東京の女性たちは勘違いをしているかもしれない。

結婚できれば、それでハッピーエンドだと。

だが、生活を共にし始めてからが本番だ。婚活の次は、夫婦生活を継続するための「結婚維持活動」が必要である。

ー人間は判断力の欠如によって結婚し、 忍耐力の欠如によって離婚し、 記憶力の欠如によって再婚する。

フランスの劇作家、アルマン・サラクルーの言葉のように、「結婚維持」のキーワードは果たして、忍耐なのか?

この連載では、東京で「結婚維持活動」に勤しむリアルな夫婦の姿をお届けしよう。

今週は、敷地内同居をしている姑に悩まされる結子の夫、孝太郎の結婚維持活動に迫る。




<今週の結婚維持活動に励む妻>
名前:孝太郎
年齢:37歳
職業:総合商社
結婚生活:6年
住まい:成城


みなさん、もっと上手くやればいいのに。


先日の取材では、妻がお世話になりました。

彼女は、美人で可愛い奥さんですよ。子供達のことも献身的に世話してくれますしね。

僕、子供のオムツすら変えたことありません。ええ、家事や育児は全部任せてと言ってくれるので、安心して仕事に打ち込めます。

え?素敵な夫?僕のこと、そんな風に言ってました?いやぁ、照れちゃいますね。

結子、母や姉達のこと、だいぶ話してたみたいですけど。

いや、僕にとっては素晴らしい母親ですし、姉ですから。

何といっても両親のおかげで僕はこうして成城の一等地に戸建てを構えて、子供2人をのびのび育てることができるんです。

文句なんて言ったら、バチが当たってしまいますよ。姉達も子供らのこと、可愛がってくれますし。

妻への不満がないかって言われれば、そりゃあ一つや二つは出てきますけど…。

でもそんな不満、本人に面と向かって言って、なんのメリットがあるんでしょうか。


不満は面と向かって言わない。その代わり?


支配型の母親との暮らし


妻が言ってたと思うんですが、うちの母親が支配型なのなんて、昔からです。

子供の時から、そりゃあ凄かったですよ。

毎日毎日ね、1日のスケジュールが決まってて、それに沿って行動しないとすごく不機嫌になる人なんです。

テレビを見る位置。ダイニングテーブルで、お菓子を食べる位置。

朝、顔を洗ったり歯を磨く順番も決まってましたし、僕と姉達は、さながら母の部隊の兵隊で、母が隊長、っていう感覚でした。

それくらい厳しく、行動のすべての順番やルールが整然と決まっていたんですよ。

子供の頃はそれが普通だと思ってたんですが、段々と物心ついてきて、友人宅に一人で遊びに行ったりするじゃないですか。

そうすると、気がつくわけです。あぁ、我が家はちょっと他とは違うんだな、と。




で、やっぱりおかしいな、嫌だな、と思うんです。思うんですけど、どうしようもない。

文句言って母のルールを無視しても、延々とお説教が続くだけですから。怒鳴るわけでもなく、こう、いかに今自分が正しいことを言ってるのかを滔々と説明してくる。

面と向かって文句を言ったり反抗すると、その後の方が何倍も面倒なんです。

だから、別にそこまでこだわりのないこと以外は言うことを聞くことにしました。

一旦素直に受け入れるんです。

そうすれば、綺麗に丸く収まる。その後自室に逃げ込み、好きな漫画を読んだり空想にふけったりしてましたよ。

まぁ、女の人の言葉なんて理解するふりをして聞いておけば、大体の問題が解決するということに気がついたのも、この時でしたね。

だからじゃないですけど、女の人の主張に、僕はいちいち反論しないようにしているんです。

母、姉達、そしてもちろん、妻の主張。

妻もね、割と面倒な性格なんですよ。見栄っ張りでプライドは高いのに、思ったことは腹の中に溜め込んでしまう。

だから、少しばかり接するのに工夫が必要なんです。


孝太郎が編み出した、結婚維持活動


女の人の言うことは否定してはいけない


例えばね、結子って、僕に直接文句を言ってはこないんですけど、「いいのいいの、私が全部やるから。」って言いながら、こう、じとーっとした目で何かを訴えてきたりするんです。

母とのいざこざもね、何となく僕の方でも気がついてましたけど、言ってくるまでは正直関わりたくないですもん。放置してました。

ただ、訴えてきたら別です。

あぁ、これは限界だな、と感じた時は行動を起こしますよ。こじれたら、後々面倒ですからね。

ポイントは、彼女の言うことを全部肯定してやることです。

彼女が正しいか正しくないかなんて関係ない。とにかく感情が高ぶってる時は、彼女がしたいように、言って欲しいことを言うんです。

例え思っていなくても、「愛してる、君しかいない、頼りにしている、君は最高の妻で母親だ。」って。

そうすると、どんなに不満があっても、結子は機嫌を直してくれますよ。

そして、女性の機嫌を直すための極めつけは、機嫌が直った頃を見計らって女性が喜びそうなレストランに連れていくこと。

この間は『ザ・カフェ by アマン』に妻を連れて行きました。

妻は、僕の職場の近くに来るのが好きなんです。だから、東京駅や大手町エリアでランチやディナーをすることが多いですね。




とにかく僕は、妻に子育てを引き受けてもらって、面倒な家事も担当してもらって、仕事と余暇に集中したいんですよ。

だから、その居心地良い状態を守るためなら、何だって言いますし、妻のご機嫌取りなんて喜んでやります。

要は、妻は母との暮らしが窮屈なんですから、それを理解してあげて、共感してあげて、「じゃあ離れようか?」って提案してあげればいいんです。

もちろん実際に引っ越すのは困りますが、結子がこの成城の家と、子供達にとって良い教育環境を手放すはずがないのはわかっていましたから。

でも、夫がそう言ってやれば妻の方は気が済むものなんです。

もちろん、敷地内同居をしている母へのフォローも忘れないようにしなくちゃいけません。

「俺も母さんが正しいと思う。けどさ、所詮、あいつは他の家の人間だし価値観が違うんだよ。でも、子供達の母親なんだから、尊重してるフリくらいはしてやらないと。」

と、かなり言葉を選んで結子に謝るように促しました。

面倒じゃないかって?

いや、でもこうして女性の意見に逆らわず立てていれば、僕は家事や育児からは一切解放されて、仕事が遅くなっても何も文句を言われず、女の子と遊んでたって疑われもしないんですよ。

だから逆に、どうして世の中の夫の方々は妻と真っ向からぶつかるのかなぁ、と疑問ですよ。

女の人の言うことになんて、まともに反論してもなんの得にもならないのに。ねぇ?

▶NEXT:7月11日 火曜更新予定
夫に養われているわけではないから…結婚維持に迷う働く妻に迫る

【これまでの結婚維持活動夫妻たち】
Vol.1:婚活よりも大変な、結婚生活の“維持”。その秘訣とは?
Vol.2:子供を持ちたい夫 vs 持ちたくない妻。結婚維持活動の妥結点とは?
Vol.3:余裕がある分、悩み多き専業主婦。私の存在価値を作るのは、夫ではない
Vol.4:「母親みたいな女性」と結婚したつもりの、夫の誤算と苦悩
Vol.5:「住所を変えたくない」支配型の姑との窮屈な同居に耐え続ける、妻の本音