17節のFC東京戦は鮮やかな逆転勝利。松田(2番)のゴールで勝ち越しに成功した。写真:川本 学

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 セレッソ大阪は今季のJ1で、いわば「18番目のチーム」としてスタートを切った。昨シーズンはJ2で4位、2シーズン連続で出場したJ1昇格プレーオフを勝ち上がり、北海道コンサドーレ札幌、清水エスパルスに次いで、最後の3番目の椅子に滑り込む形で、3年ぶりのJ1復帰を果たしたのだ。その桜色のユニホームをまとうチームが、前半戦17試合を終え、暫定とはいえ首位に立った。
 
 シーズンの折り返し点となる17節では、ホームでFC東京に3-1と逆転勝利。9位以内、J1残留をノルマに掲げていたなか、ユン・ジョンファン監督体制1年目の今季、シーズンを半分終えた段階で、10勝5分け2敗、勝点35、得失点差+18と、好成績を上げている。そして、今節のFC東京戦は、「ユン・セレッソ」の成長を感じさせる試合でもあった。
 
 相手のFC東京は、「立ち上がりから狙いを持って、しっかりC大阪に対抗した」と篠田善之監督が語っていた通り、負傷欠場した大久保嘉人に代わって先発した永井謙佑のスピードを活かし、カウンター狙いを鮮明にしてきた。そして、その形から、C大阪は21分、ピーター・ウタカのゴールで先手を奪われる。
 
 その後、反撃に打って出るも、FC東京の選手たちの帰陣も早く、攻めあぐね、C大阪にとってはもどかしい展開が続く。前半終了間際には、左サイドからのソウザのクロスを、ペナルティエリア内で水沼宏太がヘッドで右から折り返し、ゴール前の柿谷曜一朗に好機が訪れたが、ヘッドで合わせせたボールは枠の上に外れる。チャンスを掴みながら点を取りきれない流れは、試合を支配しながら勝ちきれなかった15節の清水戦と似た形。「前半はやろうとしていたことが、よく出なかった」と、ユン・ジョンファン監督。嫌な予感が漂った。
 
 しかし、当の選手たちは、冷静だった。「今は先制点をたとえ取られたとしても、いい意味での開き直りのようなものもある」というのは、杉本健勇だ。そして、ユン・ジョンファン監督のもとで磨いてきた今季の特長である“サイド攻撃”が威力を発揮するのだ。
 
 57分に杉本のヘディングシュートで試合を振り出しに戻すと、63分には最終ラインの裏に抜け出した松田陸がゴールネットを揺らす。アシストは、いずれもユン・ジョンファン監督の鳥栖時代からの門下生、水沼宏太だった。負傷の清武弘嗣に代わって2試合ぶりに先発したハードワーカーが、杉本への高精度クロス、オーバーラップした右SBの松田への絶妙なスルーパスと、右サイドを起点に相手を攻め崩し、流れを呼び込んだ。
 勝ち越した後は、今季の必勝パターンのひとつ、トップ下で先発していた山村和也を、最終ラインの中央に下げて守りを固めるサッカーにシフトチェンジ。それでも、ただ守り抜くだけでなく、カウンターの流れからソウザのダメ押しとなる強烈ミドル弾で、勝利を完全に決定づけた。
 
 開幕時は守備組織の構築に手一杯で、攻撃面に課題を残していた。それが、セットプレーやカウンターから次第に得点を取れるようになると、練習から時間を割いて取り組んでいたサイド攻撃も機能。ここまでの33得点のうち、杉本と山村という今季の前線を担う選手が7得点ずつを記録すれば、そのほかにもゴールをあげた選手は10人を数える。
 
「今回は(松田)陸やソウザといった後ろの選手が2点を取っていますが、全体として、みんながゴールに入っていけるというところが、今の強み」(山村)
「攻撃のパターンも豊富になっている」(山口蛍)
 
 主軸がこう手応えを語るように、チーム全体でゴールを狙えるのは、力がついた証拠と言えるだろう。
 
 ただし、後半戦に入れば、「1位ということは、2位、3位、4位のチームをはじめ、下のチームはみんな狙ってくるところ」とキム・ジンヒョンが言うように、C大阪をターゲットにして、他の17チームが襲いかかってくる。
 
 前半戦の終盤でも、清水、FC東京のように、割り切って堅守速攻に舵をとってくるチームも出てきた。このFC東京戦では、前半戦のキーマンとなった山村に対して、橋本拳人らがかなり厳しいマークに付くなど、対策も講じられている。そういった相手に対しても、いかに乗り越えていけるか。
 
 それでも、「(ユン・ジョンファン監督のもとで取り組むサッカーで)積み上げられているというのは、まだまだこれからというところもあり、ユンさんもまだ満足していないところが多いと思う」と、山口は発展途上を強調する。後半戦のC大阪の戦いも、まだまだ楽しみは尽きない。
 
取材・文:前田敏勝(フリーライター)