PS VR『Farpoint』レビュー。ガンコントローラの実在感に痺れる野心的VR FPS
PS VR専用ゲーム『Farpoint』(ファーポイント)のファーストインプレッションをお届けします。

Farpoint はPS VR専用ガンコントローラ『シューティングコントローラ』と同時発売の本格的なFPS (一人称視点シューティング)ゲーム。

従来型ゲームパッドのDualShock 4でも一応は遊べますが、ゲームシステムからステージデザインまで、PS VRとシューティングコントローラを前提に同時開発された作品です。

内容は、もしVRでなければ時代錯誤と言われかねないシンプルな一人プレイメインFPS。シューティングコントローラを宇宙アサルトライフルや未来ショットガンに見立て、SF映画にありがちな異星生物をなぎ倒し進むさまは「孤独なスターシップ・トゥルーパー」といった趣があります。

没入感を重視した結果リアルな、ある意味地味なビジュアルのため、写真や動画では古臭いFPSに見えますが、実際にゴーグルをつけてシューティングコントローラを構えて体験するのとは大違い。

頭の位置に加え銃の構え方まで認識する1:1トラッキングにより、遮蔽物から頭だけ出して覗く、銃だけ突き出してブラインドファイア、片目でホロサイトを覗きつつ反対の目で周囲警戒といった動作がそのままVR世界に反映され、原始的な「狙って撃つ快感」を思い出せさてくれます。

相性抜群のようで実は難題山積な「VRとFPSの融合」に対して、ソニーと開発元 Impulse Gearはどんな回答を出したのか、『Farpoint』には何を期待できて、何を期待すべきでないかを中心にまとめます。

プレイステーション公式によるFarpointの説明は「PlayStation VRが実現するリアル体感型シューティング」「プレイキャラクターの視点とプレイヤーの視点が同一となることで、ゲームの世界に入り込んだかのようなリアルな戦闘体験ができる」。まずは宣伝文句に偽りはありません。

まるで未知の惑星にテレポートしたかのような「そこにいる」没入感と、両手に構えたシューティングコントローラがそのままVR空間のリアルな銃になる「そこにある」実在感はたしかに本物。最初は見慣れぬ天体の浮かぶ異星の空を見上げたり、手に持ったSFチックな銃の造形と動作をあらゆる方向から眺めるだけでも楽しめます。



ゲームの構成はお話のあるシングルキャンペーンと、特定のマップを選んで制限時間内のゴールとハイスコアを目指すチャレンジモード、オンライン2人協力で挑むCO-OPモード。

シングルキャンペーンは通しで5〜6時間程度と短め。また全モード通じて、敵やステージ構成のバリエーションも少なめで実にシンプルです。最近の競技的FPSでは重視される対戦モードもありません。

ありがちなVR射的ミニゲームでは決してなく、自由に移動できるれっきとしたFPSですが、最近の大作FPSではお約束の多数の武器やアンロック、多彩なカスタマイズ、探索とアイテム収集といった要素はありません。むしろアーケード的な感覚もあるシンプルなシューティングです。

お話は地味に大人向け。短編SF小説風



主人公は未知のエネルギー源を調査する宇宙ステーションから、謎のワームホールで未知の惑星に投げ出されたパイロット。荒涼とした地表で異星生物の襲撃を生き延びつつ、はぐれた科学者二人組の手がかりを探すのが導入部です。

ネタバレを避けるため深くは立ち入りませんが、キャンペーンは基本的に「残された映像記録を見つけて再生」「また別のログを見つけるまで戦闘」の繰り返しで進行します。

主人公はほぼ傍観者で、行方不明の科学者二人に何が起きたかを淡々と追う体裁。銀河を股にかけた大冒険や宿命の戦い、壮大な世界の謎解きといったものの当事者になることはなく、戦闘を通じて物語上の葛藤を解決するようなこともあまりありません。

一方で、傍観するしかないまま語られる物語は、ある意味「地味リアル」なビジュアルスタイルと似て、等身大に訴えかけてくる内容。派手さはないものの、ワームホールや未知の惑星といった設定を通して、極限状態に置かれた人間の心理と行動を描く短編SF小説の趣があります。

