2017年6月5日、事実上の世界一の日本酒を決める「SAKE COMPETITION 2017」の各賞が発表されました。今年で6回目となるこちら、総出品数は世界最多の1730点。業界関係者のなかから技術指導者、有識者、蔵元からなる予審31名、決審37名の審査員によるブラインドで、純米、純米吟醸、純米大吟醸、吟醸、Super Premium、発泡清酒の6部門で”うまい酒”が決定(※)。そのなかで特に目立っていたのが「作」(ざく)という銘柄です。

※このほか、ラベルデザイン部門賞、ダイナースクラブ若手奨励賞もあり

各部門のなかでも出品数が518点と一番多かった「純米吟醸部門」では4位と8位に入賞し、さらには448点と次いで多かった「純米酒部門」ではなんと1位と2位の栄冠に輝きました。造り手は、三重県の清水清三郎商店。同コンペの蔵元MVPがあるとすれば間違いなくここ、というわけで、今回は同蔵の独自インタビューを行いました。「作」受賞酒の特徴や酒造りのこだわり、栄誉への想いなどをお届けします。

 

三重の恵みを使って「調和と透明感」を目指した

はじめに「作」の話から。ブランドが誕生した2000年は、いまのように「SAKE COMPETITION」もなく日本酒は受難の時代。蔵元や杜氏の後継者不足なども影響し、各地で危機が叫ばれていた当時、清水清三郎商店も例外ではありませんでした。そのなかで生み出されたのが「作」です。

↑中央が6代目蔵元の清水慎一郎さんで、右が杜氏の内山智広さん。左は純米酒部門のゲストプレゼンターとして登壇した女優の平山あやさん

 

コンセプトのひとつが、「調和と透明感」。地元・三重の米のみを使い、ビギナーからマニアまで、そして老若男女だれからも愛される親しみやすい酒を目指して造られています。精米歩合や酵母などによって商品は分かれていますが、共通しているのはスッキリとした味わい。そしてインパクトのある「作」(ざく)という名称には、”飲む人と提供する人、出会った皆で作り上げる酒”という願いが込められています。なおユニークなエピソードとして、ロボットアニメ「ガンダム」のファンから愛されている(ザクというモビルスーツが登場するため)という一面も。いずれにせよ、「作」は清水清三郎商店を代表するロングセラーとして高い人気を誇っています。

 

温故知新の職人技が究極の酒を生み出した

純米酒部門で1位と2位に輝いたそれぞれの味の特徴を、造り手の内山智広杜氏に直接聞いてみました。すると、同じ部門とはいえ、それぞれに明確なキャラクターがあるとのこと。改めてワンツーフィニッシュを決めた凄みを感じました。

↑純米酒部門1位の穂乃智のラベルイメージ。精米歩合は60%、アルコール度数は15度

 

「1位を頂いた穂乃智(ほのとも)は、酸がやさしくて吟醸香も穏やか。ほんのり甘みがあって、口当たりのいい酒です。一方、玄乃智(げんのとも)は酸が効いていて爽やか。なおかつ味わいもどっしりしていて、穂乃智に比べると強めのタッチですね。このふたつを比べると、メリハリがはっきりしていると思います」(内山さん)

↑内山智広杜氏

 

受賞の決め手になったのは、もちろん味。ただ、あまたの酒が出展されたなかで、なぜ「作」が飛び抜けて高く評価されたのでしょうか。過去に同コンペティションで審査員を担当した経験もある、清水慎一郎代表が答えてくれました。

 

「出品される酒は、どれも極めて高品質。厳密に順位は付くものの、違いは僅差だと思いますし、ある意味偶然とも思えます。とはいえ、造り手の意識として、1位に選んでいただいたのは非常に光栄ですし、大変うれしいです。弊社の内山杜氏には20年にわたって造りに携わってもらっていますが、私がお願いしているのは『基本に忠実に』ということ。個性や斬新さよりも、もっと根本的な部分ですね。ただ色々な味わいのタイプを造ってほしいともお願いしており、試行錯誤しながら進化させた結果が、今回の受賞につながったのだと思います」(清水蔵元)

↑蔵元の清水慎一郎さん(左)とSAKE COMPETITION主宰のひとり・中田英寿さん(右)

 

いわば、温故知新。伝統的な酒造りや、丁寧な仕込みから生み出される洗練された味が世界一の「作」といえるのではないでしょうか。また、蔵元はインタビューのなかで、地元への思いも語ってくれました。

 

「伊勢海老、アワビ、松阪牛と、三重には世界に誇れるおいしい食材がたくさんありますが、なかには三重のものだと知らない方もいると思います。ほかにも米、野菜、魚をはじめ、たくさんの名物があります。『作』は食中酒として楽しんでいただきたいと思っておりますが、やはり合わせるなら三重のご馳走が一番ですね」(清水蔵元)

 

確かに、山海の珍味と合わせて楽しむ「作」は、想像するだけでもおいしそう。機会があれば、ぜひ三重を訪れて、それらを楽しみ尽くしたいものです。最後に、今後の目標についても聞いてみました。

 

「毎年高評価をいただけるよう、高い意識で造っていきたいと考えております。そのなかで、今回の受賞は弊社の若手の誇りにつながったと同時に、今後もずっと、私の想いが共有される良いきっかけになったと思います。この栄誉に恥じることなく、地元にも貢献していくとともに、日本酒業界全体の発展にも尽力していきたいですね」(清水蔵元)

ちなみに、2016年5月に行われた「G7伊勢志摩サミット」の開催地は清水清三郎商店がある三重。そして、実はその乾杯酒に選ばれたのも「作」でした。そんな背景もあって、昨年から「作」の人気は上昇中で、今回の受賞を機にさらに希少となっていくでしょう。もし売っているのを見かけたら、即買いで間違いなし。居酒屋で見つけたら、ぜひおいしい料理と一緒に味わうことをオススメします!

