あたかも劉暁波氏が手厚い治療を受けているような動画が流れている。これは中共が仕組んだプロパガンダであると、中国内外にいる劉暁波関係の人権派弁護士や関係者らが断言した。筆者に来るメールから真相を追う。

脳細胞を破壊される危険性もあった

ノーベル平和賞受賞者で獄中にいた劉暁波氏が中国社会に対する発信力を維持することを恐れた中国政府は、投獄した当初、劉暁波氏を「外見的には健康そうで、脳細胞だけを破壊する処置」を何度も試みようとしたという。その方法を見抜いていた家族や人権派弁護士などの関係者が何とかそれだけは防ぐことに成功した。

しかし癌にかかっている彼の体を治療することを拒否し、また彼が海外で治療を受けたいと望んでいたことも受け付けなかった。彼の妻の劉霞さんは軟禁され、極度のストレスで重症の抑うつ症にもなっていた。そのため二人は北京や海外で高度の治療を受けることを望んでいたが、それは拒否された。

中国当局が望んでいたのは、劉暁波の精神が死には至らない状態で精神活動能力を失い、言論活動が不可能になることだった。ちょうど北朝鮮に収容されていたアメリカ人学生オットー・ワームビアさんが解放はされたが、脳細胞が活動不能となっていて亡くなった状態と似ている。北朝鮮と中国のやりそうなことだ。劉暁波氏の場合、それは失敗に終わった。

肝臓が破裂して大出血

しかしじわじわと肝臓がんが悪化するのを待ち、同様に言論活動をして中国の民主化に影響を与えることができないまでに徐々に弱らせようとしたのだが、劉暁波氏の病状は悪化し、肝臓が破裂して大出血を起こしたのだという。そのときには末期癌になっていて全身に転移し獄死が懸念された。そうなると言論の自由を求める中国内外の民が民主を求めて一斉に立ち上がる可能性がある。習近平の香港訪問に影響するとまずいと判断した当局は、劉暁波氏を瀋陽にある中国医科大学付属病院に獄外入院させた。

ネットに流した治療に集中しているプロパガンダ映像

そのことがネットを通して知られるようになると、奇妙なユーチューブ動画が流れ始めた。

劉暁波氏が牢獄で非常に良心的で手厚い扱いを受け、そのことに非常に満足しているということを撮影した映像だ。これが何を意味するのか、人権派弁護士など関係者に分析をお願いした。その結果、以下のようなことが分かった。

遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)