「日米を凌ぐ可能性」中国の純国産ミサイル駆逐艦「055型」が進水

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 中国が先週、最新鋭の巡航ミサイル駆逐艦を完成させた。正式な型式名や就役時期は明らかにされていないが、中国メディアは「055型」と呼んでいる。全ての製造工程を中国国内で行った純国産で、排水量は1万トン。海上自衛隊のあたご型(排水量1万トン)、米海軍のアーレイ・バーク級(排水量9,200トン)に匹敵するか、やや上回るサイズだ。米フォーブス誌は、「中国の新鋭駆逐艦は日本とインドを上回り、アメリカをも凌ぐかもしれない」と報じている。

◆アメリカとのジェネレーションギャップが埋まった
 上海で6月28日に行われた進水式の様子を中国英字紙『チャイナ・デイリー』が伝えると、主要海外メディアも追随した。中国政府のウェブサイトは、「新型の防空・対ミサイル・対艦・対潜水艦兵器が装備されている」とし、「軍の近代化の大きな一歩」とアナウンスした(CNN)。

 人民解放軍のレポートによれば、055型はミサイル発射機を100基以上装備可能で、1,000〜2,000キロ離れた標的を攻撃できるという。ステルス性能も持つ(CNN)。先行して量産が進められている052D型と共に、中国のミサイル防衛システムを形成するとみられている。

 中国の海軍専門家、リ・ジエ氏は、「中距離及び中短距離対空ミサイルを備え、人民解放軍海軍の総合防衛能力を大幅に向上させた」と人民日報国際版『グローバル・タイムズ』に語る。その主要任務は空母などの大型艦の護衛になると見られる。同氏は「駆逐艦においては、もう中国とアメリカとの間にジェネレーションギャップはない」と宣言している。

◆東・南シナ海での強力な抑止力となるか
 米軍事アナリストのカイル・ミゾカミ氏は、「総合性能はアーレイ・バーク級に近い」とCNNに見解を示す。アーレイ・バーク級は、96基のミサイルを搭載。1980年に就役したベテランだが、今も米海軍の主力駆逐艦だ。

 豪専門家のユーアン・グラハム氏は、055型は先制攻撃能力と防御能力を兼ね備えており、設計が新しい分、日本の主力駆逐艦(護衛艦)「あたご」を凌ぐ可能性があると見る。軍拡路線を進む中国においては、予算的な制約がないことも中国のアドバンテージだと同氏は見る。台湾の専門家、アレクサンダー・ハン氏は、米アーレイ・バーク級とも渡り合える可能性があると指摘。「排水量ではアーレイ・バーク級よりも大きく、日本艦はそれよりも大型だ。韓国艦は日本よりも大きいが、中国は今、それを凌ぐものを作った」とフォーブス誌に語っている。

 同じく中国のライバルであるインドに至っては、建造中の最新鋭15Bヴィシャーカパトナム級駆逐艦(排水量8200トン・50発のミサイルを搭載)ですら、完成前から既に中国に負けているとインドメディアNDTVは嘆く。フォーブス誌は、055型の完成は中国の軍備拡張の「特に大きな前進」と評価。「東シナ海と南シナ海における係争の大きな助けとなるだけでなく、日本、インドなどのアジアのライバルに対し、新たな抑止力となる」と見ている。

◆米次世代艦には敵わず
 グローバル・タイムズは、「人民解放軍海軍、初の1万トン級ミサイル駆逐艦 米イージス艦に“匹敵”」という見出しで、誇らしげに055型の進水式を伝えている。ただし、アメリカは旧式化しつつあるアーレイ・バーク級の後継艦、ズムウォルト級の1番艦『ズムウォルト』を昨年秋に就役させている。ステルス性を高めるために徹底した傾斜平面で構成され、武装も格納式となっているなど、未来的なシルエットを持つ次世代ミサイル駆逐艦だ。現在は米本土で試験運用中で、実戦配備後は日本の佐世保基地での運用も予定されている。

 ただし、ズムウォルト級は高コストが問題となり、当初は24隻の建造が予定されていたが、最終的には3隻にまで削減された。2番艦は2018年、3番艦は2019年の就役予定。

 グローバル・タイムズは、「まだアメリカが優位であることを強調した」として、このズムウォルト級の存在を念頭に置いた、「アメリカの海軍戦闘システムは、より包括的だ。最も進んだ駆逐艦ズムウォルトは、より高いステルス性能とレーダーシステムを擁している」というリ・ジエ氏の自制的なコメントを紹介している。