金正恩氏

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北朝鮮は4日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星12」型の発射を行い、成功と主張した。仮にICBMが成功していたとするなら、確かに脅威である。そうでなくても、北朝鮮のミサイル技術が着々と進化しており、北朝鮮の軍事的な脅威は増すばかりだ。

金正恩党委員長は、核兵器という「飛び道具」の開発に余念がない。しかし、肝心の朝鮮人民軍(北朝鮮軍)については、その「ポンコツぶり」ばかりが伝わってくる。

性上納行為も

韓国の大手紙・東亜日報によると、北朝鮮では「軍事服務法」に基づいて、男子10年、女子7年の軍服務期間、すわなち兵役が定められているという。しかし、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、幹部の子どもらの兵役逃れが横行し、深刻なレベルに達しているという。

そもそも、兵役逃れどころか、北朝鮮軍内部では軍紀の乱れ、女性兵士に対するセクハラ、パワハラなどは日常茶飯事だ。軍紀びん乱を象徴する現象のひとつが、女性兵士に対する「性上納」強要だ。軍隊は女性に対する人権侵害の温床になっている。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

北朝鮮女性の人権擁護のために活動している脱北者のイ・ソヨン氏によると、彼女が北朝鮮で所属した中隊のうちのある小隊では、30人余りの女性兵士全員が中隊長により強姦されたという。中隊長は毎日、女性兵士を呼び出して性的関係を強要するが、これを告発できる被害者はひとりもいなかったというのだ。

軍紀の乱れも影響しているのか、幹部の子どもたちは兵役を逃れようとし、もはや社会的現象と言っても過言ではない状況になっているとRFAの咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は述べる。

市、郡、区の人民委員会や行政委員会の幹部クラスでも、子どもたちを兵役に行かせないように様々な手を打つというのだ。

一例を挙げると、清津(チョンジン)市新岩(シナム)区域行政委員会の労働課指導員のパク氏の息子は、一般人より1ヶ月遅れの5月に入隊した。しかし、病気の治療を理由にわずか2ヶ月で自宅に帰ってきた。彼は、同じように兵役を逃れた友人たちとつるんで毎日のように街をほっつき歩いており、近隣住民は苦々しく見ているとのことだ。

本来、こうした形で除隊になると、朝鮮労働党の幹部への道は閉ざされるが、貿易機関や行政機関の幹部になるには問題がない。

さらに、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋は、別の兵役逃れのケースについて語る。

咸興(ハムン)市の労働党委員会の幹部の息子は、6ヶ月の新兵訓練期間を休暇届けを出してサボり、配属部隊が決まった後は、月に1回軍隊に「出勤」することで兵役とし、わずか1年足らずで除隊したという。

日増しにひどくなっているこうした兵役逃れに、社会的な不満が高まりつつある。

「一般庶民の子どもは、10年も軍事訓練、建設、農業などの過酷な労働をさせられるというのに…兵役逃れは幹部の特権だ」(情報筋)

兵役逃れは今に始まったことではない。昨年5月には、徴兵対象者である8人の高校生の親たちが、兵役が免除されるよう軍の担当者にワイロを渡し、「重病のため兵役に不適」との報告書を書かせた。ところが、それを知った同級生の親の訴えでバレてしまった。

兵役逃れが横行する背景には、軍紀の乱れや軍隊生活の劣悪さがある。国から軍隊に与えられる食糧は、中抜き、横流しされ、末端の兵士の元に届くころには激しく目減りしている。餓死を逃れるため、兵士たちは畑を耕したり山菜を採りながら食いつないでいる。中には、盗賊となって民間人を襲う者すらいる。

当局は、兵士の市場への出入りを禁止するなどの対策を取っているが、焼け石に水だろう。問題の根本は北朝鮮のシステムそのものにあるからだ。