カナダで誕生した赤ちゃん、出生届に性別を記されず(画像は『Metro 2017年7月3日付「Baby could be world’s first to be marked as gender‘unknown’(Picture: Kori Doty/Facebook)』のスクリーンショット)

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カナダのブリティッシュコロンビアから興味深い話題が飛び込んできた。ある赤ちゃんのヘルスカード(日本の健康保険証のようなもの)には、誕生日や氏名こそ記されているが性別が記されていない。父親は「ジェンダーフリーを強く意識し、敢えてそうしました」と語っていることを『カナダ放送協会/CBC』はもとより、世界のメディアが伝えている。

ブリティッシュコロンビアに暮らしながら、「Gender-Free ID Coalition」のメンバーとして活動しているコーリ・ドーティさん。見かけは男性だがそれは生物学上の話で、自身の性別に関しては「私は男でも女でもないノンバイナリージェンダーです」と説明する。そんなコーリさんには昨年11月11日に可愛い赤ちゃんが誕生したが、ヘルスカードや出生証明書などを得るための申請書にてとんでもない試みを行った。それは性別を男あるいは女と明記しなかったこと。氏名の欄には“DOTY, SEARYL ATLI”と記し、誕生日や出生地もすべて正しく記入したが、性別の欄にはM(Male)あるいはF(Female)ではなく敢えて“U(=Unknown:不明)”と記したのであった。

メディアの取材に「私が生まれた時、医師は性器だけを見て“男の子”と決めつけましたが、それは正しくはありませんでした。だから自分の子は男だ女だと性別を決めずひとりの赤ちゃん、子供とだけ認識し、立派な人間になるよう精一杯の愛情とサポートを与えていくつもりです」とコーリさんは話す。

ヘルスカードがあれば州の健康保険制度を利用することはできる。だが申請書の記入欄に不備があるとして、役所はとても重要な出生証明書をなかなか発行してくれない。役所に対する陳情はまだまだ続くというコーリさんは「この国のすべての公的文書において、性別を記入しなくてもよい自由というものが認められるまで頑張ります」と熱っぽく語る。オンタリオ州とアルバータ州などでは、それを認める動きが進んでいるそうだ。

ところでコーリさんが口にした“ノンバイナリージェンダー”とは、トランスジェンダーの大きな枠組みの中のひとつとされるが、大きな違いはトランスジェンダーが生まれてきた体と性別に違和感を抱くのに対し、ノンバイナリージェンダーは自分が男でありたいのか女でありたいのかが良くわからない、どちらでもないと感じるという。「外見的には男らしいファッションや筋肉美が自慢だけれど、内面は非常に女らしいことを自覚している」「男性として生まれ、女性の身体になりたいけれど心は完全に男のまま」といったケースがこれに含まれるようだ。

またジェンダーフリーとジェンダーレスの違いについても時々話題になるが、前者は性別に関する社会の固定概念、たとえば赤いランドセルが女の子らしいといった概念を「女の子が黒いランドセルを背負ってもいい」といった感じで柔軟なものに変えていこうとする運動。そして後者は“男と女”“性別”という概念そのものをこの世の中から無くしてしまおうという運動だと言われている。もっとも時代の移り変わりとともに、女の子は学問や仕事より家事を覚えた方がよいなどと訴える人の割合はかなり減少した。ジェンダーの問題はジェネレーションギャップに通じているという考え方も根強いほか、「女性らしい」「さすがは男の子だ」といった褒め言葉を本人が嬉しく感じるようであれば、極端なジェンダー否定論はいかがなものかという声もあるようだ。

画像は『Metro 2017年7月3日付「Baby could be world’s first to be marked as gender‘unknown’(Picture: Kori Doty/Facebook)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)