アントラーズの前線には“怖い”選手が揃っている。ペドロの決定力はさすがだった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 上位対決となった7月2日のレイソルとアントラーズの一戦は、見応えある打ち合いとなったね。レイソルが先制して、アントラーズがひっくり返すも、レイソルが追いつく。最後はアントラーズが突き放したけど、決勝点をねじ込んだペドロの決定力はさすがだった。
 
 レイソルもそれなりに決定機は作っていたし、トドメを刺すチャンスはあった。でも、なかなか決め切れずに、アントラーズも粘り強く耐えていたね。
 
 それにしても、アントラーズの前線には“怖い”選手が揃っていると改めて思った。金崎にせよ、ペドロにせよ、一発で仕留めるシュート力がある。敗れたレイソルに隙があったとしたら、非凡な得点力を備えるふたりに対して、しっかり寄せていたとはいえ、もう一歩踏み込んで詰めるべきだったのではないか。
 
 やっぱりシュートは打たせてはダメ。上位にいるチームには必ず良いFWがいるもの。その点に関して、レイソルは少し甘さが見られたかな。
 
 アントラーズの個々の能力の高さはもちろん、彼らはチームとして老獪に戦っていたよね。適当な表現かどうかは分からないけど、“宙ぶらりん”な状態でレイソルの攻撃を迎え撃っていた。
 
 良い意味で、守備が中途半端。思い切りハイプレスをかけるわけでもなく、かといってベタ引きでもない。ただ、「ここから先は好きにやらせない」というタイミングが共有されているのか、グッと入ってきた相手には連動して厳しく潰しに行く。
 
 陣形をどれだけコンパクトに保てるか。その密度の高さが評価される風潮にあるけど、アントラーズは少し違う。見方によっては間延びしているかもしれないけど、適度な距離感を保ちながら、守備のアンテナを常に張り、虎視眈々と待ち構える。
 
 そして、あえて縦パスを“入れさせて”、ここぞという時に奪う。その強弱、バランスが見事だった。
 
 レイソルのボランチが中央でキープしても、わざと泳がせておいて、前に持ち運ぶように仕向ける。アントラーズはカウンターを得意としているから、自分たちが飛び出すスペースは確保しておきたいはず。だからこそ、そこまで高い位置からプレッシャーをかけなかったと思うし、相手を前傾姿勢にさせて、その背後を巧みに狙っていた。

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 アグレッシブさに欠けるわけではないけど、なんでもかんでも食いついて奪おうとしない。でも、「取れる」と判断した時のスピードは抜群。相手のミスは逃さないし、そういう“したたかさ”がアントラーズにはある。
 
 ゲームの運び方というか、時間の使い方も上手かった。3-2になったら、とにかく相手の両SBの裏を突く。余計なことはしない。シンプルに長いボールを入れて、相手を後ろ向きにさせる。勝つために何をすべきか。それが徹底されていて、ブレがない。
 
 細かい部分だけど、アントラーズは他のクラブと比べても球際が強い。そういう一つひとつのところで差が出て、最終的に勝利につなげる。
 
 シーズン途中で監督が交代したけど、アントラーズはやはり手強い。新たに指揮を執ることになった大岩監督は、僕と同じ72年生まれの同級生。頑張ってほしいね!