ここがすごいよガンプレゼンス



Farpoint を遊ぶなら前提といえるシューティングコントローラは、PS VRのプレイステーション カメラと内蔵センサにより、位置や方向を高精細にトラッキングするコントローラ。

従来のいわゆる「ガンコン」は結局のところポインタで、画面という枠のなかの平面から1点を指すものでしたが、シューティングコントローラはプレーヤーの体(頭)との位置関係や構え方まで、擬似的ながらVR空間に1:1で反映される仕組みです。

VR空間への1:1対応といえば、PC向けVRヘッドセット Oculus Rift のハンドコントローラ Oculus Touch は、自分の手指が直接VRに反映されて仮想物体を触れるような「ハンドプレゼンス」で高い評価を得ました。

PS VRシューティングコントローラの高精度なリアルタイムトラッキングは、ハンドプレゼンスならぬ「ガンプレゼンス」とでも言いたくなる実在感です。

(頭と銃の相対的な位置と向きから、人体モデルで擬似的に姿勢や構え方を推定してVR側に反映する方式。Oculus Touchの静電容量式センサのような、グリップを握っているかの認識まではできないため、たとえば片手で胸元に構えてもVRでは両手で持っている等の誤差はあります)

なりきりエイミング。本当のブラインドファイア

従来のFPSゲームでは「マウスやアナログスティックで視界を回転させ、画面の中心=照準を敵に重ねる」操作だったエイミングが、Farpointではゲーム内と1:1対応する銃を構えて本当に狙う動作。「狙って撃って当てる」原始的な快感はまるで別物になりました。

1:1トラッキングで銃を自由に動かせることがどうゲームに影響するか?について。まず最近のFPSでは、左トリガーで銃を眼前に構えた状態になり、サイトやスコープが拡大表示され細かく狙えたり、エイムアシストが有効になったり、弾の収束率や威力の数値が向上するタイプが一般的です。

一方、シューティングコントローラでは構えた腕と銃と頭の相対位置をそのまま反映できるため、腰だめで構えるのもサイトを覗くのも、逆に視線と射線を外してブラインドで撃つのも、およそあらゆる構え方がエイミングに直接反映されます。

一部の銃が装備するドットサイト(ホロサイト)も、現実の銃そのまま眼の前に構えて使います。「眼の前に構えるジェスチャでサイトモードが有効になる」のではなく、仮想の銃にサイトがモデリングされていて、実際の銃さながらに覗いて狙う仕組みです。



PS VRは両眼に別々の映像を見せる視差3D方式のために、片目をつぶって覗き込めばサイトが見やすくなる一方、周囲の状況把握が疎かになるのも現実と同じ。

ゲームパッドのFPSでは単なる左トリガーのオンオフですが、シューティングコントローラのFarpointでは銃の構え方、サイトを使うか使わないか、片目を閉じるか、両目で状況把握力を維持しつつ素早く片目に神経を集中してサイトを使うか、までが実物の銃のようなスキルとしてゲームに反映されます。

(一応) ルームスケールも

VR空間にトラッキングされるのはシューティングコントローラだけではありません。ヘッドセットのトラッキングを通じて、プレーヤーが大まかにどんな姿勢でどこに立っているかが反映されるのもPS VRの利点です。

カバーありの銃撃戦にこの「どこにどの姿勢で立つか、屈むか」「銃をどう持つか」のトラッキングが加わることで、たとえば
「遮蔽物から頭だけ出して覗く」
「スティックではなく自分の脚で一歩踏み出して撃つ」
「頭は隠したまま、銃だけ突き出してブラインドファイアする」
といった動きが、ボタンやスティックの組合せでなく、自然な体の動きで再現できます。

(体を使ったカバーアクションやブラインドファイアについては後述。「一応できるけれど必須ではない」程度で、座ったままでもちゃんとプレイできます)。



いかにもなデザインのクモ型クリーチャーやヒト型エイリアンがいかにもな動きで襲いかかり、ショットガンやスナイパーライフルで片端から撃ち倒すVR射的のシンプルな楽しさだけでも、PS VR とシューティングコントローラ買ってよかった!と思わせる力があります。

