米ウォールストリート・ジャーナルが報じるところによると、韓国サムスン電子は、AI(人工知能)を使ったアシスタントサービスを利用できるスピーカー型機器を開発しているという。

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アマゾンだけじゃない。大手が続々参入

 製品の発売時期については不明だが、この機器の開発プロジェクトはサムスン社内で「Vega(ベガ)」と呼ばれており、1年以上前から開発が進められていると、複数の事情に詳しい関係者らは話している。

 サムスンでは、過去に「Hive(ハイブ)」と呼ばれたプロジェクトがあり、今回同様、スピーカー型アシスタント機器の開発を目指していた。しかし、そちらは音声認識などのソフトウエア技術の問題に直面し、計画が棚上げされたという経緯がある。今回のVegaプロジェクトも似たような結果に終わる可能性もあると、事情に詳しい関係者らは話しているという。

 しかし、もし、スマートフォンの出荷台数で世界首位のサムスンが、AIアシスタントスピーカーを発売することになれば、この市場は競争が激化すると同時に、活況を呈してくると言えそうだ。

 この市場は、米アマゾン・ドットコムが2014年11月に円筒型スピーカー機器「Amazon Echo」を発売したことで誕生した。

(参考・関連記事)「アマゾンの音声アシスタント、サービス種で業界断トツ」

 そして、アマゾンの成功を受け、米グーグルは昨年11月、自社のAIアシスタント「Google Assistant」を搭載するスピーカー型機器「Google Home」を発売。米アップルは今年6月に「Siri(シリ)」搭載のスピーカー型機器「HomePod」を発表し、これを今年12月に発売する予定だ。

 米マイクロソフトは、後にサムスンが買収した米自動車部品大手ハーマン・インターナショナル・インダストリーズ傘下のオーディオ機器ブランド、ハーマン・カードンと提携。今年5月、自社のAIアシスタント「Cortana(コルタナ)」を搭載するハーマン製スピーカー機器「Invoke(インボーク)」を発表した。この製品は今秋にも市場投入される見通しだ。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、中国の電子商取引大手、アリババグループ(阿里巴巴集団)も中国消費者向けの機器を市場投入する計画という。

サムスン、AIアシスタントでつまずき

 一方、サムスンにも「Bixby(ビクスビー)」というアシスタントサービスがあるが、同社は現在この技術で、つまずきに遭っている。サムスンは今年4月に発売したスマートフォン「Galaxy S8」「同S8+」で、このサービスを利用できるようにしようと考えていたが、その実装が発売前に間に合わなかった。

 現在、これを利用できるのは韓国の利用者だけだ。英語版は現在パイロット試験を行っており、ウォールストリート・ジャーナルは、おそらくBixbyの英語版が一般利用可能になるのは7月後半以降だ、と伝えている。

AIアシスタント搭載機器、2021年には75億台に

 ただ、いずれにしても、サムスンはやがてこの状況を切り抜け、Bixbyをスマートフォンを通じて、世界の利用者に提供する。そして、今回の報道が正しければ、その後同社は、AIスピーカーを市場投入し、Bixbyのさらなる利用拡大を図ることになる。

 英国の市場調査会社オーバム(Ovum)によると、現在のところ、こうしたAIを搭載するデジタルアシスタントサービスは、主にスマートフォンとタブレット端末で利用されており、その利用台数は35億台になる。

 しかし今後は、モバイル端末以外の機器と連携するアシスタントサービスが家庭向けを中心に消費者に受け入れられ、この市場に新たな機会がもたらされるという。そうした機器には、スマートホーム製品、テレビ、ウエアラブル機器といった新たな製品が加わり、その台数は、2021年に75億台を超え、現在の世界人口を上回ると、同社は予測している。

筆者:小久保 重信