居院長が外来でよく遭遇するのが、認知症の初期症状としての頻尿患者だが、この場合の投薬にはとくに配慮が必要という。

高齢者の場合、自分の意思とは関係なく膀胱が活動して頻尿や尿失禁に至ったり、排尿機能障害による残尿感から頻繁にトイレに行きたくなったりと原因は様々だ。もちろん、記憶障害で排尿したことを忘れてしまい、頻繁にトイレに行きたがるケースも多いだろう。

鳥居院長は「頻尿の一部の薬は認知症の薬の効果を弱めます」と述べ、「つまりは、頻尿の治療も突き詰めて言えば『膀胱が頻尿なのか』『頭が頻尿を感じているか』で微妙に処方内容も変わってくるのです」と注意を促す。不適切な薬を投与してしまえば治らないどころか悪化しかねない。

西洋医学だけでなく東洋医学などを積極的に取り入れた統合医療を実践する鳥居院長。「漢方は病名だけではなく気質、体質に合わせて生薬の配合を決めます。この考え方を参考にすると、より効果のある薬の選択が可能となります」と話す。

頻尿に限らず治療の選択肢が広がりそうだ。

●専門家プロフィール:鳥居伸一郎
慈恵医大卒。泌尿器科、東洋医学専門医、 日本アロマセラピー学会認定医。統合医療全般を研究するT-LAB.(統合医療研究所)を開設し、アロマセラピーや音楽療法その他統合医療全般の「効果の証明」を目指している。日本アロマセラピー学会理事長。

(武藤章宏)

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