VR FPSの難しさ、PS VRの制約

しかし話がややこしくなるのは、Farpoint が単なるVR射的ミニゲームではなく、勝手に進むいわゆるレールシューター(昔ながらのガンシューティング)でもなく、VR空間を駆け回りミサイルや突進をかわし、遮蔽物に飛び込むれっきとしたFPSであること。

プレーヤーが頭を動かす視点移動と、ガンコントローラで狙うエイミングまでは現実に近く直感的ですが、プレーヤーの移動だけは実際に走るわけにはゆかない以上、何らかのゲーム的な見立て・置き換えが必要になります。



シューティングコントローラは、DualShock 4コントローラを左右に分割して、銃の前後グリップに割り当てたような設計。トリガーだけのガンコンとは違い、アナログスティックが2つ、方向キーも△○×□ボタンもちゃんと残っています。

ならば難問ぶることもなく、一般的なFPSと同じように左スティック(フォアグリップのスティック)に前後左右への移動を割り当てれば、少なくとも従来のFPSゲーマーには馴染みがある操作になるはず。実際にFarpoint もこの方式を採用しています。

しかし、これで従来のFPSそのままにならない理由は、

・そもそも「前」ってどっち?(従来のFPSでは視線方向=照準=前方だったのが、VRでは独立。スティックをコントローラの前方に倒した時、どちらに進むべきか)

・プレーヤーの動きの制約(首は振っても、物理的な体の向きは大きく変えられない。ケーブルもある。プレイスペースの確保も難しい)

・PS VRの技術的な制約(カメラが前方にひとつだけで、トラッキングできる方向も範囲も狭い)

・いわゆる「VR酔い」抑制のための制約(没入感が高い=視聴覚的に脳を騙す性能が高いVRでは、平衡感覚との不整合が強烈になる)

VR空間での移動とVR酔いはPS VRだけの問題ではなく、Oculus や SteamVRといった他社プラットフォームも直面する課題です。完全な解決に至らぬまでも、課題の特定と回避策の考案が今まさに進んでいます。

難しい課題ではありますが、ひとつの正解がなく、さまざまな挑戦があるのも今のVRゲームが面白い理由のひとつ。平面のスクリーンショットでは20年来変わらないFPSそのままに見えても、移動と酔いをどう捌くか、制約をどうゲームに組み込んで活かすか、開発者の腕の見せどころです。

一例を挙げれば、移動に起因する酔いを抜本的に解決する方法として、滑らかな移動そのものを捨てテレポートを使うのも定番の対策のひとつ。

VRではない平面の3D視点ゲームですら酔いにつながっていた方向転換は、視界全体を覆うVRの特性から、スティックで回転させるだけで体の感覚との不一致から吐き気を催してしまう場合もあります。

Farpoint と開発元Impulse Gearの回答

Farpoint ではこうした課題に対して、

・テレポートではなく、全方向に滑らかに移動。従来のFPS同様、左スティックで前後左右に平行移動。
・前方(左スティックを前に倒して進む方向)は銃口の向きと一致。視線方向(頭の向き)とも、体の向き(実際にプレーヤーが前に歩いて進む方向)とも独立。

・右スティックの方向転換(ターン)は、多数のオプションを用意して選べるようにする。

1. 2D FPSと同じくスティックで滑らかに方向転換する「スムーズ」。VR酔いに免疫があるプレーヤー用。
2. 小さめの角度で切り替える「Small Step」方式。15度ずつパッと変わる。
3. 大きな角度で、フェードイン・アウトを挟んで切り替える「Big Step」
4. アナログスティックを向けた方向に、押し込みで切り替える「Click」式
5. そもそもターンしない「No Turn」

1から4はともかく、方向転換ができない5で自由移動ありのFPSが成立するのか?とびっくりしますが、No Turnでも頭を動かせば好きな方向を見ることができ、銃を向けた方向を前方と見なして左スティックで移動できます。「銃を向けた方向に進む乗り物の上で、頭は自由に見回せる」イメージです。



