中国紙・環球時報は3日、「宇宙開発のリーダーたちに力強い支持を」という社説を掲載した。写真はロケット打ち上げに関する報道。

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中国紙・環球時報は3日、「宇宙開発のリーダーたちに力強い支持を」という社説を掲載した。

今月2日、ロケット「長征5号」の打ち上げ失敗は中国社会に大きな衝撃を与えた。今後の宇宙開発スケジュールに影響が出るかについて、多くの宇宙ファンが心配している。世界のあちらこちらからは、中国は11月予定の「嫦娥5号」の打ち上げを延期する可能性があるという予測も出てきた。

嫦娥5号の任務は月面のサンプルを採取して地球に戻ることであり、「玉兎号」の月ソフト・ランディングよりさらに難しくなる。飛ばすだけではなく、戻って来るプロセスもあるため、大型ロケット長征5号でしか打ち上げができないのだという。長征5号は「太い五」とも呼ばれており、直径は5メートルもある。昨年11月に初めて打ち上げられた。

初めてのロケットの打ち上げは、幾多の紆余(うよ)曲折を経て、ようやく成功にこぎつけた。今回の失敗はいかなる原因で引き起こされたのか、厳密な調査をしないと分からない。失敗のニュースを受けてから、多くの人がインターネットを通じて宇宙開発者への支援を表明し、この失敗が今後の宇宙開発に影響を及ぼさないよう励ましている。

宇宙開発に詳しい科学者たちの多くでさえ、最新鋭の長征5号については詳しく知らない。今まで中国のロケットの打ち上げ成功率は世界のトップクラスにあり、打ち上げに自信を持っていた。長征5号の失敗は、中国の宇宙開発を進めるにあたり、越えなければならない技術的ハードルに直面したと言えるだろう。

宇宙開発に携わっていない身としては、宇宙開発により多くの支援を与えようと呼びかけることしかできない。宇宙開発は、中国の発展を促す最先端分野の一つである。そして、それは中国の現代的技術の象徴でもあり、宇宙開発技術と関連する弾道ミサイルは国家安全保障の基礎とも言える。

そのため、中国が宇宙開発を重要視するのは言うまでもなく、中国社会そのものが宇宙開発の支持者だとも言えるに違いない。だが、中国の宇宙開発事業にはさまざまな問題点が指摘されている。

例えば、民間企業の給与は国営企業より高いため、宇宙開発分野の優秀な人材が国営企業から流失していることが挙げられる。国営企業が高度人材を留めおくことができないジレンマは、宇宙開発分野でも免れられない。

宇宙工学は、典型的な系統工程である。一般的な「長征」ロケット1機に少なくとも数万個の部品が備え付けられており、長征5号に備え付けられた部品はさらに多い。また、長征5号の生産過程は数十種類の専門分野と関わっているとされる。ロケットの設計からコア部品の研究・製造、ロケットの打ち上げまで、プロジェクトの参加者たちは知恵と工夫を凝らしただけではなく、リスク管理の能力や強靭(きょうじん)な精神力も磨きあげた。

社会では一定程度の人材の流動性が保たれることが正常だとされるが、これ程までに国家・社会にとって重要な宇宙開発のコア分野で、人材が流失してしまう被害が発生しているのだ。

中国では、国営企業と民間企業が並存している。宇宙開発分野のほとんどの中核企業と科学研究機関は国営企業側に属する一方、収入が高い科学研究員は、基本的に民間企業に集まっている。そのため、宇宙開発分野で働く科学研究員の収入には競争力がなく、人材が次々と民間企業へ流失しているのだ。科学研究に従事する人々の収入は、政府の取り組みと関わるものだが、こうした状況を変えるのは容易なことではない。

長征5号が打ち上げに失敗した直接の原因が、収入と関わることではないというのは明らかだ。原因を究明する人々は、誰しもが収入をその原因だと考えることはないだろう。それでも、今回の失敗から宇宙開発についてもう少し考えてみよう。長征5号の打ち上げが失敗してから、宇宙開発に携わる人々はどれほど強いプレッシャーに直面していたのかについて考えてみよう。

こういうプレッシャーはその他の業界では滅多にないものだ。このプレッシャーを背負って仕事をするためには、どれだけ強い精神力が必要なのだろうか?強靭な精神力は生まれながらのものではなく、知恵と豊富な経験に基づかなければ芽生えて来ない。

宇宙開発分野で働く人々を心から応援しようではないか。彼らは、中国社会を前進させるため、リスクを負ってでも宇宙開発に日夜取り組む「求道家」であり、何よりも社会へ最大級に貢献する人々なのだ。(提供/環球網・編集/インナ、黄テイ)