日本では都議会選挙で自民党が歴史的な敗北をきし、アベノミクスにも黄色信号がともりつつある。そんな状況で7月の為替市場はどうなるのか。外為オンライン・アナリストの佐藤正和さん(写真)に7月相場の動向をうかがった。

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 ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が、ポルトガルで行われた年次総会で発言した「量的緩和縮小への可能性」が、金融市場を大きく揺らしている。ユーロが買われて、円はドルに対しても安くなってしまった。長い間続いて来た金融緩和の時代から、いよいよ金融引き締めの時代へと転換しつつあるとも言われている。一方、日本では都議会選挙で自民党が歴史的な敗北をきし、アベノミクスにも黄色信号がともりつつある。そんな状況で7月の為替市場はどうなるのか。外為オンライン・アナリストの佐藤正和さん(写真)に7月相場の動向をうかがった。

――ドラギECB総裁の量的緩和縮小発言、実現するのはいつ頃になるのでしょうか?

 6月27日のドラギECB総裁の発言は、市場に大きな動揺を与えました。先月は、まだその時期ではない、といった発言をしていた直後でしたから、市場により大きな衝撃が走ったと思われます。その結果、円は対ユーロで3日連続安くなり、米国の金利も上昇したため対ドルでも売られて円安が進みました。

 しかも、ドラギ総裁の発言に前後して、英国の中央銀行であるイングランド銀行のカーニー総裁は「向こう数か月」以内には、金融政策委員会(MPC)で金利引上げの検討に入ると発言。続いて、カナダ中央銀行のポロズ総裁も、CNBCのインタビューの中で、現在の0.5%の金利を「異常に低い」水準であると述べ、「利下げの役割は果たした」と、将来の利上げをほのめかす発言をしました。

 日本を除いて先進国が揃って金融緩和から引き締めへと方向転換を図ることを示唆したわけですが、今後どんな展開になるのか注目したいところです。問題はその時期ですが、ECBの場合は早ければ秋にも、といった報道も一部出ていますが、年末あたりになるのが妥当ではないでしょうか。

――米ドルも対円で上昇しました。何があったのでしょうか?

 6月13-14日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)で、0.25%の利上げを発表したFRB(米連邦準備制度理事会)ですが、同時にバランスシート縮小のスケジュールが発表されました。米国経済の景気動向が想定通りに進展すれば、バランスシートの正常化プログラムを年内には開始すると発表したわけです。

 具体的には、国債の縮小を当初月当たり60億ドルに設定。その後300億ドルに達するまで1年をかけて3か月おきに60億ドルずつ増やす。MBS(不動産ローン担保証券)については、月額40億ドルの縮小からスタートして、200億ドルに達するまで1年をかけて四半期ごとに40億ドルずつ増やす、という考え方を示しました。

 バランスシートの縮小が世界経済にどんな影響をもたらすのか。まず想像できるのは、金利の上昇です。長期的なドル高に転換するのかもしれません。とりあえずは、7月7日の雇用統計によって年内にもう1度予想されている金利引上げが9月になるのか、それとも12月になるのかを見極めることになると思います。現在の予想では、非農業部門雇用者数の伸びは18万人となっています。

 一部では、9月からバランスシートの縮小をスタートさせて、金利の引き上げは12月という考え方もあるようですが、7月12日に予定されている、下院金融委員会での証言でイエレン議長が何を語るのかを見極める必要があると思います。

―-日本では都議会選挙で自民党が歴史的な大敗となりましたが、その影響は……?

 やはり影響は大きいと思います。都議選での自民大敗で、アベノミクスの否定につながると「円高ドル安」に振れる可能性が高く、実際に選挙の翌朝は一時的に円高に振れました。アベノミクスを推進したことで、ドル高円安が進みましたが、アベノミクスの終焉はその逆で「円高ドル安」に振れます。