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伊藤嘉明の「人生万事振り切るが価値」



“最強のよそ者”として、数々の業界でビジネスに変革をもたらし続けてきた伊藤嘉明が、“趣味も仕事もフルスイングする価値”について考える連載コラム『伊藤嘉明の「人生万事振り切るが価値」』。

伊藤嘉明の「人生万事振り切るが価値」連載一覧ページ

ファットバイクが好きすぎて

シンガポールを突然訪ねる



本連載Vol.11でも報告した超お気に入りの新しいオモチャ、ファットバイクブランドCoast Cyclesの『BUZZRAW』。あまりにも気に入りすぎてしまい、週末用ならぬゾンビ終末期に備えて、日々の通勤快速として愛用している……という話。普通であればここで話が終わるのだが、ガジェット大好き上級者ランキング常連の私は、そんなところでは終わらせない。

先日の出張時、香港のビジネスパートナーとの打ち合わせを終わらせ、シンガポールまで経由してみることにした。……って、どう考えても全然立ち寄るルートじゃないじゃん! というツッコミは当然聞く耳持たず。あのカッコいい自転車を作ってくれた気鋭のスタートアップのメンバーに会いたい! と、一心不乱にシンガポールまで会いに行ったのだ。え? マジですか? はい、いたって真面目です。こんなカッコいい自転車を作ってくれた人たちに、まずはお礼を言いたい。新製品の話が聞けるかもしれない! できれば自分の考えもインプットしよう、と。これぞ、人生万事振り切るが価値!

気の良いこだわり派が集まる

Coast Cycles



シンガポール市内より東へタクシーで郊外まで走ること20分強、観光客のいない住宅街へ。コンクリート打ちっ放しの洒落たカフェのような佇まいのガレージ兼ショップは、ビーチから自転車で5分程のところにあった。彼らは日本からの突然の来客を快く歓迎してくれた。

ショールームには’60〜’70年代にアメリカで大流行したミニバイクを彷彿とさせる色とりどりの『BUZZRAW』たち。自分の愛車と色違いのものが並ぶだけで気持ちが上がる。さらに『BUZZRAW』の兄弟機で、デザインアワードを総なめにした『QUINN』が展示されていた。この『QUINN』もかなりユニークで、パソコンバッグなどを足の間に収納できるような機能的デザインになっている。チェーンもベルトドライブが採用していたり、作りも素晴らしいクオリティに仕上がっている。さすが世界の強豪を抑え、数々の国際的なデザインアワードを獲得しただけある。

ショールームを一通り見せてもらった後に、特別に2階にあるデザインスタジオに入れてもらった。そこで目に入ったのは! ドローンみっけ! Coast Cyclesの代表ヤンセン氏、最近ハマってるのがドローンレース、やはり相当のオタク、いや、凝り性らしく、こちらが反応したのを見ると嬉しそうに愛機たちの説明をしてくれた。聞くところによると、ドローンが流行るずっと前から、CCDカメラをジェット機のラジコンに搭載し、空撮をしたりしていたツワモノ。そのラジコンジェット機、かなり上空(雲の上!)を飛ばしていた時に制動距離を大幅に超えてしまった後、マレーシア方面に消えて行ったという。面白すぎる、なんて振り切っているんだヤンセン!



さらにスタジオの奥に行くと陳列棚にはラジコンの数々! たくさんのホイールや部品など、そこらのラジコン模型屋さんより在庫あるんじゃないかというくらいの品揃えに興奮する。やはり相当の凝り性、こだわり派とみた。どうりでこのCoast Cyclesの製品群、異常なまでに性能と品質へのこだわりが垣間見えるわけだ。全てはこのヤンセン氏の哲学。ますます気に入った!



ラジコン、ドローン・レーサー、プロモトクロスレーサー、最近はやめてしまったけど、ドリフト・キングとして草レースでも名を馳せていたというヤンセン氏。そこで知り合ったというモーター・ジャーナリストのトニー・タン氏とはもう15年以上の付き合いになるそうで、そのモータージャーナリストのタン氏は、今ではCoast Cyclesのマーケティングと広報全般を担当してくれているという。若者たちばかりで立ち上げたファットバイクブランドに、彼のようなプロフェッショナルがチームの重鎮としてサポート。なんとも理想的なベンチャーだ。

電動BUZZRAWは

開発中だが超絶速い!



散々楽しい話をした後にヤンセン氏、いたずらっ子のような顔をし、「まだ開発中だけど、『BUZZRAW』電動バージョン乗るか??」と聞いてきた。素晴らしい! トニー・タン氏からも『BUZZRAW』電動バージョンのプロジェクトの話は聞いていたので、当然二つ返事で試乗させてもらった。日本で一般的な電動自転車はいわゆるペダルアシストでしかないが、このプロトタイプ、ヨーロッパへ展開するつもりで開発しているいるので、いわゆる電動バイクと同じ仕組み。スロットルを押すとジェットスキーやオートバイのように推進する。静かな住宅街を何周かさせてもらったのだが、とにかく速い! パワーがある! 目立つ! そして何より楽しい! ワクワク感を感じられるこのオモチャ、最高です。



のんびりとした南国の空気の中、静かな住宅街を電動『BUZZRAW』で颯爽とライディング。電動だけにウィーンと軽い音しかしないから、風や鳥のさえずりまで聞こえて気持ちいい。結局この日は9時間近く彼らと一緒にいて、夜ご飯までご馳走になってしまったのだが、この試乗体験以降のもっぱらの妄想は、モーターキットを彼らから購入し、日本で電動バイク『BUZZRAW』として登録して、本気で乗ろうかなと検討しています。そしてサプライズ! 私の友達となったヤンセン氏から、このコラム読者だけに特別プレゼントをもらいました。彼らのサイト「CoastCycles」で自転車を購入し、プロモコードに“CCDIGIAKI”と入れれば特別オプションをくれる、と! なんて良いやつなんだ! というわけで、私も2台目として『QUINN』を購入しようか、真剣に検討中です。

文/伊藤嘉明

※『デジモノステーション』2017年8月号より抜粋

いとうよしあき/X-TANKコンサルティング 代表取締役社長。数々の外資系企業での事業再生、マネージメント経験を生かし、可能性のある組織や人材を有機的に結合させたり、資金を投入することで、日本国内はもちろん、生まれ故郷である東南アジアでイノベーションと変革を巻き起こす。著書に『どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力』(東洋経済新報社)など。