少しタレ目 甘い声…ひとめぼれだった! しかしこの出会いが――地獄の始まりだったのだ…!

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 魔性の女、小悪魔、クラッシャーから、ハニートラップ、毒婦まで。昔から「男を狂わせる女」はさまざまな名前で呼ばれてきた。危険な香りのする女だとわかってはいても、男がついついハマってしまうのは何故なのだろうか。今年9月に主演・妻夫木聡×ヒロイン・水原希子×監督・大根仁で映画化される『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』の原作者で、映画化に合わせて完全版コミックを刊行したばかりの渋谷直角氏に、自身が考える「狂わせガール」像について聞いた。

「もともとこのマンガを描くときに、とんでもない魔性の女を描いてやろう、みたいな気持ちじゃなくて。『あ〜、こんな女いるよね〜』っていうことよりも、好きで好きで仕方ないのに、どんどん周りが見えなくなって、滑稽なまでにカッコ悪いことばかりして、ボロボロになっていく、という経験を通して、男の人が変わっていったり、成長していく姿を描いてみたいという気持ちからはじまった作品でした」

 作品では、主人公のコーロキが、狂わせガール・あかりとの恋愛ののち、大きな変貌を遂げる。男は、狂わせガールとの恋愛を経験することで成長できるのだろうか?

「そういうときの恋愛って理屈が通じなかったりするし、理不尽に思えるようなことも多かったりして、気付くとボロボロになりますよね。処理できない量の情報が入ってきて、自分のOSが試されて、強制アップデートされるという意味でも、仕事よりも恋愛における大きな挫折のほうが、男の人にとっては経験値が高いような、後々の人生の一つの財産になる気がします」

 とはいえ、男をボロボロにするタイプの女性には恨みもあるのでは?

「狂わせガール=悪女、というイメージはないんです。感謝こそすれ、根本的に、女の人の持つ強さや奔放さに惹かれるし、敬意を抱いている。だから、女の人は存分に男を振り回して、男はそれに耐えればよし!……って言っても、十代のころに、デート中に突然ほかの男に会いに行っちゃうような、次の日普通にキスマークつけてくるような狂わせガールに振り回されたことがあるんですけど、その人との思い出は今もたまに思い出して、フクザツな気持ちにはなりますね(笑)」

 そんな渋谷氏が選ぶ、狂わせガールベスト3はいったいどのようなチョイスなのだろう?

◆サマー(『(500)日のサマー』)

 恋愛に奥手なトムと、奔放なサマーの500日にわたる恋を描いた映画。「どんなに好きでも手が届かない感じが痛いほど描かれている。最後にトムがサマーとものすごい真逆の女性とつきあってほしかったと思う」

◆竹葉美子(『まんが道』)

 藤子不二雄Aの自伝的漫画にして不朽の名作。主人公・満賀道雄の立山新聞社学芸部時代の後輩。満賀は竹葉に恋心を抱く。のちに新聞社をやめて早稲田大学に進学するが、東京でも満賀のもとを何度か訪れる。「こんなに、絶対イケそうで、なのに絶対イケない女性ヒロインも珍しいですよね。関係性は超プラトニックなままなのに、人生にいつまでも深く刻まれる女性というか。竹葉さんの気持ちは読めない!」

◆吉岡里帆

「デビュー初期に取材したことがあるんですが、そのときからすでに『売れる準備整ってます!』みたいな完成してる感じがあって。ひさびさに登場した、つきあったらボロボロにされるってわかってても、自らボロボロになりにいきたいタイプの理想形、みたいな人ですよね。サブカル男にも理解ありそうな感じがある(けど絶対相手にされない)感じがすごくいい!」

 時に、恋愛よりも男を成長させてくれる、ボロボロになるとわかっていてもハマらずにはいられないのが「狂わせガール」の魅力なのだ。

(取材・文/日刊SPA!編集部)