夏帆&満島真之介インタビュー 明日世界が滅亡するなら「全裸で叫びながら走りたい」

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映画『愛のむきだし』『新宿スワン』などを手がける映画界の鬼才・園子温監督が"ヴァンパイア"を題材に手がけたオリジナルドラマ『東京ヴァンパイアホテル』が、6月16日(金)よりAmazonプライム・ビデオにて、全9話一挙独占配信がスタートした。

本作は、人類を滅亡させようと企む吸血鬼のコルビン族と人間の戦いを描いた作品。主演を務めるのは、園監督とはドラマ『みんな!エスパーだよ!』以来、2度目のタッグとなる女優の夏帆。不思議な力を持ち、コルビン族を滅亡させようとするK役を演じる。そして、ホテル・レクイエムで開催される全国合コン大会で世界の滅亡を知らせる謎の男・山田役を演じるのが俳優の満島真之介だ。

園監督へそれぞれ熱い思いを持ち作品へ挑んだ2人が、過酷すぎる撮影現場を振り返ってくれた。

■園さんとは「運命だと思います」

ーーオファーを受けたときの印象を教えてください。

夏帆:私がお話をいただいたときは、正式なオファーではなく「この作品に興味があるか、教えてください」という形だったんです。以前、園さんとはドラマでご一緒させていただいたんですけど、正直また呼んでいただけるとは思っていなかったので、声をかけていただけて本当に嬉しかったですね。

ーー役柄なども具体的に決まっていない状態でお話をいただいたということですか?

夏帆:そうですね、そのときはまだ台本も出来上がっていなくて。でも、園さんが完全オリジナルでドラマを撮るということにも興味がありましたし、「やりたいです」とお返事させていただきました。

ーーなるほど。満島さんは、役者さんとして園監督とご一緒するのは初めてですよね。

満島:僕は10代の頃に、園さんの助監督をやっていたんですけど、いつか役者としてまたご一緒したいなとずっと思っていました。なので、今回お話をいただいたときは、「やっときたか!」と素直に嬉しかったですね。

ーー園監督とは出会って10年ということですが、このタイミングでご一緒できることに縁を感じましたか?

満島:園さんは、昔からヴァンパイアものをやりたいとおっしゃっていたんです。ビジュアルに関しても、今までにない世界観を作りたいと。なので、出会ってちょうど10年目に、こうして一緒に作品づくりできることは非常に感慨深い。運命だと思います、園さんとは。

■「園さんの頭の中はどうなっているんだろう?」

ーー夏帆さんも満島さんも、園監督とご一緒できることに大きな期待を込めて作品に挑んだかと思いますが、実際に撮影をしてみていかがでしたか?

夏帆:最初の段階が思い出せないくらい、現場で変わっていくことが多かったです。それって園さんの現場で多いよね?

満島:多いね(笑)。

ーーそんなに変わることが多かったのですね!

夏帆:現場で生まれるものを大事にしてくださる方なんです。4ヶ月くらい撮影していたんですけど、撮影中にキャラクターも自分自身もどんどん変わっていって…撮影当初は、どんな気持ちでやっていたのかもう思い出せない。

満島:園さんの脳みそから生まれていることを映像にしていくので、園さんに見えた世界には誰も抗えない。スタッフもキャストもみんな、そこにへばりついていく気持ちでやっていましたよ。だからその分、出来上がった作品にパワーが宿っているし、いろんな側面からキャラクターを描けていけたんじゃないかと。

夏帆:園さんは説明する感じでもないんです。だから、園さんがどういったものを撮りたいのかを自分で考えてついていくしかなくて。一体、園さんの頭の中はどうなっているんだろう?って何度も思いました。

ーーお二人で、どのようにお芝居するかを話し合うことはありましたか?

夏帆:あんまり話さなかったよね。

満島:同じシーンも少なかったしね。お互いに遠くからは意識し合っていたんですけど、Kと山田は物語が並行に進む感じだったので、各々で園さんの世界観に入っていくイメージでした。

ーーでは、お二人のアクションシーンなども細かいことは決まっていない状態で?

夏帆:決まっていなかったですね。台本にも「闘う」とだけ書かれてました。

満島:Kと山田、闘う(笑)。

夏帆:そうそう(笑)。それで、ここはアクションシーンなんだなって理解してた。アクションが現場で大きく変わることもあったし、前の日に「明日のそのシーンは、アクションになりました」ということも。

ーーいきなりですね(笑)。アクションシーンのために、準備をして…ということがあまり出来なかった?

