トークショーに出席した山岸聖太と竹田直樹

 『傷だらけの悪魔』のブルーレイ&DVD発売を記念して、試写とともに作品に手メガホンを取った山岸聖太監督自らが撮影の裏側を語るトークショーイベント『傷だらけの聖太』が3日、都内でおこなわれ、山岸監督と、作品のプロデュースを務めた竹田直樹が登壇、困難を極めた作品制作の裏舞台を振り返った。

 本作はコミック&ノベルサービス『comico』で連載されている澄川ボルボックス作の原作コミックを実写化したドラマ。かつていじめていた少女と、転向した田舎の学校で再会した主人公が、逆の立場に立たされリベンジ劇を受け悩みながら、困難に立ち向かっていく姿を描く。NHKの連続テレビ小説『あまちゃん』などに出演した女優の足立梨花、モデルで『大人になった夏』などの江野沢愛美、元AKB48の一期生で女優の加弥乃らが出演している。

 映像ディレクターの肩書きを持つ山岸監督は、これまでKANA-BOONや星野源のMV、乃木坂46の、個々のメンバーのPVなどのMV制作に携わり高い評価を受けているが、映画作品は本作が初監督作品となる。当初キャスティングについては、キャリアがある足立とそれ以外の出演者の、演技の実力差にギャップがあり、不安を抱えていたという山岸監督だったが、実際には「それどころじゃなかったです、現場がメチャクチャになっちゃって…」と戦場のような撮影現場を振り返り、さらに竹田は「役者が出番じゃないときに、監督とどうコミュニケーションを取ればいいかを役者同士で相談していたくらいでした」と当時の様子を語る。

 その原因を「映画の撮り方と、普段僕らがやっているMVの撮り方というのが、あきらかに違うことがやり始めて分かったんです。同じやり方でできると最初は思っていたんだけど…」と撮影当初から大きな壁にぶつかったことを回想、まさに“傷だらけの聖太”状態から「撮影と照明の方は、普段MVのほうでもお世話になっているんですが、この二人だけを呼び、プロデュース部や他の部門は誰も呼ばずに秘密の会議を行って、普段のやり方を貫こうということにしたんです」と強行策に出たことを告白する。

 結果的には撮影陣全体の理解は最後まで得られなかったもの、そのままクランクアップを迎えるという奇跡的な撮影期間だったことを明かしながらも「効率の良さをしっかり考えて撮ったほうが、たぶんちゃんと撮れるんだろうなと思いました」と映画を撮影することで得た新たな経験を振り返っていた。

 一方で竹田は、ポストプロダクション(撮影後の編集作業)の段階を回術し「音楽家に音楽のリクエストを出すんですけど、尺の決め方が適格。見てもらえれば分かるけど、曲は全部フェードアウトでなくカットアウトで、フレームで決まっていて、その尺に合わせた短い曲もあって、そういうものを作らせたというのはすごいと思いました」と山岸監督ならではのポイントを明かしながら「効果音やSEなんかもギリギリまで粘ってましたね」とその性格を思わせるエピソードも明かした。

 また本作には、加弥乃のほかに乃木坂46の伊藤万理華やLa PomponのYUKINOらも出演。特に伊藤は他のキャスティングが決定していた中で、以前PVなどの撮影をおこなったつながりもある山岸監督からのリクエストによって出演が実現したという。

 伊藤の出演シーンはわずかだが、劇中では重要な役割になる場面となっており、山岸監督は「単純に出てもらいたかったけど、スケジュール的に拘束できなかったため、その中で重要な役割はないかというところから考えた」と出演シーンを検討していたことを振り返りながら、もともと台本にはなかったエクストラシーンとして後から加えた場面に出演してもらったことを明かした。

(取材・撮影=桂 伸也)