VFXへの熱い思いも明かす

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 原作・百田尚樹氏、主演・岡田准一、山崎貴監督の「永遠の0」チームが再結集した「海賊とよばれた男」のブルーレイ&DVDが発売中だ。映画.comは山崎監督にインタビューを行い、作品の舞台裏やVFXへの思いを聞いた。

 明治・大正・昭和という激動の時代を舞台に、血気盛んな主人公・国岡鐡造(岡田)が、石油事業を通じて戦後の日本に希望を与えていく姿をダイナミックに描く。鐡造の20代から90代を演じきった岡田をはじめ、吉岡秀隆、染谷将太、堤真一、ピエール瀧ら過去の山崎監督作品の出演者が顔をそろえたほか、鈴木亮平、綾瀬はるか、國村隼、小林薫といった豪華メンバーが結集した。

 2000年に「ジュブナイル」で映画監督デビューを果たした山崎監督は、「Returner」や「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ、「寄生獣」2部作などVFXを駆使した作品を次々と生み出し、日本映画の表現の領域を押し広げてきた。「僕が若いころは、特殊効果って銀幕のスターだったんですよ。『ジュラシック・パーク』や『スター・ウォーズ』など、映画館に特殊効果自体を見に行くのが大きな動機になっていた。それが段々と名脇役として、映画自体を底から支えるようになっていった。今では、当たり前のツールになってきていると思います」とVFXの歴史を振り返りながら、「でも僕はやっぱりVFXがスターだった時代が好きでこの業界に入っているので、それが見せ場になってほしいし、ストレートなドラマであっても、いくつかはVFXが中心に座っている映像を混ぜますね」とこだわりをにじませる。

 本作でも、冒頭の空襲のカットや鐡造が所有する巨大タンカー・日承丸の出航シーン、廃墟と化した町並みなど、VFXが前面に押し出されたキラーショットが要所要所で登場する。だが、山崎監督が「1番ハードルが高かった」と語るのは、晩年に差し掛かった鐡造をCGで製作することだったという。「クライマックスの岡田くんのCGに関しては、かなり自分たちの中でも高いハードルを設けました。CGだってばれたり出来が悪いものが入っていると映画が台無しになっちゃうから、相当おっかなかったですね。実際の人間で、しかもストレートなドラマの大事なところでCGのおじいさんを入れるというのは相当覚悟のいること。そういった意味で挑戦的なシーンだったし、技術的に今までと違う、ブレイクスルーを目指しました」と捨て身覚悟の挑戦だったようだ。「ある程度やりきることができ、よかったです。あれをクリアできると、今後色々なことができるんですよ。実写の中にCGで作ったクリーチャーを入れたりといったことが、どんどんやりやすくなっていくんです」と語るその目は、すでに先を見据えている。

 本作のブルーレイ&DVDの豪華版に封入される特典ディスクには、VFXに特化したメイキング映像が収録されている。画面が2分割されており、VFX加工が施される前と完成版の両方の映像を比較できる仕組みだ。山崎監督は「CGのビフォーアフターを見るのは面白かったですね。“これがこうなっちゃうんだ!”と自分で見て面白かったので、お客さんも楽しんでいただけるのでは」と期待を寄せる。完成版ではダイナミックなシーンでも、実際の撮影は駐車場で行うことも多く「“現場はここまでしょぼいのか”って思うんじゃないかな(笑)。もちろん、豪華なセットはメイキングで見られますが、VFXはいつも現場では最低限のことしかしない。現場で撮った絵が、どのくらいまでクオリティを上げていくかというのが一目瞭然になっているので、ビフォーアフターはぜひ見てほしいですね。特典を見てからもう1回本編を見ると、“やられた”感がたくさんあって面白いと思いますよ。“映像マジック”という言い方をよくしますが、“すごい手品を見たな”と思っていただければ僕らも楽しいです」と語る。

 山崎監督は「メイキングに映っているキャストたちの空気感に触れて、一緒に映画を作っているような疑似体験をしてほしいですね」と続ける。「今回は信頼の置ける人、“空気を作ることのできる”人たちにできる限り集まってもらいました。特殊能力を持っている人というのがいるんです、本当に。最たるのは堤さん。『ALWAYS 三丁目の夕日』からそうなんですが、彼が出てくるとある時代に行っちゃうんです。岡田くんに関しては、(役に入り込みすぎていて)彼と仕事をした気があまりしていないんですよね。鐡造さん本人に鐡造を演じてもらったというか、オンでもオフでも鐡造さんでいてくれて、決して特殊メイクをはずすところを見せずに帰っていくんです」と出演陣をねぎらいつつ「特典映像には、本当にあらゆる岡田くんが映っています。こってりとした岡田くんを味わってもらえれば(笑)」とほほ笑んだ。