by clement127

歩きスマホの最中に何かにつまずいたり穴に落ちたりしてケガをする人は、2010年の時点でアメリカでは1500人が報告されていましたが、2017年現在ではさらにその数が増加しているとのこと。では実際のところ、歩きスマホは人の歩き方をどのように変えているのか?ということが、研究者たちによって調査されました。

The impact of mobile phone use on where we look and how we walk when negotiating floor based obstacles

http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0179802

Texting on a mobile phone makes you walk sillily, study finds | Science | The Guardian

https://www.theguardian.com/science/2017/jun/30/texting-on-a-mobile-phone-makes-you-walk-sillily-study-finds

論文を執筆したアングリア・ラスキン大学のMatthew Timmis教授は、日中に道を歩いているとき、目の前の歩行者の歩くペースが非常に遅く、左右に揺れていることに気づいたとのこと。「こんな朝早くから酔っ払っているのか?」と思いつつも歩行者を追い抜いた時に、Timmis教授は歩行者が酔っぱらいではなくスマートフォンを触っていることに気づいたそうです。

このことをきっかけにTimmis教授らの研究チームは、歩きスマホが人々の歩き方にどう影響するのかの調査を開始。21人の被験者の頭にアイトラッカーとモーション分析センサーをつけて、ファイバーボードで作った障害物や箱で作ったステップがある5.6メートルの道を歩いてもらいました。このとき、被験者らはまずスマートフォンなしで決められたコースを3度歩き、その後に「テキストメッセージを書いてもらう」「メッセージを読んでもらう」「電話をかける」という3パターンの方法で同じコースを歩きました。

実験の結果、スマートフォンを触りながら歩いた場合には、被験者がコースをクリアするまでの時間の長さはスマートフォンなしの場合の118%になり、足が固まる割合は60%増で、障害物に注意を向ける回数が減少したそうです。特に地面の高さの変化に対する認識が甘くなるので、人々は「注意深く足を進める」という方法でリスクを回避する傾向にありました。そして「注意深く足を進める」という方法で歩いている時に被験者はまっすぐ歩くのではなく、ふらふらとした足取りになることが判明。Timmis教授が道ばたで見かけた歩行者も、この状態にあったわけです。特に「テキストメッセージを書く」という方法でスマートフォンを触っている時は、視線の動きや足取りに強い変化が出たそうです



by Thomas Hawk

また、スマートフォンを耳に当てて会話している時は、顔を上げているので周囲を見渡せる状態であるにも関わらず、障害物ではなく重要でない他のものを見始めるということもわかりました。

さらに、被験者がどのように1歩を踏み出しているのかを調べたところ、スマートフォンなしの状態に比べてスマートフォンありの時は、1歩の幅が38%短く、一方で足を上げる高さが18%高かったとのこと。これが、人が注意深く足を進めている時の特徴で、この方法によって人はワーキングメモリの認知負担を減らし、脳のリソースをスマートフォン操作に割けるようになるそうです。

今回の実験で実際に障害物につまずく人はいなかったものの、Timmis教授は「スマートフォンを触っている人は周囲に意識を払わなくなるので、限られた情報に頼って進むことになる」と語っており、「突然目の前に誰か現れたら、それに対してあなたはうまく反応できず、ケガを負う可能性があります」と歩きスマホをしている人々に警告しました。



by Ivan Rigamonti