ドン・キホーテの店舗(撮影=編集部)

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 6月14日の東京株式市場。ユニー・ファミリーマートホールディングスの株価は一時、前日比5.9%上昇し、終値は6300円だった。その後も上昇した。

 一方、ドンキホーテホールディングスの株価は一時4.2%上昇したが、終値は1.7%高の4330円で終えた。

 株価上昇のきっかけは前日の13日、両社が業務提携を発表したことだ。提携のメリットは、ユニー・ファミマのほうが大きいと投資家は判断したようだ。

 提携は、5月にドンキがユニー・ファミマに持ちかけた。具体的な提携内容は今後詰めるが、商品開発やチャネルの多様化、仕入れや物流の効率化などが考えられる。2017年中に契約の締結を目指す。

 資本提携についてドンキの高橋光夫専務・CFO(最高財務責任者)は「協議の中で検討事項になる可能性はあるが、現時点では未定」とした。言及は避けたが、ドンキ側は資本提携に意欲満々だ。

 ユニー・ファミマは、傘下のユニーが展開する総合スーパー(GMS)がお荷物となっている。ドンキと組めば、GMSの立て直しにつながるとの期待から買い物が入った。

 16年9月、旧ファミリーマートと旧ユニーグループ・ホールディングスが経営統合して、持ち株会社のユニー・ファミマが誕生した。旧ファミマは、ユニーグループのコンビニであるサークルKサンクスを合体して新生ファミマに転換。持ち株会社は、傘下にコンビニのファミマとGMSのユニーを持つ体制に移行した。

 ユニー・ファミマの17年2月期の連結決算(日本会計基準)は、統合後の初決算となった。旧ファミマの16年3〜8月期と統合会社の16年9月〜17年2月期を合算した。存続会社である旧ファミマの16年3月期と比べて、売上高にあたる営業収益は2.1倍の8949億円、営業利益は15%増の560億円。だが、不採算店舗の減損が足を引っ張り、純利益は10%減の190億円だった。18年2月期からは国際会計基準に移行する。営業収益は1兆2373億円、営業利益は412億円、純利益は240億円を見込む。

 5月時点でユニーは国内にGMSを209店持っているが、既存店の月次売上高は前年割れが続く。GMSの中核であるユニー単体の17年2月期の純利益は565億円の赤字だった。統合前に減損処理したが、統合後の半期でも22億円の赤字を計上した。18年2月期にユニーは純利益86億円と黒字転換を目標に掲げる。GMSの店舗戦略の見直しが急務だ。

 そこに目をつけ、ドンキがユニー・ファミマに提携を申し入れた。

●質的に変化したインバウンド消費が追い風

 ドンキの業績は好調だ。17年6月期の連結決算(日本会計基準)の売上高は前期比8%増の8220億円、営業利益は5%増の455億円、純利益は6%増の315億円を見込む。純利益は従来予想(275億円)を上回り、初めて300億円の大台を突破する。増収、営業増益は上場前から28期連続になる。百貨店や総合スーパーなど流通大手の業績が低迷するなか、ドンキは一人勝ちの構図だ。

 インバウンド(訪日観光客)消費の変化が追い風になった。“爆買い”の聖地といわれたラオックスや三越伊勢丹ホールディングスは、インバウンド消費の急減速に見舞われたが、ドンキは逆にインバウンド消費が業績を押し上げた。

 主力の総合ディスカウントストア、ドン・キホーテの免税店売上高は370億円程度と、前期に比べて2割増える見込み。爆買いの本尊だった高級腕時計や宝飾品の販売は激減したが、化粧品や医薬品、食品などは別で、観光客は価格の安いドン・キホーテで買っている。

 特に、百貨店が営業を終えた夜間が好調で、訪日外国人客全体の5割は午後8時〜翌午前1時に訪れる。ドンキの店は訪日観光客が一度は足を運ぶ定番店なのだ。

●買収した長崎屋を業態転換したMEGAドン・キホーテ

 ドンキは07年、再建中の中堅総合スーパー、長崎屋を140億円で買収した。長崎屋の店舗をディスカウント店のノウハウを導入して業態転換、「MEGAドン・キホーテ」として市場に投入した。長崎屋四街道店をMEGAドンキ四街道店に店替えしたのを皮切りに、総合スーパーを次々に大型ディスカウント店へ転換した。

 今年5月には、MEGAドンキ渋谷本店がオープンした。フロア構成は地下1階〜地上6階の7フロア、売場面積は5522平方メートルの大型店で、都心部の旗艦店だ。目玉は「お土産コーナー」。東京だけでなく、大阪・博多・広島・札幌のお土産を取り揃えている。訪日観光客をターゲットにしたつくりだ。

 普通のMEGAドンキは郊外を中心に展開する小型店で、生鮮食品も扱う。低価格志向のMEGAドンキは、総合スーパーから業態転換した成功モデルとなっており、総合スーパーやホームセンターから客を奪った。

 ドンキは、ユニーのGMSをMEGAドンキへ転換することを提案するとみられている。両社が合弁会社を設立してユニーのGMS事業を譲渡し、MEGAドンキとして運営する可能性もある。

 ユニー・ファミマにとって、コンビニの海外展開を積極的に進めるためにも、お荷物のGMSを切り離してコンビニに専念できればメリットは大きい。一方、ドンキは、ユニーのGMSを確保できる。

 さらに、ドンキはもっと先を読んでいるようだ。コンビニとディスカウントストアを融合した新しい店舗の開発を提案する。ファミマ+ドン・キホーテの新しい店を共同で運営するという。

 ユニー・ファミマの首脳陣は、ディスカウントストアのノウハウを吸収できるとして提携に前向きといわれるが、ドンキのほうが一枚上手だ。ドンキはファミマと一体化した店づくりを通してコンビニの営業ノウハウを徹底的に学び取り、次に独立系の中堅コンビニを吸収してコンビニ事業へ本格参入することを狙っているとみられる。

 ユニー・ファミマは、ドンキにひさしを貸して母屋を取られるような事態にもなり得る。
(文=編集部)