by Jerry Bunkers

生理から来る腹痛や頭痛を経験している時の女性は注意力が低下するという2014年の研究結果など、生理が女性の脳のパフォーマンスに影響するという内容は、これまでに複数発表されています。しかし、スイスのチューリッヒ大学で働くBrigitte Leeners教授らが行った最新の研究では、「女性の認知機能は生理によるホルモンレベルの変化の影響を受けない」ということが主張されています。

Frontiers | Lack of Associations between Female Hormone Levels and Visuospatial Working Memory, Divided Attention and Cognitive Bias across Two Consecutive Menstrual Cycles | Frontiers in Behavioral Neuroscience

http://journal.frontiersin.org/article/10.3389/fnbeh.2017.00120/full

Period brain is not real: Menstruation doesn’t affect cognitive functioning, study finds | National Post

http://nationalpost.com/health/period-brain-is-not-real/wcm/53abe976-a992-45ba-bd51-f84a0d675076

女性の生理周期は一般的に28日周期で、その中に卵胞期・排卵期・黄体期・生理期が存在し、生理周期に応じて黄体ホルモンのプロゲステロンや卵胞ホルモンのエストロゲンの分泌は増減します。これまでに行われた研究で、エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンは女性の認知機能に影響を与えるという調査結果が出ていましたが、最新の研究ではその真逆である「エストロゲンやプロゲステロンの分泌は女性の認知機能に影響しない」という結果が発表されました。研究を行ったBrigitte Leeners教授は、過去に行われた研究はサンプル数が少なかったこと、また方法論的バイアスが起こっていた可能性を指摘しています。つまり、規模が小さな研究であったため、認知機能とホルモンの間には存在しないはずの関係が示されてしまったと考えているわけです。



by Lo&

Leeners教授ら研究チームによる調査では、18歳から80歳までの88人を被験者として選び、最終的には68人の女性の2か月にわたる生理周期においてホルモンレベルと認知機能の関係が測定されました。期間中、研究者らはエストロゲン・プロゲステロン・テストステロンといったホルモンレベルが測定され、同時に、タッチスクリーンのデバイスを使って、複数の対象に同時に注意を向ける「分割的注意」や、物の形・色・動きを思い出す「視覚・空間のワーキングメモリ」、認知バイアスあるいは判断ミスなどに関するテストが行われました。

調査の結果、1か月目にはプロゲステロンやテストステロンのレベルがテストの結果に影響していることが確認されましたが、2か月目にはこのような影響は見られなかったとのこと。この理由についてLeeners教授は「1度目のテストを完了すると、女性たちはテストがどのような内容かを学ぶので、2回目はパフォーマンスを向上させます」と説明しており、「この研究は、ホルモンレベルの変化に関わらず女性の認知機能は働く、というこということを明確に示していると考えています」と語りました。過去の実験では「2か月目のパフォーマンス」が調べられなかったため、明かになっていない部分があったようです。



by Ray_LAC

また、研究ではそれぞれの被験者のパフォーマンスを繰り返し分析すると共に、被験者同士のパフォーマンスの比較も行われましたが、違いは見られなかったとのこと。

一方で、今回の研究は過去の研究よりも被験者が多かったものの、それでも100人に満たない人数であること、研究チームは月経前不快気分障害については調査していないこと、そして脳のうち3つの機能に関してしかテストを行っていないことには注意が必要。認知機能全般についてが完全に調べられたわけではなく、ホルモンレベルと認知機能の関係が完全に否定されたわけではないので、今後さらなる研究が待たれるところです。