銃口の向きで方向転換できるならそもそもスティックでターン要らないのでは??と余計に混乱しますが、

・PS VRは前方にしかカメラがなく、トラッキング範囲も比較的狭い。シューティングコントローラ先端の光るボールが体やコントローラの影に隠れたり、カメラの画角を外れるとロストする。
(逆に銃と手でヘッドセットのトラッキングライトが隠れてもブレる。カメラはできるだけ高い位置に)

・仮に全方位トラッキングができたとしても、銃を全方位に向けるほど体の向きを変えてプレイするのは大変。立ってプレイするとは限らないし、ケーブルも重く危険。

・座ってプレイしている場合、銃と頭は左右ある程度までしか向けられない。

という制約から、銃を向けて方向転換できるのは大まかに前方に限られます。

このため、オプションで設定できるターンは進行方向転換というより、横や後ろ方向を向いて移動したい場合に使う、「自分のかわりに世界の方を回す」「正面方向をリセットする」に近い挙動です。

おすすめ設定とスタイル。立つか座るか

このターンオプションは、VR酔いしやすさと移動の制約を天秤にかけて、各自でいくつか試せばやりやすい設定が見つかります。



まずは No Turnでも、後述するステージ構成の工夫から、それほど不自由はありません。

思ったように動けなくてストレスというFPS慣れしたプレーヤーへのおすすめは小刻みに自由に方向転換できる Small Step。従来のFPSにもっとも近いSmoothはもっとも酔いやすいため、 選ばれたVR勇者専用です。

BIg Step は大きく方向転換できますが、どちらを向いたのか見当識を失うことが多く、筆者は使いこなせませんでした。Clickはスティックを倒した方向に一発で転換する仕組みで、真後ろにもすぐ向けますが、乱戦中などは一瞬途切れる感覚があり慣れが必要です。

次に、座ってプレイするか立ってプレイするか、ですが、前述した遮蔽絡みのルームスケールアクション(実際に体を動かして遮蔽に入る・出る、屈む、大きく向きを変える)は、いずれも「やろうと思えばできるけれど必須ではなく、大きく有利になることもない」程度。

上下方向はPS VRのトラッキングの制限もあり、また実際に立ったり屈んだりはかなりの負荷になるため、ゲームデザインとして積極的には取り入れていません。(あまり下がると画面が暗転して立たされる)。

PS VRのトラッキング範囲内での移動も、左スティックの平行移動のほうがよほど早く効率的。あくまで自然に反応する頭や上体の動きの範囲で充分にカバーアクションごっこは実感できるため、座ってプレイしても不利だったり制約があるわけではありません。

一方で、酔いやすい人には立ってプレイがおすすめ。PS VRに限らず、VRゲームではプレーヤーが動いていないのにトラッキングの限界で視界が揺れたり微妙に動くことがありますが、この時に座っていると、脳のほうは静止状態と認識しているため、「止まっているのにフラついた!何かヤバイ!悪いもの食ったのかも?吐いておくか!」となりがち。

最初から立った状態なら、静止しているつもりでも常に多少の動きを相殺しているので、VRの微妙な揺れがあっても脳が勝手に補正してくれます。

短く言うと「安全な広い場所を確保できて、なりきりで最大限に楽しみたい / VR酔いしがちなら立ってプレイ。でも座って上体だけの動きでもちゃんと楽しめます」

ステージ構成もPS VR最適化



「レールシューターではなく、自由に移動できるちゃんとしたFPS」と繰り返しておいて手のひらを返すようですが、実は各ステージの設計も、自由に向きを変えにくいシステムにそって作られています。

具体的にいえば、敵との立ち回りや遮蔽物を伝ったりする動きは自由でも、マップ構造はほぼ前方一直線。振り向いて撃つ程度はできても、真後ろに向き直るのはやりづらいので要求されないことから、たとえば部屋に入って出てくるようなマップ、行ったり来たりするマップもありません。

