「自分に暗示をかけて撮影に挑むベテランのAV男優さんがいるんです」
 こう話すのは、元AV女優でスポーツジムのインストラクター経験もある、竹下ななさんだ。

 なぜ、撮影=セックス前に自己暗示をかけるのか。
 「AVの撮影では周りに大勢のスタッフがいます。どんなに経験豊富な男性であっても、やはり緊張するし、周囲が気になります。しかも勃起しないと、みんなから“お前のせいで撮影が進まない”と白い目で見られてしまう…。そんなプレッシャーを跳ねのけるために、“自分はできる!”と暗示をかけているそうです」

 実に大変なお仕事なワケだが、面白いのは勃起するためにかける暗示の言葉。
 「俺は絶対に勃つ!」
 と強く思い込むのかと思いきや、そうではないそうだ。竹下さんは以前、件のAV男優に暗示のやり方を聞いたところ…。
 「俺は絶対に勃つ! とかそういう風に考えるのは、逆にマイナス効果だそうです。なぜなら、そう宣言している時点で、“俺は基本的には勃たない”ということを暗に示しているから、と」

 少し難しい話だが、確かにコレは一理あるのだ。
 例えば、「俺は女にモテモテだ」と自分に言い聞かせるのは、実際は自分がモテモテでないことを認識しているからだ。つまり、自分を奮い立たせる暗示の言葉が逆に自分の弱さを浮き彫りにさせているといっても過言ではない。

 では、どうしているのか。
 「驚きましたが、いざ撮影となる前に、“たぶん今日の俺は勃たない”と自分に言い聞かせるそうです(笑)。まあ無理だろうな、といわばいったん諦めるそうです。すると、開き直った気持ちになれて、逆に勃起力が高まるそうです」

 俺はたぶんダメ、今回は失敗する可能性が高い…このようにマイナスのイメージを浮かべておくほうが、EDになりにくいというのだ。この方法は、我らのプライベートセックスにおいても使えるだろう。
 「私はいままで公私含めて、3000人以上の男性と肉体関係を持ってきましたけど、年配でもアッチが元気な人って、エッチの前に『俺は勃起しないかもしれないよ』と明るい声で宣言してくることが多いんです」

 女性にすれば「え〜!?」となりそうだが、実は違う。
 「最初にそう言われるとホッとするんです。なぜなら女性も常にエッチの前、相手の男性がちゃんと勃起するかどうか不安なんです。もしかしたら私は飽きられているかもしれないとか、喘いでいる顔が不細工で興ざめさせちゃうかもしれない、とか。でも、それ以前に『年だから勃起に自信がない』といった言葉をかけられると、何があっても『私のせいではない』と思える(笑)」

 お互い期待し過ぎると、セックスはうまくいかないことが多い。程よくマイナス思考で挑むほうがお互い、リラックスできるため、楽しめるのだ。
 「しかも、期待していなかったのに、ちゃんと勃起していたら嬉しい。当たり前のようにビンビンのオチ○チンを見せられるよりも感動するんですよね」

 今夜はたぶん、勃起しない…実はこれこそが、自分を奮い立たせる魔法の言葉なのかもしれない。

竹下なな
精力料理研究家。元AV女優であり、現在はヨガインストラクターとして活躍。大の料理好きでもあり、精力アップのための食材を使った簡単料理を日々、研究している。近著に『セックスが危ない!』(三和出版)。