国際単位系(SI)の質量の基本単位であるキログラム(kg)は現在、フランスの国際度量衡局で保管されているプラチナ(白金)とイリジウムでできた合金製の1kgの金属塊である「国際キログラム原器」に基づいています。しかし、キログラム原器は厳重に保管しても質量が変動してしまうため、国際単位系の中でも唯一の不安定な単位とされており、より普遍的な物理量に基づいた「キログラムの再定義」が長らく議論されているところ。キログラム再定義に向けてアメリカ国立標準技術研究所(NIST)はプランク定数に基づくキログラムの測定方法を掲げているのですが、NISTが新たに発表した論文で、不確かさが13億分の1という高精度の測定方法が発表されました。

New Measurement Will Help Redefine International Unit of Mass | NIST

https://www.nist.gov/news-events/news/2017/06/new-measurement-will-help-redefine-international-unit-mass



Measurement of the Planck constant at the National Institute of Standards and Technology from 2015 to 2017

(PDFファイル)http://iopscience.iop.org/article/10.1088/1681-7575/aa7bf2/pdf

アメリカ国立標準技術研究所(NIST)は最先端設備であるキブル天秤を使って、これまでで最も高精度なキログラムの測定に成功し、国際キログラムの定義をプランク定数に基づいた新定義にすることを提案しています。キブル天秤とは「ワット天秤」のことで、電流と電圧を用いて重さを高精度で測定可能な電流天秤のことを指します。物の重さを量る天秤ですが、標準キログラム質量を支えられる電流を測定することで、質量1キログラムを正確に決定できるという、本来とは逆の使い方が可能。電流および電圧の単位をプランク定数などの物理学定数を用いて定義でき、国際キログラム原器を使った定義より精密な定義を測定できると言われています。



NISTは2016年にもプランク定数に基づいた測定を実施しており、測定の不確かさは10億分の34だったことを発表しています。今回は10億分の13という不確かさで測定を可能にしたそうです。

なお、国際単位系の再定義に必要となるデータは2017年7月1日までに論文として発表される必要があったのですが、NISTは今回の測定結果を国際学術誌であるMetrologiaで6月30日に公開しており、2018年に行われる国際会議でキログラムの新定義として適当かどうかが議論されることになります。