遮蔽物を伝ったり、突出しすぎて退いたり、複数の敵との位置取りや間合いを測ったり、敵中突破する立ち回りの動きは自由ですが、基本は前に前に行くだけなので、まあレール感があるっちゃああります。

逆にいえば、わざわざターンして大きく向きを変えない限り迷うことがなく、立ち回りはあっても探索がない、FPSのなかでもシンプルなアーケードシューター感覚で楽しめるともいえます。

さらに敵のアルゴリズムさえ、この「レールとFPSのハイブリッド」に最適化されています。映画『エイリアン』のフェイスハガーのように飛びかかってくるクモ型クリーチャーは、プレーヤーが躱して通り過ぎると、地面の下を潜ってプレーヤーを追いかけて来ますが、背中から襲えば良いのに何故かそのまま通り越して、律儀にも撃ちやすい前方に再出現します。

知性がありそうなヒューマノイド型の敵も、武器を使ったり遮蔽物に隠れたりはするものの、よく観察すると、後ろから狙ったり回り込んだり挟み撃ちできる状況でも敢えてせず、むしろわざわざプレーヤーの進行方向に再集合して的になる謎の動きがよく見られます (うっかり鉢合わせると、VRで後ろからいきなりエイリアンがダッシュで追い越してきて心臓が止まります)。

これを興ざめと考えるか、時代劇や特撮ドラマの殺陣のような、それこそシューティングゲーム的なお約束と笑って済ますかは分かれるところ。ただし前述のように、PS VRの仕組みやゲームシステム上、本当に後ろに回り込まれても非常にやりづらいため、リアル(っぽい)銃撃戦の雰囲気は残しつつ遊びやすく仕上がっていることは確かです。

もちろんすべての敵がきっちり撃ちやすく前に飛び出してくれるわけでもなく、特に弾を撃ってくる敵や突進してくる敵を倒さずに通り過ぎようとすると、後ろからダメージを受けて混乱したままあっという間に死ぬパターンもあります。スクリプト的に追うことができず留まる敵も居るため、撃ち逃した場合は一目散に駆け抜けて遮蔽物を背にしたほうが無難です。

結局、プレイしてみてどうだったか


解説はこの程度に、感想や小ネタを羅列すれば、

・NASAの探査機が送ってきたような、リアルと言えばリアル、地味といえば地味な風景が続く。特に序盤から中盤。眼も眩む極彩色SFや、新鮮で格好いいビジュアルイメージ連発を期待すると肩透かし。VRなので解像度も低く、細部からの説得力はあまりない。

・とはいえ空には見慣れぬ天体が架かり、お約束の壮大な建造物や、夜光生物の洞窟といった、古き良きSFイラストレーションのような世界に没入できるのは格別。

・開発元Impluse Gear いわく、「地味リアル」はVRゲームとして没入感を高め、そこにいる感覚を与えるための意図的な選択。リアルすぎて「予算の都合で手近な荒地でロケしました」SFテレビ番組感も否めないものの、見下ろすと目眩を起こしそうな断崖や、本当に見上げる巨大なモンスターなど、VRの威力は味わえる。

・敵の種類は少なく、どこかで見たようなクリーチャーやメカばかり。次はどんなデザインが出てくるんだろう?と期待する楽しみや、デザインから異世界の理を想像するセンス・オブ・ワンダー的なアレには若干欠ける。一方、特に生物系は地味リアルな地形とマッチして迫力あり。新鮮なビジュアルを期待しなければ、「こういうのでいいんだよ、こういうので」の範疇。

・ストーリーは手に汗握る波乱万丈!や熱い展開の連続!を期待すると肩透かし。我が身に置き換えて感情移入すれば胸に迫る。ドラマチックな展開も一応あり。若く美しく可憐なヒロインではなく、地球で待つ家族との再会を心待ちにする中年科学者が主要登場人物という時点でどっち方面の作品か察してください。


(メインヒロイン)

