テスラが“車”を再生デバイスにする? 独自音楽ストリーミングサービス導入による音楽業界への影響

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 電気自動車メーカーのテスラが、車内での独自音楽ストリーミングサービス導入を検討していると報じられた(参考:http://news.livedoor.com/article/detail/13247973/)。テスラは「他社に真似できない車内体験を提供することが重要と考えており、顧客はそれが何であれ、選択したソースから好みの音楽を聞くことができる」とコメント(参考:https://japan.cnet.com/article/35103210/)。現在テスラのModel Sではヨーロッパ各国、オーストラリア、香港など一部の国に留まるものの、無料でSpotifyの有料プランを利用できる仕組みとなっているが、今後は独自音楽配信を取り入れ、よりユーザーのニーズに合ったサービスを提供していくと考えられる。

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 かつて車内ではカセットやCDで音楽を聴くことが一般的だったが、近年ではUSBやBluetoothのほか、Apple CarPlay、Android Autoといったアプリでスマートフォンを接続して音楽を聴くスタイルが普及してきており、カーオーディオ事情は急速な発展を遂げている。そこで、最新のテクノロジーやガジェットに詳しい大野恭希氏にテスラの今回の動きについて話を聞いた。

「テスラが独自の音楽配信を計画しているというのは、驚きではありませんでした。テスラは2017年内に完全自動運転車に対応するというニュースも出ていますが、自動運転車に乗る人は、車内で運転をする必要がなくなるため、移動する空間を快適にしようというメーカーの考えは当然だと思うからです。テスラ独自の音楽配信が計画されているということは、車内体験をより良くするために、家具メーカーとの協業で、快適なイス・テーブルなどを取り入れる動きも今後は考えられるのではないでしょうか」

 今回の音楽配信参入は、車が単なる移動手段ではなくなっていることの一つの象徴なのかもしれない。さらに大野氏は今回のテスラの動きにより、音楽業界にも影響がある可能性を指摘する。

「2017年現在において、人が音楽を聴くデバイスはスマートフォン・パソコンなどが主流になっているかと思いますが、『車』という再生デバイスが増えると考えれば、自動車メーカーなどの他業種と音楽レーベルとのビジネスが活性化することもあると思います」

 レーベルと他業種のやり取りが活性化すれば、音楽業界全体もより活発になることが予想できる。テスラが本格的に音楽ストリーミングに参入することで、これから音楽業界がどう変化していくのかにも注目しておきたい。最後に大野氏は、ストリーミングサービスが音楽そのものを変化させることへの期待を寄せた。

「ストリーミングサービスが普及しつつある中で、大量の、それも今まで気づきもしなかった『お気に入りの曲』に触れる機会が増えました。しかし、たくさん音楽を聴いていたいと思う時でも、音楽は約4〜5分ある楽曲を1秒1秒耳で聞かなければ、その良さは伝わってきません。ネット記事やTwitterのテキストはそこまで時間がかかりませんが、“音楽を聴く”という行為はそれよりも時間が必要です。ストリーミングサービスがこれまでの音楽鑑賞のスタイルや、1曲単位のフォーマットを変化させることに、一消費者として期待したいと思います」

 音楽ファンにとっては馴染み深くなりつつストリーミングサービス。テスラを始めとする自動車メーカーが、より快適に車内で過ごす手段の一つとしてユーザーにマッチしたストリーミングサービスを取り入れれば、より広い層に普及するはずだ。今回のテスラの動きは、その第一歩と言えるだろう。幅広いリスナーにストリーミングサービスが受け入れられることで、“音楽を聴く”という行為がより身近なものになることを期待したい。(村上夏菜)