 

SAKE COMPETITION 2017 各部門の結果はコチラ

【純 米 酒 部 門】

GOLD 10点/SILVER 35点/予審通過 176点/部門出品数 448点

1位 三重 清水清三郎商店株式会社 「作 穂乃智」

2位 三重 清水清三郎商店株式会社 「作 玄乃智」

3位 広島 相原酒造株式会社 「雨後の月 特別純米 呉未希米」

4位 静岡 株式会社土井酒造場 「開運 純米 山田錦」

5位 宮城 株式会社山和酒造店 「山和 特別純米」

6位 宮城 株式会社新澤醸造店 「伯楽星 特別純米」

7位 福島 合資会社廣木酒造本店 「飛露喜 特別純米」

8位 高知 有限会社茺川商店 「美丈夫 純米 慎太郎」

9位 福島 松崎酒造店 「廣戸川 特別純米」

10位 高知 有限会社茺川商店 「美丈夫 特別純米酒」

 

【純 米 吟 醸 部 門】

GOLD 10点/SILVER 42点/予審通過 173点/部門出品数 518点

1位 高知 有限会社仙頭酒造場 「土佐しらぎく 純米吟醸 山田錦」

2位 宮城 仙台伊澤家 勝山酒造株式会社 「勝山 純米吟醸 献」

3位 高知 有限会社茺川商店 美丈夫 「純米吟醸 弥太郎」

4位 三重 清水清三郎商店株式会社 「作 奏乃智」

5位 福島 合資会社廣木酒造本店 「飛露喜 純米吟醸」

6位 宮城 株式会社新澤醸造店 「伯楽星 純米吟醸」

7位 山形 高木酒造株式会社 「十四代 中取り純米吟醸 愛山」

8位 三重 清水清三郎商店株式会社 「作 恵乃智」

9位 新潟 加茂錦酒造株式会社 「加茂錦 ロゴラベル 純米吟醸 瓶火入れ」

10位 群馬 聖酒造株式会社 「聖 山田錦 純米吟醸」

 

【純 米 大 吟 醸 部 門】

GOLD 10点/SILVER 32点/予審通過 158点/部門出品数 414点

1位 静岡 株式会社土井酒造場 「開運 純米大吟醸」

2位 千葉 小泉酒造合資会社 「東魁盛 純米大吟醸 斗瓶取り」

3位 栃木 小林酒造株式会社 「鳳凰美田 別誂至高」

4位 岩手 株式会社南部美人 「南部美人 純米大吟醸 結の香」

5位 福岡 株式会社篠崎 「比良松 純米大吟醸 挑む」

6位 福島 名倉山酒造株式会社 「名倉山 純米大吟醸 鑑評会出品酒」

7位 栃木 株式会社虎屋本店 「菊 純米大吟醸」

8位 福島 末廣酒造株式会社 「末廣 純米大吟醸 玄宰」

9位 秋田 日の丸醸造株式会社 「まんさくの花 純米大吟醸 山田45」

10位 岩手 株式会社南部美人 「南部美人 純米大吟醸」

 

【吟 醸 部 門】

GOLD 10点/SILVER 10点/予審通過 70点/部門出品数 196点

1位 茨城 来福酒造株式会社 「来福 大吟醸 雫」

2位 和歌山 平和酒造株式会社  「紀土-KID- 大吟醸」

3位 福岡 株式会社みいの寿 「三井の寿 大吟醸 寒の蔵」

4位 福島 鶴乃江酒造株式会社 「大吟醸 ゆり 山田錦」

5位 秋田 秋田銘醸株式会社 「美酒爛漫 大吟醸 牡丹」

6位 奈良 今西酒造株式会社 「みむろ杉 大吟醸」

7位 青森 鳩正宗株式会社 「八甲田おろし 大吟醸 山田錦35

8位 岡山 宮下酒造株式会社 「極聖 大吟醸」

9位 埼玉 株式会社文楽 「文楽 限定大吟醸 袋吊り 無濾過原酒 中汲み」

10位 栃木 株式会社辻善兵衛商店 「桜川 大吟醸

 

【SUPER PREMIUM 部 門】

GOLD 3点/SILVER 4点/部門出品数 62点

1位 山梨 山梨銘醸株式会社 「七賢 純米大吟醸 大中屋 斗瓶囲い」

2位 岡山 宮下酒造株式会社 「極聖 純米大吟醸 天下至聖」

3位 宮城 仙台伊澤家 「勝山酒造株式会社 勝山 純米大吟醸 廉」

 

【発泡清酒 部門】

GOLD 3点/SILVER 5点/部門出品数 71点

1位 岩手 株式会社南部美人 「南部美人 あわさけ スパークリング」

2位 神奈川 黄金井酒造株式会社 「発泡清酒 SHU SHU」

3位 宮城 株式会社一ノ蔵 「一ノ蔵 発泡清酒 すず音」

 

【ラベルデザイン部門】

1位 新潟 株式会社越後鶴亀 「越後鶴亀 越王 純米大吟醸」

2位 山形 株式会社水戸部酒造 「山形正宗 お燗純米」

3位 宮城 合名会社寒梅酒造 「宮寒梅 EXTRACLASS 純米大吟醸 三米八旨」

 

【ダイナースクラブ若手奨励賞】

山梨銘醸株式会社 常務取締役兼醸造責任者 北原 亮庫(きたはら りょうご)