・が、短い上にほとんどの部分が過去のログを見るだけで、主人公は特に絡まない。派手か地味か、お話そのものの良し悪し好き嫌いとは別に、戦闘パートとカットシーンの相互作用があまりないのは微妙。VRでそこにいる感覚は凄いが、そこに居る意味はあまりない。一体感を重視した無名のブランク主人公でも、もう少しやりようがあったのでは。

・ゲーム本編、ショットガンやグレネードをぶっ放し、爆ぜた異星生物の体液まみれになって駆け回ったり、わずかな遮蔽物からヒョイと顔を出した途端に集中砲火を浴びたり、は実に楽しい。

・同じ武器でも慎重にサイトを使って当てるか、目もくれずにブラインド即ぶっぱかは気分や状況しだい、臨機応変。スナイパーライフルを咄嗟にサイトなしで放って吸い込まれるように撃ち抜いたとき、右に左に散弾やグレネードをばら撒きつつ一気に敵の群れを強行突破したときなどは、実に良いオレツエー感が味わえる。逆に残弾数を間違えて、引き撃ちでギリギリ倒せるつもりが「カチッ」と鳴らしたときの絶望感たるや。

・アンロックもカスタマイズも経験値もアイテム収集もキルデスレートのたぐいも(ほぼ)ないため、余計な損得を考えず、敵のアルゴリズムと同じくらい頭空っぽに「走って狙って撃つ」を楽しめる。

・メインウェポンはすべて弾数無限。有限のサブウェポンのみ、アイテムで補充する場面が多少あるが、すぐに上限に達するうえ頻繁にリセットされるため、リソース管理の煩わしさがない。
(ボスを倒した達成感の後、そのまま先に進むか、やり直してサブウェポンの残弾数を温存するか、で悩んだりする必要がない)

・難度は高め。FPSの常として自分に攻撃が当たっているかどうかが分かりにくいことに加えて、敵の攻撃の威力が高いこと、移動があまり自由ではないのに粘液や爆風といった範囲攻撃が多いことが理由のひとつ。歯ごたえはある一方で、ほどよく快適に進ませてくれる接待はない。

・前述のとおり基本的に一直線のステージ構成なので、時間制限のないキャンペーンモードでは、安全圏から少しずつ駆除しては進む繰り返しができてしまう。



・チャレンジモードがクソ難しく楽しい!キャンペーンと違い時間制限ありで、急いでゲートを通過して残り時間を回復させつつゴールを目指すモード。チェックポイントでタイムを回復するアーケードレースに近い。遮蔽に隠れてチマチマ倒していては時間が足りなくなるので、自然と効率的な倒し方や、処理しきれなかった敵を突っ切る判断も必要になる。

・シューティングコントローラのトラッキングはよくできているものの、理想的な環境を作って遊んでも多少のブレやドリフトがある。まあ、本物の銃だって真っ直ぐ飛ぶとは限らないと思えば。

・開発したImpulse Gear、スタッフわずか15人ですって。


まとめ

決して大作でも、AAA級FPSのVR版でもないものの、PS VRの制約のなかで、VR FPSの可能性を見せてくれる意欲作。シンプルな狙って撃つ楽しさは存分に味わえます。

こんな人におすすめ。

・すでにPS VRを持っている なら、買わない理由なし。クモ嫌いやVR酔いがひどい人は無理かも。
・とにかく新しい体験をしてみたい
・古典的なサイファイを主観で体験したい
・映画のスターシップ・トゥルーパーズは聖典(Farpointは軍隊ではないのでミリ臭には欠ける)

・毒を食らわば皿まで。PS VRを買ったならシューティングコントローラも買わなきゃ損。シューティングコントローラの単品を買うくらいなら、Farpoint バンドル価格がお得です。



おまけ。デュアルショック4で遊ぶとこうなります。PS VRはデュアルショック4をトラッキングできるため、右側グリップと右トリガーを銃に見立てた感じ。

意外なほどに遊べるものの、肝心のエイミング精度がシューティングコントローラよりさらに下がってグラグラするため、スナイパーライフルなどは使いづらく、せっかくVRなのに撃って弾着を見てずらして当てるようになります。このためか、スナイパーライフルは3発まで連射可能。

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