狙いと意図をしっかりと表現できたG大阪戦。ただ守備面では失点直結するボールの失い方も……。(C) J.LEAGUE PHOTOS

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 ベガルタ仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第16回。テーマは「ビデオ分析」だ。試合と試合の間に行なうトレーニングにおいて、映像はどのような役割を果たしているのだろうか。
 
 7月1日に行なわれたJ1リーグ17節・G大阪戦(2-3)と、今週末に開催される18節・神戸戦を材料に語ってもらった。
 
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[J1リーグ17節]仙台 2-3 G大阪/7月1日(土)/ユアスタ
 
 G大阪戦は敗れたものの、狙いと意図をしっかりと表現できた試合だったと思う。結果として敗れた以上、もちろん満足などしていない。しかし、攻撃で良かった面を切り取ってみれば、たとえ上位チーム相手でもやれることがかなり増加したと感じている。
 
 ただ守備面では、チーム全体として相手に与えてはいけないゾーン、タイミングでボールを失っている事実がある。それが失点に直結しており、絶対になくさなければならない。
 
 普段の練習で何かを得ようと思えば、別の何かを我慢する必要がある。これまでは、どちらかと言えば「チームの全体像を擦り合わせる作業」に重きを置いてきた。だからこそ、ボールを持って崩し切るという共通の絵を全員で描けるようになった。
 
 一方で、ファイナルサードでのクオリティ、つまりシュートやラストパスの質はもっともっと高めていかなければいけない。これからは個々にフォーカスした練習も増加させなければ、と私だけでなくスタッフも改めて感じている。
 
 さて、今回のコラムでは「映像」について話そうと思う。コーチ時代からの習慣もあってか、フィードバック用の編集作業は自身で行なっている。まず1回、試合を流して振り返る。この時には交代のタイミングや「違う手が打てたのでは」といった自身の反省点も見えてくる。
 
 その後、気になるシーンを抜粋していくのだが、その映像では「抜粋した現象に対する修正」しかできない。これはチーム全体の反省として課題を克服するためのものになるので、自分自身の反省は90分を通して見るなかで行なっている。
 気を付けるべき場面を抜き出す編集作業は、ゲーム翌日には終える。G大阪戦なら、7月2日。山形との練習試合の前には作業をひと段落させている。そして、オフだった3日に見直し、ミーティングで伝えるべきことや練習で落とし込むべきものを整理する。
 
 ただ、これで終了ではない。4日、5日でそれを何回も見直し、削ぎ落しや加工を行なって、より選手に伝わりやすいものに仕上げる。
 
 実際に編集した映像を選手たちに見せるのは次の試合の2日前。今週は7月8日にJ1リーグ18節・神戸戦があるので、6日の練習が始まる前のミーティングだ。その時に「今週の練習でやったこと」と「今日の紅白戦でトライすること」を改めて整理する。
 
 先に映像を見せるチームもあると思うが、「前節ではこういうことがあった。だからこのトレーニングをする」という話をして、まず実際にプレーをさせ、選手にいろいろと感じてもらってから改めて映像を確認して、再びトライさせるというのが私のやり方だ。
 
 次の対戦相手の映像は前節の振り返りとの同時進行。オフだった3日までに神戸のものは2試合分を確認した。オフ明けまでに見ておかなければ、効果的なトレーニングを選手たちに提示できないからだ。
 
 実際に神戸の映像を見せるのは試合前日、7日になる。こちらも練習でやってきたことの振り返りが含まれており、「ここを狙う」、「こう対応しよう」というものを再確認する。作成してくれるのは分析担当コーチ。プレゼンも行なってもらう。
 
 昨季までは次の対戦相手の映像確認は各々でしていたのだが、今季からオフ明けの日にコーチングスタッフ全員で行なうようした。そこで意見を交換し、全体像をみんなで擦り合わせている。
 
 選手だけでなく、スタッフも同じ絵を描く。こうした日々の積み重ねがチームの一体感につながっているのだと実感している。
 
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
 
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は7月8日に行なわれる18節・神戸戦の予定。お楽しみに!