町山智浩×椎木里佳、マクドナルド誕生のウラ語る

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映画評論家の町山智浩氏と、若手起業家・椎木里佳氏が7月3日、都内で行われた映画「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」のトークイベントに登壇した。

本作のストーリーはこうだ。舞台は1954年アメリカ。52歳のレイ・クロックは、シェイクミキサーのセールスマンとして中西部を回っていた。ある日、ドライブインレストランから8台ものオーダーが入る。どんな店なのか興味を抱き向かうと、そこにはディック&マック兄弟が経営するハンバーガー店「マクドナルド」があった。合理的な流れ作業の“スピード・サービス・システム”や、コスト削減・高品質という革新的なコンセプトに勝機を見出したレイは、壮大なフランチャイズビジネスを思いつき、兄弟を説得し、契約を交わす。次々にフランチャイズ化を成功させていくが、利益を追求するレイと、兄弟との関係は急速に悪化。やがてレイは、自分だけのハンバーガー帝国を創るために、兄弟との全面対決へと突き進んでいく――。

一般試写会の後に行われたこの日のトークイベント。観客を前に、町山氏は「(主人公の)レイ・クロックは、最初はいい人かと思うんですけどね、だんだん本性がでてきますよね」、椎木氏も「だんだん最後はもうレイ・クロックさんのこと嫌いになりませんでしたか?! 良い人だってもっていたのが悔しくなるくらい後半は嫌な人になっていました」と両極面を見せるレイ・クロック(マイケル・キートン)という人物にフォーカス。

町山氏は「レイは、ポジティブシンキングを最初に提唱したノーマン・ヴィンセント・ピール牧師の自己啓発本のレコードを持ち歩き聴いている。あんな気合いの入れ方すごいですよね(笑)。『成功した自分を想像しろ、成功してからの自分を想像していない人は成功しない!』という考えです。日本でも未だに売れていてベストセラーになっていますが、あの本のいちばんの問題は、あのドナルド・トランプが唯一師匠として仰いでるのがピール牧師ということ。トランプは彼の教会で最初の結婚式も挙げてるくらいで……。レイ・クロックとトランプは同じ師匠をもった兄弟みたいなものなんですよ!」と明かすと、会場は「へぇ〜」とどよめき、頷く人の姿も。

椎木氏は「成功した時の自分をイメージする、大きな目標を立てる、ということはしてはいました。人を踏みつけてまで登りつめたい、というその欲求はすごい。私自身は彼のようなビジネスには憧れませんが……ビジネマンとしてはすごいと思いました」とコメントした。

続けて町山氏は「マクドナルドが出現したことによって、アメリカという国は均一化されていったんです。フォード自動車のすごかったところは、画期的な流れ作業のシステムを作ったこと。マクドナルド兄弟の作ったスピードサービシシステムで、アメリカ中どこの店に行っても同じ味が食べられるようになった。50年代、マクドナルドが出来たことでアメリカの味が均一化されたんです。面白いのが、看板メニューのビッグマックは出来たのは、勝手に支店がオリジナルメニューを作ったことで生まれました。同じメニューを提供するために勝手なことをするな、と言うけど、皆それぞれ味を変えちゃうんです。掟を破って、生まれていく(笑)。でも、ビッグマックの発明者も最後はマクドナルドに権利取られちゃったんですけどね……。それとは別ですが、映画にも登場する二番目の妻は慈善家としてアメリカでは有名です。よく言われているのが、貧しい人たちの最初のきっかけを作るという取組みが知られています。そういう意味では世の中の役には立っているのかもしれません」とコメント。

さらに、映画「スーパーサイズミー」や「ファースト・フードネイション(邦題:ファストフードが世界を食いつくす)」が出版されるなど、アメリカではここ2年ほど減収していること、均一化というマクドナルドのビジネスモデルが終わりに向かっているという現状も語った。