夏帆:私は本格的なアクションは初めてだったので、基礎練習はしていたんですけど、そのシーンのためのアクション練習というものはほとんど出来なかったです。どういうアクションにしたらいいのかをアクション監督が考えている最中だったので、なかなか動きも決められず。現場で作ったアクションなんかも結構ありました。

満島:常にゲリラ的な感じです。怪我しないこと、倒れないことだけを考えて、薄皮一枚で持ちこたえていた感覚です。

ーー撮影は、ほぼホテルのセット内だったんですか?

満島:ずっとホテルにいましたね。あの時期の撮影は過酷すぎて、家に帰った記憶もないぐらい。

夏帆:外で撮影していると日の光があるから時間を感じられるんですけど、セットの中だと時も空気も止まってしまうんですよ。後半のアクションシーンのときは、血のりも多くなってくるし、異様な空気感でした。

満島:使うものも人も増えてくるし、スタッフもキャストも全てが満身創痍の状態。どっかで冷静でいなきゃなって思っていましたけど…。

夏帆:ギリギリでしたね(笑)。

満島:でも、いま思えばそのギリギリな感じが作品の中の緊張感と近いものがあったのかなとも思います。コルビン族、ドラキュラ族、人間たちの攻防を描くにあたって。

■撮影現場は、例えるなら"満員電車"

ーー共演シーンは少なかったとのことですが、お互いの印象はいかがでしたか?

満島:印象はとても良いですよ!良いですよっていうのもなんか変だけど(笑)。

夏帆:(笑)。私は精神的にも肉体的にも追い詰められて、かなりいっぱいいっぱいだったんですけど、現場で満島さんを見かけるとすごく楽しそうにしていらっしゃって、それが眩しかったです。

満島:1つのセットの中に何百人という人間がいると、すごい空気になるんですよ。まるで満員電車のような空気感。1つ崩れてしまうと全部崩れてしまうような現場だったので、誰かがしっかりとぶれずに立っていないと、と思っていたんです。僕は園さんとコミュニケーションがとれるので、何かおかしいと思ったら園さんに一言話してみたり。緊張と緩和をしっかりと持てる立場でいようと思っていました。山田という役柄的にも、いろんな人と距離を保つことができたのも大きかったのかな。その点、夏帆ちゃんはものすごい人数の闘いの渦に入らなきゃいけなかったから大変だったと思う。

夏帆:でも、私も意外と人間たちとの絡みはなかったかも。単独で戦っていることが多くて、孤独でいっぱいでした(笑)。唯一、冨手麻妙ちゃんとは共演シーンが多かったので、常に支えあっていましたね。麻妙ちゃんの存在にはすごく助けられました。

■世界が滅亡するなら、普通に過ごす?叫びながら走る?

ーー過酷な撮影を経て、改めて出来上がった作品を見た感想を教えてください。

満島:園さんは、ちゃんと僕らのことを見てくれていたんだなって思いました。

夏帆:それは私もすごく思った。現場と作品のギャップにびっくりしましたね。自分たちがこの作品に出ているという感覚がないくらい、現場からは想像つかないものになっていました。

満島:オリジナル作品としてこのような世界観が作れるということ、自分たちから出てきたものでちゃんとキャラクターになっていくということには、大きな喜びがあります。僕は、ハロウィンに山田の仮装をする人とかが出てきてくれないかなぁと期待しています!

ーー最後に、作品の中のように「明日、世界が滅亡する」と言われたらお二人はどのように過ごしますか?

夏帆:…どうする?

満島:明日って、明日だもんね?

夏帆:今まで出来なかったことをしたいけど、明日だと時間がないもんね。そしたら、普通に生活するかなぁ?

満島:外は混乱していると思うから、家の中で今までにないくらいリラックスして昔の写真とかを見る。

夏帆:感傷に浸って、「明日、終わるのか〜。お疲れさま」って?

満島:それか、1回全裸で叫びながら走りたい(笑)。

夏帆:わぁぁぁ〜!ってね(笑)。

満島:でも、そういう人もたくさんいそうだよね。みんなの動向を家の窓から見て大きく深呼吸してるかもな。

『東京ヴァンパイアホテル』は、Amazonプライム・ビデオにて、全9話一挙独占配信中。